山下 歩
映像クリエイター/ミュージシャン。 鳥取県出身で高校時代のオーストラリア留学をきっかけに音楽活動を開始。大学進学後もYouTube等でカバー楽曲・MVを配信。チャンネル登録者数は13万人に及ぶ。2016年にオリジナル楽曲『田舎の唄』が話題となり、現在は566万回再生に。2017年より本格的に映像制作を開始し、現在は沖縄を拠点にオンラインを中心に作品を発信している。
取材・文●松岡佳枝
山下 歩さんの作品
赤とんぼ
童謡「赤とんぼ」を47都道府県の夕景のなかで歌い上げる。学生時代に彼女のLISAさんと栗山さんと三人でハイエースで全国を巡り3ヵ月かけて撮りあげた。この作品が山下さんの旅動画の原点にもなっているという。
16階建て!豪華客船ワールドクルーズの中を大公開!
豪華客船クルーズMSCのマニフィカ号の施設紹介をはじめ、タイからオマーンまでの旅路と各国を巡る14日間の旅を体験しながらレポート。旅を楽しみながら撮影しつつもクオリティの高い映像に驚かされる。
仲間と共有することで生まれる “楽しさ”を映像に
「人と人とのつながりが濃いところが自分に合っている」という山下歩さんは、これまでも大分県に住み込み、地元の観光PRに協力するなど、個性的な活動を続けている。今年2019年、沖縄に移住し、映像制作の拠点を構えたという。
「移住したのはオーシャンビューで陽が昇って沈むのが全部見える部屋なんですけど、そういう美しい景色の中で生活することに憧れがあって。それ自体が幸せを生んでくれるというイメージがあったんです。でも、最初のうちはいいんですが、それを共有できる人がいないと寂しくなってしまうんです。それを共有できる人がいてこその幸せなんだなと。何事もそうですよね。音楽もそうで。そんな風に同じ立ち位置、同じ目線でいたいと思っていて、そういう自分のマインドセットが映像にも繋がっています。一人でやれることでも仲間たちと一緒にやって共有したい。そこで生まれた楽しさが映像にも表れると思うんです。だから、なるべく一人でやらないようにしています」
クライアントワークも 人としての付き合いを
山下さんは映像制作より以前、高校生の頃にオーストラリア留学を経験。そこで音楽を始めた。
「音楽でアーティスト活動をすることを目指す人は、まずデモテープを作り、ライブハウスをまわって、草の根活動的にファンを増やしていくという構造があったと思うんですが、それではすごく効率が悪いなと感じていて、それでYouTubeを始めました。YouTubeではカバー曲で見てくれる人を増やしていき、バズらせるならオリジナル曲だなと。『田舎の唄』で、その目標は達成できた感があって、音楽はもういいかなって(笑)」
映像を始めたのはiPhoneの動画からという山下さん。現在では映像制作のみならず、YouTubeチャンネルの運営コンサルタントや、自身がメディアでありコンテンツとなり、さまざまな案件で活躍する。
「最初はiPhoneを使って撮った映像でしたが、編集などは少しずつやっていました。海外のチュートリアル動画を見て独学ですね。企画から撮影、編集まで自分でできるのですが、よく一緒に仕事をする栗山健一さん、それからガールフレンドがWebデザインをやっているので、映像を作ろうと意気込むのではなく、仲間と楽しんでやっていきたいですね。クライアントさんも仕事を超えた人としての付き合いをしたい。それを見てくれた人が仕事を依頼してくれたりするので、営業らしい営業はしたことがないんです。やりたいことに対しては国内外問わず自分がそこへ行ってYouTubeにアップすることで仕事につながっていきます。いま拠点を構えた沖縄では、集落に暮らし、人と人との濃いつながりの中で仕事をしていきたいと思っています」
●機材リスト
●現場の風景
▲豪華客船の撮影では、現地で編集も行い、ツアー終了の翌日には納品した。
▲グライドカムを駆使した映像も目を引く。時折ジンバルも使うが、アナログスタビライザーの自然な動きが好みだという。
▲ドキュメンタリー的に手持ち撮影することも多い。カラーグレーディングも自ら行うため、RAW収録ができ、AFも優秀なEOS C200をメインカメラとして使っている。
●動画制作だけでなく、SNSでの情報発信のコンサル業務も行う
1年間住み込みで、大分県竹田市の観光映像を作っていた縁で、地元を拠点に世界で評価される和太鼓パフォーマンス集団「DRUM TAO」のYouTubeチャンネル運営も手がける。カバー曲を中心に配信しており、曲の選定から演出、撮影、編集、情報発信のコンサルも行う。
●ビデオSALON2019年8月号より転載