Rマウントのミラーレス一眼カメラ、EOS R5が、7月9日(木)に正式発表された。これまで開発情報が出されていたEOS R5だけでなく、下位モデルになるEOS R6もラインナップされている。気になる価格だが、EOS R5がオープン価格でキヤノンオンラインショップ販売予定価格 税別46万円、EOS R6が同じく税別30.5万円となっている。発売日はEOS R5が7月下旬、EOS R6が8月下旬の予定。

EOS R5  オープン価格(キヤノンオンラインショップ税別46万円) 7月下旬発売

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

EOS R6  オープン価格(キヤノンオンラインショップ税別30.5万円) 8月下旬発売

ここでは動画機能についてまとめていく。

まずEOS R5は、“5”を受け継ぐモデルとして圧倒的な性能を持つメインモデル。新規開発の約4500万画素フルサイズCMOSセンサーとDIGIC Xエンジンを搭載。EOSとしては初のボディ内手ブレ補正で約8段分の手ブレ補正効果を実現。動画電子ISとの併用も可能となっている。驚きは8K/30p 12bit RAWを内部記録できること。RAW記録は8Kのみで、4K RAW記録には対応していない。4K記録の場合は、8Kからの情報をオーバーサンプリングしての4K/30p記録が可能。またハイスピード撮影は、フルフレームでの4K/120p撮影に対応。4K/60pにおいては4:2:2 10bit Canon Log/PQ記録に対応。

R5の記録ファイル形式を整理すると以下の通り。

RAWの拡張子は.CRMで、これは同社のCINEMA EOSシリーズで採用されているCinema RAW Lightと同じなのだが、その中身は異なっている。したがって現状でCinema RAW Lightが扱える編集ソフトであっても、現段階では正式には対応していない。RAW記録を選択した場合は、解像度は8Kのみ。MP4 HEVCは10bitでCanon Logにも対応。通常のMP4は8bitで、こちらはCanon Logを選択することはできない。Log撮影をしたければ自動的に4:2:2 10bitでしか録れないということになる。

R5の機能を見ると、用語がいくつかわかりにくい(どういう中身なのかが理解しにくい)が、まず「4K高画質」モードとは、8Kからのオーバーサンプリングという意味。DCIアスペクトの8.2K、UHDアスペクト7.8Kからのオーバーサンプリングにより4Kデータを生成することにより、ネイティブ4Kよりもディテール表現に優れた高品位な4K映像になる。ただし8Kで読み出すためのフレームレートは最大で29.97pまでなので、対応も同じく29.97pまでとなる。

キヤノンの一眼ムービーでは、これまでは4Kに対応してもセンサークロップすることがほとんどだったが、R5はクロップしないのがデフォルト状態。8K、4K、フルHDともにクロップをしない仕様。

一方でAPS-C相当にクロップできることによるメリットもある。映画業界では定番のスーパー35mmセンサーに合わせた各種シネレンズが使えたり、同じレンズでテレ側に焦点距離をシフトさせた撮影ができる。「クロップできる」のは4KとフルHDのみで、4K高画質モード、4K/120p、8K時はクロップさせることはできない。

8K RAW収録時は、Canon Log設定のON/OFFが可能。ON/OFFの選択により収録されるデータのダイナミックレンジが異なる。Log設定ONでは、Canon Log相当のダイナミックレンジで収録でき、グレーディングで幅広い階調を生かして作業することができるので、動画ユーザーはこちらを選ぶのが通常のワークフロー。一方Log設定OFFは、ダイナミックレンジは狭くなるものの、写真と同じトーンカーブの画が得られる。写真用途ではLog映像の1コマだと扱いにくいためこのモードが用意されている。8K解像度のムービーから1コマを切り出してスチル写真として仕上げたい場合はこちらを選ぶ。DPPを使用してレタッチすることを想定している。

液晶モニターはバリアングルタイプで3.2型、210万ドットのパネル。EOSとしては初めてボディ内手ブレ補正を搭載した。

カードスロットはCFexpressとSDのデュアル。

EOS R6は、EOS-1DX Mark  IIIと同等の約2110万画素のCMOSセンサーとR5と同じDIGIC Xエンジンを採用したモデル。ボディ内手ブレ補正で約8段分の手ブレ補正効果も同等。記録メディアはSDカードのデュアルスロット。ただし動画のデュアル記録には対応していない。

動画機能の違いとしては、こちらは8K RAW記録には対応せず、4K UHD/60p 4:2:2 10bit Canon LOG/PQ記録。5.1K画素からのオーバーサンプリング。ハイスピードはフルフレームでFHD/120pとなる。画素数を抑えている分、R5よりも高感度耐性には優れるという。

ターゲットとしては、EOS R5がハイエンド制作におけるシネマカメラのサブカメラも想定しているのに対し、R6の方は、放送局などにおける大判センサーカメラ、高感度カメラとして、またプロアマ問わず、ワンマン撮影のビデオグラファーに向いている。

R5とR6のボディ寸法はほとんど同じで、重さはR5本体の650gに対して、R6は598gとわずかに軽量。液晶パネル、EVFともにR6は画素数を減らしている。ボタン配置はほぼ同じなので、R5とR6の2台体制というのもありそうだ。

差別化は手ブレ補正とデュアルピクセルCMOS AFの進化か

両モデルに共通しているのは手ブレ補正とAF関連機能。手ブレ補正は、EOS初のボディ内手ブレ補正を採用。Rシステムはマウント開口部が大きく、センサーが動いた場合の周辺部の光量確保でも有利。すべてのEF/RFレンズで5軸手ブレ補正を実現し、さらに手ブレ補正機構を搭載したRFレンズを装着した場合、カメラとレンズそれぞれの手ブレ補正機構が協調して補正することで、より大きな補正効果を発揮する。この協調制御ISにより最大8.0段分の補正効果を実現したという。

動画撮影時は、従来の動画電子ISも併用することができる。動画電子IS時は撮像範囲は90%になるが、さらにそれを70%にして電子手ブレ補正を強く聞かせる「強」も選択できる。

AFは、デュアルピクセルCMOS AFの基本性能が向上している。特に測距エリアが拡大したのがポイントで、任意選択時には横最大約90%、縦最大約100%、自動選択時には画面の全域での測距が可能。さらに自動選択時の測距エリア分割数は最大1053分割と細密化されている。

瞳検出、人物検出の精度も向上。人物の動きなどでカメラが被写体を見失うケースを軽減。様々なシチュエーションで人物を掴んで安定したピント合わせを行うという。

EOS-1D X Mark IIIも含めた動画機能の比較。

注意点としては、ハイエンド仕様をコンパクトな筐体に収めたことにより熱が発生しやすいこと。カメラコールドスタート、23度常温時での最大撮影可能時間は以下の通りに制限される。(30分以上となっている設定は29分59秒で一旦停止し、再度録画開始した場合)

EOS R5

8K RAW 30p:約20分  8K/30p :約20分、4K/60pクロップしない:約35分、4K高画質30p:約30分、4K/60pクロップする:約25分

EOS R6

4K/60pクロップしない:約30分 4K/30pクロップしない:約40分 4K/60pクロップする:約35分 4K/30pクロップする:約55分

高容量の新バッテリーLP-E6NHも登場。従来のLP-E6Nと同じサイズで、容量を2130mAhにアップした(LP-E6Nは1865mAh)。バッテリーの動画連続撮影可能時間はR5の8K RAW動画撮影時、R6の4K UHD/60p IPB記録時で1時間20分。

EOS R5のメーカースペシャルサイト

EOS R6のメーカースペシャルサイト