今回作例を撮影した角洋介さんはZ CAM E2をRonin-Sに載せて運用。記録メディアはUSB-C接続でSamsung T5を使用した。モニターはBlackmagic Assist。Z CAM E2本体だけだとグリップもハンドルもないが、ジンバルに載せることを考えるとそれがメリットになる。
HFRシネマカメラ
中国の新興カメラメーカーZ CAM(ジーカム)から注目のカメラが登場した。マイクロフォーサーズマウントのレンズ交換式カメラで4K120fps撮影が可能。先日のファームアップで4K(2.4:1)/160fpsにも対応したというから驚きだ。たとえばGH5などではハイスピードはフルHD。ハイスピードカメラというだけでなく、13ストップのダイナミックレンジのZLog、10bit、ProRes内部記録という本格的なシネマカメラ仕様だ。記録メディアは内蔵スロットのCFast2.0、外部ストレージとしてUSB3.0 Type C接続のSSDなどが利用できる。またHDMIからは4K/60p 10bitで出力もされる。仕様としてはまさにシネマカメラだ。珍しいのはシンク機能を利用して、複数台のZ CAM E2をフレームを同期して記録できること。3台横に並べて12K映像を作成するという実績もあるという。本機は発表されて久しいのだが、ここにきてファームアップし、動作も安定してきたという。
▲マイクロフォーサーズセンサーとレンズマウントを採用した約10cm四方のBOXカメラ。マウントには電子接点もあり、対応レンズでAFも可能。最大4K160fps、色深度10 bit、13ストップのダイナミックレンジを持つZLog、C4K60fps対応のHDMI出力など本格的なシネマ撮影機能を持つ。
インプレッション
このカメラをさっそくカメラマンの角洋介さんに使っていただいた。
「このZ CAM E2の最大の特徴は4K(16:9)120p収録ができるという点です。それを生かすべく、動きのある被写体を考えました。ダンスシーンに加え、煙や風に舞うものなど。形状、質量的にジンバルにマッチしそうということで、Ronin-Sとの組み合わせで撮影に臨みました。収録形式は4K 23.98p、 VFR120fps、 1/240秒、 ISO250。ハイスピードの場合はProRes収録ではなく、10bitのH.265になります。
全編、ZLog2で収録し、グレーディングしましたが色乗りも文句なく、カラコレ耐性は充分確保されていると感じます。屋内でテストしたときはモニター上でノイズが多めに感じましたが、収録素材を見ると自然で気になりません。ISOはなんとデュアルISOモードになっており、ISO250と2500の2つ。未使用ですがアナモフィックモード(4:3記録)もあったので、いずれ試したいと思います。
オペレートですが、カメラの形状としてはまさに箱。軽量でネジ穴もたくさんあるので、ジンバルに載せやすくバランスもとりやすかったです。バッテリーはソニーのNP-F970で2時間以上もちました。D-Tapからも給電できるようですがこちらは未検証です。 記録メディアは外部ストレージとしてSamsung T5をUSB-C接続で使いました。メディアを固定するアクセサリーは用意できなかったので、両面テープで貼り付けましたが、これも箱型の形状だったので留めやすかったです。
ボタン操作は慣れるまでちょっと困惑する部分もありましたが、慣れたら特に不便はありませんでした。Fnボタンに好きなように割り振れるので自分が使いやすいようにカスタマイズできそうです。
レンズは今回はマニュアル絞りのレンズを使用しましたが、電子接点のあるレンズであれば、カメラ側で操作できました。
今回、使ってみて非常にいいカメラだと思いました。今はまだほとんど知られていませんが、ポケシネ4Kキラーになり得るのではと思います。個人的に一番の魅力はこの価格帯のカメラでここまでハイスピードが撮影できることだと思います。いずれ内部RAW収録も対応するとか…で、注目のカメラです」(角 洋介)
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このカメラは本体だけで完結はしないが、モニターや外部SSDなどを利用することで、ハイコストパフォーマンスのシネマカメラができあがる。機材好きな人からすると、使いこなしがいのあるカメラだ。三脚設置や手持ちで撮影用のシステムは代理店のジュエにシステムを提案してもらったのでそちらを参考にしてほしい。
▲電源はLバッテリーかD-TAP。記録は本体スロットのCFastもしくはUSB-C接続したSSD。ボディには小型マイク内蔵で、音声入力は5pin REMO(ミニXLR)。10 Pin LEMO portで複数台のZ CAM E2を同期できる。リモート端子はLANC互換。1/4インチネジ穴は側面3つ×2、上面1つ、下面2つ。
▲Z CAMは急速に進化しているカメラメーカー。2015年の第1号機のZ CAM E1(左)はMFTマウントの小型4Kカメラ。次に出てきたのが360度ライブ配信カメラZ CAM S1(中)。そして今回のZ CAM E2。ファームもアップしてようやく日本でも販売できるレベルということで5月に販売開始。今後ファームでどんどん進化するという。
専用ケージや格安の周辺機器を利用してカスタマイズする
▲まずリグはおなじみのSmall Rigから専用リグが出ている。ボトムプレートもあるので三脚にも付けやすくなる。HDMI、USB-Cのガードも。記録はSamsung T5。専用のSmall Rigのホルダーで左右どちらかに設置。その逆にWOODEN CAMERAのハンドル。モニターはPortKeysのBM5(5インチ、2000nit)。Z CAM E2の3D LUTを当てられたり、LANC互換リモートとUSB変換ケーブルで接続してモニターからカメラコントロールが可能になる。モニターフードはWOODEN CAMERA。バッテリーは出力端子付きのものを利用するとここからモニターへも供給できる。このあたりのカスタマイズは販売店のジュエに相談するといいだろう(https://jouer.co.jp/)。
◉作例
撮影日:5月20日
撮影場所:千葉県勝浦市海岸
出演:新川千華
スタッフ:角、渡邉、板垣
使用機材:Z CAM E2、KOWA PROMINAR 8.5mm、12mm、25mm、Contax Planar 50mm f1.4、DJI Ronin-S、Tilta Nucleus-Nano
●ビデオSALON2019年8月号より転載