今年も怒濤のInterBEEが終わった。レポートはこれから順次アップされるビデオSALON.Web、そして12月20日発売の1月号をお読みいただくとして、ここでは、本編には掲載されないものや個人的なことを書いておく。


新しい製品や技術を追いかける仕事をしているせいもあるし、個人的な嗜好もあるが、展示会で一番興奮するのは古いものだったりする。今回のInterBEE2015、まずはこれでしょう。
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三脚のMILLERといえば、オーストラリアの歴史ある三脚メーカー。創業は1954年。創業60周年の2014年には、NABでシネマ用の木製の三脚、LP ’54 Classicのリミテッドバージョンがチャリティーオークションとして出品され、話題になったそうだ。そのニュースはこちらから(英文サイト)
これを見ると、三脚は昔は本当に木だったんだということ、そしてこれだけカメラが変わっても、三脚の基本構成とスタイルというのは本質が何も変わっていないという事実、そしてそれよりもモノとしての美しさに感動を覚え、その前から立ち去りがたくなる。クロームと黒と木の色の配色が絶妙だ。事実、MILLERブースでは、この三脚の前で足をとめる人が多く、一番「引き」があったという。
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 そのMILLERだが、日本では長年、駒村商会が扱ってきたが、数年前に駒村商会が商品を大幅に絞り、多くの取り扱いブランドとスタッフがケンコープロフェッショナルイメージング(KPI)に移っていた。そしてこの11月、MILLERはケンコープロフェッショナルイメージングからベルボンへと代理店が変更になったことが発表された。これまでのInterBEEでは、KPIのブースの一区画にMILLER三脚が置かれていたが、今年からは、ベルボンブースに。大きくMILLERをアピールすることにより、MILLER製品とブランドがより目立つブースになった。このクラシック三脚はそのMILLERブランドの歴史をアピールする宣伝材料になっていた。ベテランのカメラマンではMILLERに慣れ親しんだ人も多いが、ここ何年かは、より現代のカメラに合わせてより小型軽量カメラ向けに細かくラインナップを拡げてきたヴィンテン、ザハトラーの二大巨頭に押されていたことは事実。またより若い層には、マンフロット、リーベックといったメーカーが浸透してきており、低価格製品においても影が薄かった。今後、ベルボンが扱うことになり、その魅力をどういった方向でアピールできるのか、注目したい。
興奮したといえば、TASCAM(ティアック)ブース。TASCAMのDR-701Dは、すでに各所で話題になっており大ヒット商品になりそうな予感がするが、一方で、ブースの奥にはオープンリールデッキが置かれていた。知らなかったのだが、このBR-20は2008年まで販売されていたのだそうだ。このモデルは社内にあった新品だという。
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もちろんこれはこの製品をアピールする目的ではなく、ティアックの子会社でテープ素材をデジタル化するサービスをしますよという説明用。奇しくも今回ソニーの記者発表会においても、放送局向けにベータカムなどのテープ素材をデジタル化するサービスを請け負うことがアナウンスされていたが、そろそろ手持ちの再生機がおぼつかなくなり、メーカーにある状態のよいデッキに頼らなくてはならない時代になってきそうだ。
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新品ということもあるが、モノとしてとても美しい。この3本の切れ込みのところは、テープを切ってつなぐときにフェードのデュレーションを決めるものだそうだ。自分のなかではオープンデッキを使ってこなかったということが大きな心残りになっている。ちなみにカセットテープデッキも特にダブルリバースなどは、モーターが入手しにくくなりつつあり、TASCAMのカセットデッキなどは生産終了になっていくようだ。
 デジタル一眼ムービーの登場で完全になくなったかと思ったDOFアダプターだが、ケンコープロフェッショナルイメージングブースでは、iPhone(スマホ)撮影用のリグのオプションとしてDOFアダプターも展示されていた。
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 スマホのレンズは単焦点。しかも動画になると画角が狭くなるカメラが多く、ワイド側が足りないこともあるのでワイコンをつけたいという欲求はある。リグは左右に取っ手があり、安定して持つことができる。それだけなく、オプションとしてDOFアダプターも用意される。マウントは各種あるそうだが、デモ機はEFマウント。果たしてどんな感じで撮れるのか試してみたい。
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2日目の夜は、各所でパーティが開催される。今年はパナソニックがDVX200を発売したことを記念して、ユーザーや関係者が集めたクリムゾンナイトが開催された。クリムゾンとは、DVX200のあの特徴的な赤、クリムゾンレッドのことである。単に「ご歓談ください」というパーティではなく、トークショーも開催。DVX200開発陣による裏話なども。ボディカラーの検討、本当に検討したのか、単なるジョークなのか、ずっと話を聞いていたわけではないので定かではないのだが、
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シルバーとか白だと、どうしてもキヤノンXLを連想してしまうからダメでしょう。ただキヤノンのCINEMA EOSでは、XLシリーズのテイストを受け継いではいないので、放棄したと見なして他社が挑戦してみてもおもしろいかもしれない。
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カラバリを見せられると、自分だったらどの色がいいのか真剣に考えてしまう。オレンジかな。
つづいて、実際に作例などを制作したユーザーが登壇。
