Arata Fukoe

1992年京都府生まれ。GoPro officialクリエイター。360°カメラやアクションカメラ、CGを駆使した映像を得意とする。京都造形芸術大学、京都芸術デザイン専門学校卒業後、ネイキッドを経て、大阪の映像制作会社に転職。個人活動ではGoProで制作したGoPro FusionやGoProMAXの映像が話題を呼ぶ。現在は東京を拠点に移し、クリエイティブオフィスgradationとマネジメント契約を結んでいる。
WEB●https://www.gradation.site/

文●笠井里香/写真提供●Arata Fukoe

 

 

Arata Fukoeさんの手がけた作品

『Cinematic Car Video shot 100% on GoPro』

GoProとポルシェのコラボレーションムービー。全編をGoPro HERO9とGoPro MAXで撮影した。富士スピードウェイで撮影を実施。縦横無尽に動き回るカメラワークに目を奪われる。

 

 

『XIIX「アカシ」MV』

アニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』エンディング曲。密室シーンでは演者とカメラのみを配置し、カメラワークはあとから追加。エンドクレジットには「360°cam」でクレジットされている。

 

 

ライトセーバーやカメハメ波を作ってみたかった

京都造形芸術大学、京都芸術デザイン専門学校で映像だけでなく、総合的にデザイン、アートを学んだという普光江 新さんはもともとCGをやっていたそう。360°カメラ・GoPro MAXを使った映像で注目を集め、現在さまざまな映像制作で活躍している。

「After Effectsから始めて、最近では小型のカメラを使った映像作りに力を入れています。高校生のときに映像に興味を持ちました。『スター・ウォーズ』のライトセーバーや『ドラゴン・ボール』のカメハメ波のような映像を作ってみたくて、映像の世界に入ったんです。大学と専門学校を卒業した後は、上京して映像制作会社に入りました。プロジェクションマッピングなど体験型映像や既存の枠に収まらない少し変わった映像作りをしている会社でした。そこで腕を磨き、一度大阪に戻って再就職したんです。それからは会社と個人の活動を両立しながら、フリーを目指しました」

 

GoProでの作品作りはどのような経緯で始めたのか伺った。

「誰もやっていない路線を目指したいという気持ちがあったこと、アウトドア、スポーツ、アクションに興味があったので、GoProで撮ってみようと考えました。当時はGoProをメインカメラとして使う映像クリエイターはいなかったので、そこに力を入れていったら面白いのではないかと思ったんです」

 

360°カメラのカメラワークはCGのそれと似ている

現在、普光江さんは新たなクリエイティブチームに参画し、最近では乃木坂46やEXILEなどのビッグアーティストのMVなども手がけている。

「最近、知り合いのプロデューサーが立ち上げたクリエイティブチームに参加しました。僕の映像に興味を持ってくださってお声がけいただいたんです。360°カメラを映像作品で使いこなしている人は少なく、その分野の第一人者になることで、注目してくださる方も多くなると思います。360°カメラは、その場では全方位を撮影し、後からカメラワークをつけることもできます。カメラワークのつけ方は、CGのカメラワークのつけ方と似ているんです。CG制作の経験が生きているのかなと思います。カメラの気持ちよさ、見ていて気持ち悪くならないカメラワークを心がけています。GoProに限らず、小型の360°カメラをアクション用、暗所や雨でも強いものなどいろいろ使い分けて撮影しています」

これまでも目を引く革新的な映像表現を生み出してきた普光江さんだが、最後に今後トライしてみたいことを伺うと、こんな言葉が返ってきた。

「誰も開拓していない分野、表現方法をどんどん編み出していきたいです。いつも、『アレにコレを組み合わせたら、こういうのができそうかも!』というある意味“妄想”から始まって、それを実行に移すために試行錯誤してますね。まだ誰も試していない映像表現を生み出し続けていきたいです」

 

主な使用機材リスト

 

制作風景と機材

▲最近主に使っている360°カメラ。GoPro MAXが防水でアクティブな撮影に。Qoocam 8Kは解像度が求められるシーンや人物撮影で主に使用している。

▲360°カメラ用のポール。

▲カメラを取り付ける場所は多岐にわたる。そのためアタッチメントも各種取り揃える。

▲360°カメラで撮影した素材にあとからAfter Effectsのプラグインでカメラワークを設定する。

▲編集用PCは自作機。

 

 

VIDEO SALON2021年7月号より転載