文・作例 ナカドウガ
TV番組のオンラインエディターを経て、日本で唯一のテロップ漫談家を自称しながら、テロップについてのノウハウを発信している。

 

画面内の情報をしっかりと伝えるためには、目線誘導を計算に入れたデザインをする必要があります。テロップが使うのは文字だけではありません。文字だけで伝えにくい場合はアイコンや矢印などを使い、効果的に注目を促す方法を学びましょう。

失敗例がイマイチな理由
文字だけで表現しようとしているため、映像のどのタクシーのことなのか分かりづらい。

こうやって改善
注目させたいタクシーを指し示す矢印を入れ、文字数も少なくすることで、直感的に伝わるようになった。

 

 

直感的に目線誘導する4つの方法

文字を使わないという方法はさまざまな場所で使われています。たとえば街中にあるピクトグラムは、日本語が読めない外国の方や子どもでも、何があるのか直感的に理解できるようにデザインされています。

こうした文字に頼らない方法はテロップにも応用ができるのではないでしょうか。まずはシンプルに「矢印」や「アンダーライン」などを使って、直感的に目線誘導をする方法を見ていきましょう。

 

①枠で囲む

前ページの矢印はピンポイントに注目させる場合に効果的ですが、たとえば地図上の特定の場所など、より広範囲を示したい場合は、枠で囲むのが効果的です。

 

②ハイライトを入れる

報道番組で、機密文書をスクープした時などで、よく見かける手法です。見せたいものの周囲の色を暗く落とすことで、注目させたいものを際立たせることができます。

 

③アンダーラインを入れる

たとえば映像内の看板の文字を読ませたい時は、アンダーラインを入れましょう。またそのラインをアニメーションさせることで、より目線誘導の効果を高めることができます。

 

④吹き出しを付ける

登場人物が多い場合に、誰がしゃべったかを、直感的に分かるようにする手法です。さらに、ふきだしを色分けすると、より区別が明確になります。

 

装飾を使ってダイレクトに伝える方法は、一見当たり前のように感じますが、制作の段階ではこうした直感的なアイデアに気がつかないものです。

テロップがフォローする領域は、文字だけではないということを覚えておいてください。視聴者に気持ちよく見てもらうためには、こうした手法を知っておくことも大切です。

 

 

アイコンを使ってデザイン性の高い目線誘導を目指す

事務的な目線誘導だけではありません。テロップベースほど存在感を強くしたくない時に、アイコンや装飾は便利です。

デザイン性を高めながら、同時に目線誘導にもつながります。中には標準機能だけで作るもの、記号・約物を活用したもの、フリー素材を使うものなど、なるべく手間のかからないアイデアをいくつか紹介します。

 

『ちょっとした飾り』をつける

これらはテキストの約物『−(長音符)』を使ったかざりや、『+(プラス)』や『●(黒丸)』などの記号の組み合わせだけで作られています。そのためにいちいちシェイプを増やすなど、特別な手間を使わずにデザインできます。

 

文字に直接加工する

文字を複製して色を変え、位置を少しずつズラしながら重ねたり、文字の下部分に液体がしたたるような効果をつけました。こうした方法はデザイン性を高めながら、映像のニュアンスを的確に伝えるのに役立ちます。

 

アイコンを付ける

文字の先頭にあしらうだけで、一気にリッチになる方法です。たとえば、料理名にはナイフとフォークをあしらうなど。自作するのが1番ですが、手間をかけたくないときは、フリー素材をありがたく使わせてもらいましょう。もちろん規約をよく理解してご活用ください。

 

『ICOOON MONO』では、使い勝手の良いアイコンが配布されています。そのほか飾り罫線の素材や一風変わったピクトグラムなど、様々なバリエーションのデザイン素材が集まっています。

https://icooon-mono.com/

 

軽めなラインを引く

テロップベースほど重い印象を与えずに、さらっとしたデザインにしたい時は、文字の上下左右にラインを引いてしまいましょう。リボンを付けたり、角を丸める、破線をつかうなど、アレンジしやすいのも特徴です。

 

軽く囲む

吹き出しにしてみたり、周囲にシェイプを飾ったりすることで、凡庸になりがちなテロップを一気に華やかにしてくれます。手書きに自信がある人はペンタブレットなどで、ラフに描いてしまうのも味があっていいと思います。こちらもフリー素材を活用してもいいでしょう。

 

ハンコを付ける

「認定!」のようにテロップの後にアニメーションさせてハンコを出現させることで、強い目線誘導になります。またデザインのアクセントにもなり、作例のように作れば、和風・洋風どちらでも使うことができるでしょう。

 

 

今回のまとめ

基本的にテロップデザインは面倒くさいんですが、唯一楽しくなる瞬間があります。それが、こうした装飾づくりです。とくにテロップの内容とバッチリと当てはまった時におもしろさを感じます。

事務的なテロップに飽きてしまった中堅テロッパーにこそ、オススメしたい装飾です。どんどん目線誘導していきましょう! 帰宅時間を早める誘導だけは、できないみたいですけどね。

 

 

 

●VIDEO SALON2022年11月号より転載