第38回 使いやすくなった HyperDeck Studio HD Plusを収録のメインレコーダーに!
写真・文◉川井拓也(ヒマナイヌ)
ブラックマジックデザイン HyperDeck StudioHD Plus
91,278円
HDMI2.0と6G-SDIの入出力を備える。SDカードスロットを2系統に加えて、USB-C接続のSSDなどの外付けストレージにH.264時最大1080/60p、ProResやDNxHD/HR録画時は最大4K/30pに対応する。ヘッドホン端子を備えており、音声のモニタリングも可能になっている。2.2インチの液晶モニターを備え、映像のモニタリングに加えて、音声レベルの確認、各種メニュー画面も見やすい。USB-CでPCと接続すればWEBカメラとして認識される機能も。
1本1時間のファイルを ProResで録画していると…
ヒマスタは対談専門を謳っているライブ配信スタジオなので1回の収録は1時間が標準。1カットずつ撮っていくCMやPVとは違って毎日数時間分のアーカイブ動画が増えていきます。
LiveSehll Xでmp4録画をしつつもスタジオクオリティをなるべく高画質に残したいということで以前はProResで記録していた時期もありました。しかし毎日1時間の対談を3セットも記録しているとProResでは4TBのハードディスクが数カ月でいっぱいになります。
これは保存場所も取るしたまらないということでLiveShell Xよりも高画質なmp4で録画できる旧Hyp erDeck HD Miniを導入していました。3種類のビットレートも選べて録画ファイル自体のクオリティには満足していたのですが、ヘッドホン端子やHDMI入力がないことなど不満点もありました。そこに今回のリニューアルを機に早速最新のHyper Deck Studio HD Plusにリプレイスすることにしました。
▲ヒマスタの配信ブース
▲スイッチャー下に配置したHyperDeck Studio HD Plus
今さらながらHDMI入力と ヘッドホン端子がうれしい!
旧HyperDeck HD MiniはHD-SDI端子しか入力がなかったので、プログラムアウト端子がHDMIのみのスイッチャーではHDMI to HD-SDIのコンバーターが必要でした。今回のHyperDeck Studio HD PlusではHD-SDIに加えHDMI入力にも対応、本体前面のINPUTボタンですぐに切り替えることができます。
最近はコンバーターも安いのでまだいいのですが、レコーダーなのにヘッドホン端子がないのは大きな不満点でした。レベルメーターは液晶で見えても音をモニターできないのではLiveShell Xと変わりません。標準プラグのヘッドホン端子に加えスピーカーまで内蔵して音のプレビューには不満がなくなりました。
本体前面にあるスピーカーボタンを押しながらダイヤルを回すとヘッドホン音量が調整できます。ヘッドホンを挿してない状態でスピーカーボタンを押すと押している間だけスピーカーから音がモニターできます。そのままスピーカーでモニターしたい場合は2回押しでスピーカー出力にロックされます。「手元にヘッドホンはあるけど標準ジャックからミニジャックへの変換プラグがない!」という時でも音のモニターがサッとできるのは便利です。
▲INPUTボタンを押すと、HDMIとSDI入力を切り替えられる。
▲ヘッドホン端子の上にはスピーカーボタンがあり、これを押している間、スピーカーに音声が流れる。このボタンを2回押しするとスピーカー出力にロックされる。
USBストリーム機能があるので録画再配信なども気楽!
購入時期にもよりますが、本体のファームウェアを8.0.2にアップデートすることで背面にあるUSB- CのSYSTEMポートからそのままUS Bストリームをパソコンに取り込めます。パソコンにはWEBカメラとして認識されるので、ZoomやTeamsなどのテレビ会議アプリに送ることもできますし、XsplitやOBSなどで配信もできます。
入力されているHDMIの信号はもちろん本体で録画したファイルを再生することもできるので、録画再配信が簡単です。カメラ映像と録画映像を切り替える際は黒が入りますが信号が乱れることはありません。
再生のリピート機能もあるので収録した映像を1日限定でループ再生してライブ配信するといった使い方もできます。動画をオンデマンド配信すると早送りや停止ができますが、リピート再生のライブ配信ならその心配もありません。講師やスタッフがライブコメントするなど運営を工夫すれば収録したばかりのライブ配信コンテンツの有効活用にも繋がりそうです。
さらに録画機能付きのコンバーターとして考えると、HDMI入力がUSBストリームとHD-SDI 3ポートとHDMIスルーアウトの5系統に分配されるのでコストパフォーマンスは抜群です。業務機の信頼性がありつつH.264の高画質でmp4録画したい人には現時点でベストな選択肢ではないでしょうか?
▲ヒマスタで録画に使用しているのはH.264の記録方式。
●VIDEO SALON2021年11月号より転載