薄型・軽量なデザインでありながら、高いパフォーマンスを発揮するHP ZBook Studio 16inch G9 Mobile Workstationシリーズ。今回は、NVIDIA GeForce RTX 3070 Tiを搭載したモデルを用意。marimo RECORDSの江夏由洋さんに、作業を試してもらい、使用感をうかがった。
取材●編集部 片柳 構成・文●笠井里香 協力●株式会社 日本HP
○江夏さんが制作した映像をご紹介
marimoRECORDSが手掛けた富士フイルム X-H2Sの公式映像『Hope』。8K映像に、BlenderでCGモデルも制作して合成した。
『HP ZBook Studio 16inch G9』アドバンスド・クリエイターモデル
¥655,600(税込)〜
Windows 11 Proに対応する、薄型かつ高性能な16インチ型のモバイルワークステーション。アドバンスド・クリエイターモデルはNVIDIA GeForce RTX 3070 Tiを搭載。
※公式サイトから見積もりを取ることでスペック、価格は相談可。
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●今回使用したPCスペック
ノートPCで映像を編集するために必要なこと
僕自身、普段から作業の100%をHPさんのPCで行なっています。基本的にデスクトップを使っていますが、今回はZBookのモバイルワークステーションで映像編集や再生など、通常の業務で行なっていることをそのまま試しました。
HP ZBook Studio 16inch G9 アドバンスド・クリエイターモデルはCPUとGPU、メモリとストレージ、どこをみても作業する上では充分なスペックだと考えています。とくにGPUが搭載されているかどうかはとても重要で、CPUベースのグラフィックだと、処理にとても時間がかかってしまいます。本機はNVIDIA GeForce RTX 3070 Tiが搭載されているので、その点は問題ありませんでした。また、本機にはRTX A(旧Quadro)シリーズも搭載可能です。AシリーズのほうがCUDAコアの数やVRAMの容量も多いため、消費電力が抑えられ、長時間のレンダリング作業に向いています。いま選ぶのであれば、RTX Aシリーズも検討したいですね。
今回は、GeForce RTX 3070 Tiにおいて、4K以上の解像度の映像の作業が可能なのか、検証してみました。アドビ Premiere Proで、実際に僕が撮影したネイティブ8K/24Pの映像素材を使っているプロジェクトを展開。フル画質でプレビュー再生をした場合、さすがにカクつく瞬間もありましたが、なんとか作業は行えるといった印象でした。次に6K/24Pの素材をフル画質でプレビュー再生。素材自体にLUTをあてて再生しましたが、カクつくことはなかったです。同様に、4K/60Pの素材も問題がなく再生できました。
●8K/6K/4Kの映像素材で検証
アドビ Premiere Pro 2022での8K映像のプロジェクトファイルを展開。素材は富士フイルムのX-H2で撮影したもので、8K(7680×4320)/24p、コーデックはApple ProRes 422LT。約2分の素材で、ファイルサイズは50GB程度。素材をシーケンスに配置し、作業する上で支障がないかを確認しました。LUT用の調整レイヤーも配置し、フル画質でプレビュー再生。若干カクつく瞬間もあったが、再生することはできました。
次にパナソニックS1Hで撮影した6K(5952×3968)/24pも同じようにタイムラインに配置して、フル画質でプレビュー再生。カクつくこともなく、再生することができました。4K(3840× 2160)/60pの素材も同様に試してみたが、問題なく、再生が可能でした。
▲8K素材のプロジェクトファイル。実際に仕事で使ったファイルをそのまま開いて検証した。
電源、エアフローのストラクチャーも優秀
HPさんのPCで僕が気に入っている点のひとつが、ストラクチャー、つまり設計です。本機は、気化熱を利用したべーパーチャンバーが優れていて、排熱性も高く、エアフローの効率も良さそうです。CPU温度が60℃を超えるとパフォーマンスが半分になることもあるので、ここは重要です。
さらに設計の面でHPさんは、電源ユニットがすごくよくできている印象で、マザーボードに必要なワット数、グラフィックボードやPCIスロットの適切な配置などが完璧。動作に不安を感じたことはありません。約10年前に入手したHPさんのWorkstationを、今も現役で使うことができているのは、設計の優秀さも要因のひとつだと思います。
HP ZBook Studio 16inch G9の底面。大きな吸気口を備え、排熱口はヒンジ部分。内部の高性能冷却システムは、液体の蒸発・気化を利用して、CPUとGPUからの熱伝達を促進し、チャンバー全体に分散。液晶ポリマーデュアルブレードファンと3方向排熱で、冷却性能を高めている。
高性能なマシンのポテンシャルを生かすドライブのパーテーション分割
最後に、PCのパフォーマンスを保つTipsをひとつ。必ず設定するのは、キャッシュを管理するためにドライブをパーテションでふたつに分けることです。
今回の機体であれば1TBのストレージがあるので、750GB/250GBに分け、容量の大きいほうにはシステムやアプリケーション、小さいほうにはキャッシュが入るように設定。PCが重くなったり、フリーズしたりすることも減り、作業も快適に行えます。
システム、アプリ以外のデータ類はすべて外付けのSSDで運用している。連泊する撮影などでは、撮影後にデータをコピーしてメディアをフォーマット。その日のデータはその日のうちにコピーし、日をまたぐことはないそう。
●ウェビナー開催決定!
「映像クリエイターのリアル わたしのPCの選び方」(講師:カゾエノブアキ、江夏由洋)
映像クリエイターのPC選びの一助となるべく、プロの映像クリエイターがどのような視点でPCを選び、活用しているのか、現場のリアルな視点からトークを展開します。講師は、Unreal EngineでXRライブを制作するカゾエノブアキさんと、映像作家としてさまざまな映像を制作する江夏由洋さん。本当に知りたい、リアルなPCの選び方を語ります。