その話の内容はよく覚えてないのだが(すみません)、みんなが前に出て撮影していたのは、完動品のDVX100がケースから出されたとき。実はついこの間まで編集部にもパナソニックからお借りしていた(借りっぱなしになっていた)DVX100Bがあったので、DVX200と並べて撮影してみたかったのだが、メーカーに返却してしまっていた。DVX200が出てくるのなら、もう少し借りていたのに。ちなみに誌上でテスターの百瀬さんも書いているが、DVX200はDVX100を連想しているとその大きさに驚く。サイズと重さはP2のHVX200あたりだと思っていたほうがいい。
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DVX100は個人的にデザインも持った感じもとても好きだったが、DVX200もカッコいいと思う。こういうカメラで撮影していると、カメラマンはもちろん、撮られている側も現場スタッフも気分が高揚するのではないか。映像制作の専門誌としては、ぱっと見、動画撮影機と分かり、しかもそれがカッコいいというのは、門外漢の人にアピールするにあたって、大変ありがたいこと。
最後に抽選会。当然DVX200が当たるんでしょ、と思ったら、現在パックオーダーを抱えていて、とてもこちらに回す余裕は一台もないということで、DVX200用のハードケース。ビデオサロンでよく書いていただいているマルチカムラボラトリーの渡邊聡さんも抽選にあたって、ハードケースをもらっていた(笑)。これはDVX200、買わないとね。
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そのあとはATOMOSのパーティーへ。爆音の音楽が流れる中、大声で話さないと聞き取れない。途中参加でそんなにしゃべってないつもりなのに、翌朝は声が嗄れていた。
数年前から玄光社も本の販売ブースを出すようになった。毎年11月中旬というと20日発売のビデオサロンが間に合うかどうか微妙なところだが、今年は18日の午前中からビデオサロン12月号を販売。またこのInterBEEに合わせて作ったムック「4K映像制作ワークフロー」もとてもよく売れた。本が売れるのであれば、人を出して手間をかけても採算がとれるので、会社の業務として参加できるようになる。編集部員は、ブースを出していることに関係なく、取材でこちらに来ているし、最近ではライターさんもメーカーブースに登壇して話すことも多くなったので、ビデオサロン関係者が集まるようになってきた。本は去年よりも売れたらしいので、来年も継続出展できると思う。
 ビデオサロン本誌で長年連載されていて、今年の夏、「ビデオグラファーの制作術」という本を刊行した京都在住の岸本康さんもたまたま東京で撮影があったということで、Inter BEEに初来場。ブースに立ち寄っていただき、著書を手に記念撮影。ブースがあると拠点にもなるし、何よりもいろいろと宣伝になる。
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宣伝といえば、今年はメーカーさんから、InterBEE会場で配る刷り物としてビデオSALONからの抜き刷り(小冊子ふうになったもの)を採用していただいた。メーカーのほうは宣伝であり、情報伝達ツールだが、ビデオSALONとしても表紙にロゴを入れたりしているので(そうでないものもあるが)、宣伝になる。我々が作った抜き刷りを手にしている人を見ると嬉しくなる。
今回、会場で配られていたビデオSALON関連の小冊子は
●パナソニックDVX200 16ページ
●ソニーS-Log撮影&編集をマスターする 8ページ
●JVC LS300CH 8ページ
●キヤノンXA35/30 4ページ
●コーワ KOWA PROMINAR 12ページ
●グラスバレー Log×EDIUS  8ページ
たしか全部で6種類あると思う。
取材している我々も紙の刷り物に頼ることは多い。パネルに貼られた説明書きだけならデジカメで撮って後で拡大して見れば紙も減っていいのだが、ある程度内容があるものだと、とりあえず紙をもらっておけば、後でじっくり読める。紙であることの利点はあるなと、最近つくづく思う。数日で紙ゴミになってしまうかもしれないが、これで少しでも宣伝になって、ビデオサロンの存在を知ってもらったり、Webで検索してビデオSALON.Webを覗いたりしてもらえればいいわけで。
さて、このコーナーでは私の趣味でひなびた銭湯なんかも登場するのだが(誰もそんな情報求めていないが)、幕張に20年以上通いながら、その近辺の銭湯に行くという発想はまったくなかった。最終日の夜、向かったのは幕張本郷から京成線にのって一駅、習志野市の鷺沼温泉。温泉といっても銭湯である。(ちなみに千葉県の銭湯料金は430円と東京よりちょっと安い)
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これがまた衝撃的な銭湯だったのである。昭和30年代くらいにタイムスリップしたような空間。中を撮影できなかったのは残念だが、とにかく、すべてが古く、なんとロッカーはなく、脱いだものは籐製のカゴに入れる方式。旅館やホテルの大浴場、温泉ではそういうところもあるが、一応首都圏の銭湯ですよ、ここ。財布やスマホ、カメラ、InterBEEの資料など、なくなったら困るものがある。一瞬焦ったのだが、でも、この銭湯、脱衣場に向いた昔ながらの番台方式。ばあさんが見張って?いてくれるから実は一番安心なのである。
湯は黒湯。大田区を中心に千葉の船橋あたりから神奈川まで黒湯のベルト地帯が広がっているが、ここも都心の黒湯と同じような感じで、駅まで延々に歩いても体の冷めないという暖まり方は似ていた。次は真冬に来てみようと思う。
今年のInterBEEは、ハイエンドでは8K、HDRのデモがそこかしこで行なわれていた。8Kはまだしも、HDRのデモを真剣に見ていると、バックライトの光が強すぎるせいか、眼の奥が痛くなり、頭痛がしてくることがある。自分は映像を見るときに、それが抗いがたい視覚的な快楽があるかどうか、ということをひとつの基準にしているが、HDRにはその点魅力が感じるし、ということは、可能性もあると思う。頭が痛くなるほど見入ってしまうわけだから。
とにかく目と脳を酷使したあとは、
風呂にぼ〜ッと入ってCPU使用率をとことん落とさないとダメですね。