清水良広
映像作家/コミュニケーションデザイナー。1996年岐阜県生まれ。2019年武蔵野美術大学映像学科卒業。在学中よりクライアントワークとして企業や自治体のプロモーション映像を中心に手がける。卒業後はメーカーに就職しながら、フリーランスとして映像制作の活動も続ける。
WEB●https://yoshihiroshimizu.tumblr.com/
文●松岡佳枝
清水良広さんの作品
大学生に、ノートPCはいらない。
マイクロソフトSurface ProのWEB CM。清水さんが大学在学中に制作。今どきの大学生のあるあるネタに加え、現役大学生映像ディレクターとして出演したシーンも。本作では、一部演出も担当したという。
武蔵野美術大学芸術祭2017 美術館プロジェクションマッピング
大学3年のときの学祭のフィナーレとして、大学構内にある美術館の壁面にプロジェクションマッピングを行なった。撮影は複数で分担したが、編集やCG制作も含めて自ら手がけたという。
さまざまなことに興味を持つのは それを伝えてくれる映像があったから
岐阜県出身の清水良広さんは現在22歳。武蔵野美術大学に在学中からプロフェッショナルとして映像制作を行なっている。
「映像を観て学ぶことが好きでしたね。サイエンスやネイチャー系の映像だけでなく、CMや映画、アニメ、実験映像など幅広く好きで観ていました。なぜいろいろな物事が好きなのかと考えたとき、それを伝えてくれる“映像”が好きだったからだと思います。ずっと観る側だったのですが、高校で生徒会の活動をしていて、映像を使ったらもっと面白いことができるのではないかと思い、文化祭など学校を盛り上げるための初めて映像を作りました。iPhone5とフリーソフトのAviUtlから始め、パソコンは家族共用のものでしたね」
高校説明会の映像や自主制作映画などを通じて独学で映像を作れるようになっていった清水さんに、ある日、担任の先生からこんな声がかかった。
「地元のIT企業のCMコンテストに出してみないか」と先生に勧めていただいたんです。大垣市にあるiamasが主催しているコンクールだったのですが、そこに出してみたところ、高校生・大学生の部で最優秀賞を受賞することができたんです。賞品でタブレットをもらってとても気を良くして(笑)、進路選択をする時期も重なり、映像に挑戦しようと決めました」
在学中からクリエイティブ業界とは違う立場の人々と映像を使って何かをしてみたいという好奇心が強かった清水さんは学生ながらも様々な企業やプロジェクトに参加する。
「映像は“新しい言葉”だと思うんです。映像は文字ほどには正確には伝えられないかもしれないけど、言語の壁を超えて広く伝えられる。東京に来る前から感じていた、“新しい言葉”としての映像の可能性に、大学時代を経てより実感が持てるようになりました。例えば、プロジェクトやプロダクトに共感した企業で、サイトなどに映像が見当たらない時はすぐにメールを送っていました。いても立ってもいられなくなるんです(笑)。このときは50社中3社と一緒に仕事をしました。未知の領域に飛び込んでみると視野がぐっと広がります。手を挙げてから猛勉強をしていましたね(笑)」
こうして在学中から好奇心の赴くほうへ積極的に進み、学び続ける清水さんは、現在、大手のAV機器メーカーで技術やエンターテインメントに映像表現の側面から何ができるか模索している。
「好奇心に身を任せて、映像の可能性を探っていきたいです。あらゆる現場に積極的に飛び込んで、スゴい人たちと仕事をし、自分も一生懸命勉強して追いつきたいと思っていました。いろいろなことを自分で体験し、将来目指す方向は何か? というより、自分自身が1つの方向性になりたいと思っています。教科書には載っていない新しいことをしていきたいですね」
●機材リスト
●一人で撮影する場合の機材
一人での撮影で機材に求めるのは機動性。α7S ⅡをSmall Rigのケージに取り付けて流動的に撮影。koolertronというメーカーのレンズホルダーは即座にレンズ交換ができて重宝している。普段は24-240mmのレンズが中心だが、ハイスピードなど画角がクロップされる際に広角レンズを使用するという。
●実写からCGまで多岐にわたる現場を経験
▲REDやFS7などの機材はレンタル。一人撮影の際は一眼とジンバルの組み合わせが多い。
▲MVの撮影風景。
▲TDKと国立極地研究所のオーロラ撮影プロジェクトに技術者として参加。α7R II 6台で組んだリグの設計からアラスカ現地での撮影。2億ピクセルのVRステッチも担当。
▲学生時代にふと思い立ったプロジェクトでヘリコプターをチャーターし、素材撮りする様子。
▲東京ビックサイトで企業ブースの映像演出を担当。10K映像を制作し、プロジェクター6台で直径30mの270°スクリーンに投影した。
●ビデオSALON2019年9月号より転載