CINEMA EOS SYSTEMについては、こちらに書きました。
11月3日にハリウッドでの歴史的な発表がある、というアナウンスがあってからというもの、
「いったい何なんでしょうね」というのが、時候の挨拶のように話題になっていました。
その歴史的というのは、
キヤノンがハリウッドの映像制作市場に本格参入する、ということだったわけですが、
ここまで気合いが入った発表をするとは思ってもみませんでした。
EOS 5D MarkIIが出て以降、
「キヤノンがビデオ機器でやるのはこの路線でしょう」ということで、
多くの映像関係者がキヤノンにリクエストを出していたと思いますが、
想像したとおり、2009年から開発に着手していたとのこと。
その仕様も順当で、まさにソニーPMW-F3対抗のカメラを出してきたということなのでしょう。
順当というのは、
●記録はビデオカメラのXFシリーズでも採用している4:2:2のMPEG2 50Mbpsでファイル形式はMXF
●ミラーボックスはいらないんだから、それを外してNDフィルターを入れて欲しい
●EFレンズのマニュアル操作モデルを出してほしい
といったあたりを実現してきたことでしょうか。
▲ボディは思ったよりももちやすい。構えると自然なところにファインダーがくる。
細かいところでいいなと思ったのが、アイリスの制御です。
ビデオカメラは撮影中でも絞りが滑らかに動きますが、EOSではそういうわけにはいきません。
そのあたり、これはレンズにもよるとはいっていましたが、
アイリスを滑らかに変化させるモードも採用しています。いい気配りですね。
マニュアルレンズは、1本59万円(税別)。
ちょっと個人では買えない価格になってしまいましたが、まあ、シネレンズとしては順当なところなのでしょう。もうちょっと安いと「自分の5D MarkIIにつけたら、どんなだろう」なんていう妄想を働かせてしまいますが。
いや、妄想だけなら、別につけさせてもらってもいいのか・・・。
ズームレンズ、単焦点レンズを触ってみたかったのですが、発表会場では触れる状態ではありませんでした。それどころか、ズームレンズは会場になかったと思います。
触れるのは16日からのインターBEEになるとのことでした。
さて、日本の個人クリエイターが手が届かないとなると、ターゲットはどこでしょうか?
キヤノンマーケティングジャパンによると、日本ではCM制作市場、次に映画制作市場とのこと。
たしかにソニーによると、F3はCM制作市場に大いに受けているそうです。ソニーとしてみると、F3はこれまでのデジタルシネマカメラからすると画期的に安いんだから、もっとクリエイター層にということだったらしいのですが、景気も悪いですから、CM業界が安いF3を使い、クリエイターはF3なんて高嶺の花で、やっぱりEOSということなんでしょうね?
そのF3よりもちょっと安く出してきたというのが、戦略でしょう。
さて、そうなると気になるのが、4Kの24Pが撮れるという開発中のカメラ。これはEOS-1D Xがベースと明言されていましたから、となると、価格は、100万円近くになるのでしょうか??
やはり個人レベルではEOS 5Dの次期バージョンでしょうか。
今回のアナウンスがされたということで、5Dで4Kが撮れるということはないんでしょうし、5D NEWの動画の仕様もある程度見えてきました。
4Kは諦めるとして、たとえば120P記録で超滑らかなスローモーションという映像も、高感度で高速読み出しができるCMOSでできないでしょうか?
今回のCINEMA EOS SYSTEMは堅実な仕様で、とてもいいと思うのですが、
EOS MOVIEではなにか挑戦的な仕様を見てみたいものです。
「4KはまずEOS MOVIEでやる」というのは、
これから先端的なことはEOS MOVIEのほうでやっていくという
意志表示だと勝手に受け取りました。
考えてみたら、そもそも35㎜フルサイズでの動画というのも相当アバンギャルドですからね。