Beyond Definition  4K、8K、HDRに邁進するソニー

ソニーは昨年同様、ブース正面に横9.7m、縦5.4m、8K×4K構成のCrysta LEDディスプレイシステムを設置し、そこで8K 120P HDRや4K HDRで撮影した映像を上映。Crystal LEDはユニット構成型の拡張可能なディスプレイだが、そのつなぎ目はまったく気にならない。微細なLEDを使い、その集積化によって100万対1以上の高コントラスト映像を表示する。動画の応答速度にも優れ、最大120fpsのフレームレートにも対応。精細な大画面ながら動きボケはほとんど感じられないことにより、映画とは傾向の違う、臨場感、没入感が得られる。

セミナーの時間以外は、このディスプレイ上で8Kカメラ、UHC-8300、CineAlta VENICEで撮影した映像を上映していた。

このCrystal LEDディスプレイは、今年の7月14日-16日、NHKでの8Kパブリックビューイングでも使用され、成功を納めた。今後は映画上映にも応用できないかソニーピクチャーズで検討を開始しているという。

数年前までは8K化に対して慎重に見えたソニーだが、昨年は8Kカメラ、UHC-8300を投入し、今年はさらに加速しているように感じられた。その背景には、海外でも8K普及の動きが見えてことにあるようだ。この10月には、中国工業情報化省の外郭団体より8K中継車の受注内示を受けたことを記者会見で明らかにしたが、そのこととリンクするのか、ブースのカメラコーナーの展示は中国趣味のしつらいで、来場者も中国からが多かったように感じた。

今年の新製品は以下の通り。

HDC-3500 は2/3インチ3CMOSカメラで、HDC-2500の後継機種。春のオプションで4K出力に対応。最大の特徴はグローバルシャッター機構を備えていることで、スポーツなどの動きの速い被写体の撮影に向く。

同じCMOSを使用したマルチパーパスカメラがHDC-P50でこちらは来年の3月発売。4K HDR出力が12G-SDIで可能。機能を絞り込りこむことで小型化している。

4K XAVCレコーダー、PZW-4000も発表された。現在の放送局において、XAVC Iが制作の、XAVC Lが送出のでデフォルトになっているが、4K映像の高画質を維持しながら、XAVC IからXAVC Lにトランスコードすることで情報量を600Mbpsから200Mbpsに減らすことができるコーデックチップを採用。一台で4K映像の収録、送出、トランスコードに対応するレコーダー。

 

マスモニは有機ELから液晶へ

マスモニと言えば、業界定番がソニーBVM-X300(有機EL)になって久しいが、ユーザーからはHDR制作において全白で1000nit出ていないことを指摘されていた。その対策としてソニーが選んだのは液晶だった。X300の画質性能、黒の再現、正確な色再現を継承しながら、4K HDR制作に適した全白1000nitと100万:1の高コントラストを実現した新たな液晶マスターモニター、BVM-HX310を9月に発表。日本では初めてお披露目した。価格も398万円とX300より下げており、サイズと重量があがってしまったこと以外は、HX310のほうが画質、機能的に上回っており、今後はHX310を勧めていきたいという(X300とは併売)。ブースでは、有機ELのX300を横においた見せ方は、していなかった。

ジンバルにのるVENICE

映画制作用のカメラCineAltaのVENICEは、マウントとカメラセンサー部を分離して専用ケーブルで接続するエクステンションシステムを開発。ジェームズ・キャメロン監督がアバターシリーズの続編の撮影に活用中だという。


マウント部は想像以上に薄く、これでNDフィルターも内蔵されている。このマウント部側で映像をモニタリングすることも可能になっている(前面の端子からモニターアウトが可能)。

さて、ここまではハイエンドの世界だが、デモ機を触る人が多かったのは、今年のNABで発表され、この秋までに発売開始された、4K/60pのハンドヘルドカメラのPXW-Z280とZ190。

ステージでは、江夏さんによるデモンストレーションも開催された。

気になったのは、Zunowブランド(フォノン)のワイコン。ワイド側がすこし足りないという声に応えられる製品。2019年1月発売予定。

これは新製品ではないが、BP-Uバッテリーでカメラ以外にもう一つ電源供給できるタイプのバッテリーも。