ビデオサロンでも機材のレポートを書いていただいている竹本宗一郎さんに、タイムラプス撮影の本を書き下ろしてもらいました。全くの初心者でもこれを読めば、夜のタイムラプス撮影ができるようになるトレーニングBOOKになっています。各メーカーの主要カメラをもってきて、インターバルタイマー撮影の方法を解説したり、トレーニング編として、室内で時計の針を撮ったり、ベランダで星空を撮ってるなど、このステップで行けば、私もできるようになる気がします。もちろん、GH5Sを使ってベランダに出てやってみましたが、ちゃんと出来上がりました!

内容についてはこちらをご覧ください。

このMOOKの編集作業は竹本さんがすでに何冊も出版されているだけあって、順調に進んでいたのですが、最後の最後に落とし穴が待っていました。色校正を出してみると、星がまったく消えてしまっている画像があるのです。すべての画像で星がなくなるわけではなく、A4判の見開き(つまりA3近く)で使ったものはまだいいのですが、横幅25cm以下で使用する画像では、星が減っているどころか、まったくなくなっています。それが顕著なのがニコンD850で撮ったものだということに気がつきました。

オリジナルのInDesignからその印刷所指定の入稿用のPDFに書き出した段階で、星の数が半分くらいになります。そしてそれで校正を出したり、プリントアウトすると、その1/3くらいになります。

印刷用にはフォトショップである程度アンシャープマスクをかけるのは常識ですが、アンシャープマスクをかけすぎるとどうしてもわざとらしく平板な印象になってしまうので、印刷で鈍ることを想定して適度にかけるわけですが、それでPDFでは細かい星が増えてくるのですが、最終的にプリントアウトするとそれは消えてしまいます。

ビデオサロンの表紙の撮影とデータ作成をやっていただいているカメラマンさんに相談したところ、高画素のものを縮小するとどうしてもボケるので、まずはオリジナルサイズでスマートシャープをかけ、CMYKに変換して使用サイズに縮小(再サンプリング)、そこでアンシャープマスクをかける、という手順を教えてもらって(本当はもっと細かく教えてもらっています)やってみたのですが、それでも星が再現されません。

印刷所のオペレーターさんにシャープネスの度合いをチェックしてもらったところ、「なかなか巧みにシャープネスをかけていますね」とお褒めの言葉をいただいたのですが、「これは出るか出ないか責任もてませんが、やってみます」と言われて戻ってきたデータはかなりガツンとアンシャープマスクがかかっていました。なるほど印刷現場の感覚ではこれくらいかけるのかと思ったのですが、でも、そのデータを使った色校正でもやっぱり星の数は1/6くらいになっています。

以下はオリジナル画像はD850で撮ったものかどうかわからないのですが、作業している眼前を様子をiPhoneで撮影して、印刷所の担当の方に送って泣きついた画像。これでニュアンスが伝わると思います。

右はiMac 5Kディスプレイ上で見た入稿PDF原寸表示。左はそれをインクジェットプリンターでプリントアウトしたもの。色校正ではありませんが、色校でもこれくらい星がなくなります。

結局、ここはレイアウトを変更して、部分拡大画像も乗せることにしました。

(おそらく電子版ではPDFで再現されたものは再現されているはずなので、細かいところまで見たい人は電子版をオススメします)

作業しているうちにD850というカメラが怖くなってきました。後処理で強調すると見えるか見えないかくらいの星が出てくるのです。つまりドットレベルで解像しているんです。実は夜空にはものすごく星があって、センサーではそれを受け取っているんですね。

この経験以来、D850というカメラに興味が湧いてきました。あの価格のカメラが売れ続けている理由の一端がわかったような気がします。それぞれの人が自分の関わるジャンルで衝撃を受けているんでしょうね。

今回はいい経験をさせてもらいました。それにしても、D850が気になります。

(後日談)その後、高画素カメラのテストをされていて印刷にも詳しい某カメラマンにお会いしたときに、上記の話をしたところ、作業手順として、まずは「星をボカして大きくする」作業をしてからシャープネスをかけていかなければと言われました。今度機会があれば試してみたいと思います。

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ビデオサロン7月号では、Osamu Hasegawaさんに都市夜景のタイムラプスとハイパーラプスについて書いていただいています(レイアウトを変更してMOOKにも転載されています)。その関連ムービーも作っていただきました。すごいです、、、。