映像+(EIZO PLUS)
新しい映像が生まれてくる現場 Vol.12

『映画刀剣乱舞』

 

▽▽予告編はこちら▽▽

2019年1月18日(金) 全国ロードショー
©2019「映画刀剣乱舞」製作委員会 ©2015-2019 DMM GAMES/Nitroplus
配給:東宝映像事業部

 

公開直後から話題沸騰、連日満席の『映画刀剣乱舞』。
ゲームを原案として、舞台、アニメと大人気のコンテンツを、映画ならではのスタイルやアプローチにこだわった本作。ゲームから映像化する際のポイント、時代劇としてのこだわり、そして撮影の舞台裏を気鋭の耶雲哉治監督に語ってもらった。

 

STORY

名立たる刀剣が戦士へ姿を変えた“刀剣男士”を率い、歴史を守るため戦う刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」。アニメや舞台でも大ヒットを記録し、エンターテインメントを席巻するコンテンツが、ついに実写映画となる。監督は気鋭の耶雲哉治、脚本はヒットメーカー小林靖子。キャストには舞台でも三日月宗近を演じる絶対王子・鈴木拡樹をはじめ、若手実力派舞台俳優が集結。圧倒的な再現力で、刀剣男士が銀幕に舞う!


INTERVIEW ── 監督 耶雲哉治


▲耶雲監督とともにエンタメ時代劇として、映画ならではの見せ方を考えるキャストたち。

 

ゲームでも舞台でもアニメでもない映画としての「刀剣乱舞」を

Q:「映画刀剣乱舞」を監督された経緯を教えてください

耶雲:僕自身は「刀剣乱舞-ONLINE-」というゲームがあるのを知っている程度だったので、お話をいただいてまずミュージカルの舞台を観にいきました。時代劇でアクションもあり、刀剣が戦士の姿になったというキャラクターも面白い。それにゲームやアニメなどメディアごとに世界観があると知り、漫画やアニメの実写化とは違う映画独自のアプローチができるんじゃないかと思い、お引き受けしました。 小林靖子さんの最初のプロットの時点でもう面白くて、それをちゃんと落とし込むためにどうするかを考えましたね。狙いどころとしては、分かりやすくいうと『アベンジャーズ』。それぞれに個性があるいろんなヒーローが集まって戦っていくことが、すごくいいかなと。

 

Q:2.5次元を中心に活躍しているキャストが参加していますが、映画化にあたり引き継いだ部分、変えた部分は?

耶雲:人気の原動力として2.5次元ファンがいますから、その期待を裏切らないということは前提にあります。ただし舞台をそのまま映像にしようとは考えませんでした。あくまでも原案はゲームですから、そのイラストのイメージがベース。さまざまなポジションから撮れるのが映画のアドバンテージなので、アクションでもとくに殺陣に関してはドローンやスタビライザーなど映画ならではの特機を生かした画作りを心がけました。城などの空撮を入れることで、70~80年代に深作欣二さんや工藤栄一さんが撮ったアクション時代劇とはまた違うスケールが出せたので、時代劇ファンにとっても見ごたえある画になったと思います。

 

Q:ヘアメイクなどキャラクター造形についてはいかがですか?

耶雲:やはり映画という前提で考えました。ゲームの再現性では、舞台は髪のハネも原作のイラストどおりに固めるなど忠実です。しかし映画は寄りのカットもありますから、イラストどおりの角度で髪がハネてる瞬間もありながら、ナチュラルさを残しています。風が吹いたら髪は揺れるし、アクションをしたら乱れます。その代わりキメのカットは原案どおりを心がけました。おかげで現場はワンカットごとにメイクさんが入るなど、大女優さんを撮るように丁寧に(笑)。衣装もキャラクターの風格に合わせシルクを使ったり、アクションの時に空気をまとってどう膨らむかを考え素材を選んでいます。逆に刀剣男士以外は、作品世界にこだわらず歴史上の人物として重しになるよう心がけました。キャスティングも山本耕史(織田信長)さん、八嶋智人(羽柴秀吉)さんほか、大河ドラマに出るような方々にお願いしています。

 

Q:ロケ地はどこですか?

耶雲:大きく分けると3つ。後半>中盤>前半、と逆で撮ったのですが、安土城は三重県の伊勢安土桃山城下町。そこに実寸の安土城が建っていて。中盤は三重県の松坂城。石垣は本物の石垣です。石垣は本物を使うと全然違って、作った石垣ではばれちゃうんです。あとは日光江戸村を使い倒しました。本丸、本能寺の中、安土城の中。川も日光です。そして茨城のワープステーション江戸ですね。

 

Q:火を使うなどスペクタクルな見せ場はどうやって作られたのですか

耶雲:火に関してはCGではなく、ほぼ全ての現場で本物の火を使っています。ただし織田信長が本能寺で自害するシーンは、あのスケールで燃やすと役者さんが危険なので、セットで火を焚かずライティングだけで役者さんを撮影。その後セットを移設して黒く塗って燃やし同じ角度で火だけを撮影して合成しています。現場はずっと煙が上がっていて、スタッフはみんな延々マスクをしたまま撮影する感じ、クライマックスでも大量の火を焚いたので、現場は煤だらけになりました。 CGで全てを作るというのはファンタジーの部分ではやっていますが、実際に燃えるとかドラマ部分ではあまりやっていないです。

 

Q:殺陣などアクションシーンはどのように組み立てたのですか?

耶雲:アクションは、アクション監督とVコン(ビデオコンテ)を作ったんです。まず脚本のアクションシーンにすべて演出上の意図をメモしてアクション監督に送る。そしてアクション監督が撮ったVコンを作り、それを基に絵コンテで修正を入れる。というやり取りを繰り返して、スタッフや役者さんと共有しました。キャストは舞台で演じている人が大半なので、役作りは問題ありません。映画ではどう演じるとどう見えるかを話した程度で、みごとに演じてくれました。僕にとっては初めての時代劇ですが、大好きな「里見八犬伝」などアクション娯楽時代劇への思いを込めながら撮らせてもらいました。 『刀剣乱舞』を知らない映画ファンや、昔の時代劇ファンにも見応えがある画になってるかなと思います。

 


▲アクション監督の雲雀さんから、殺陣の指導を受ける日本号役・岩永洋昭さん。


▲舞台とは異なり、しっかりとした床ではなく、場所によって足場が違ってくるのも、今回の映画ならでは。各キャストも新鮮な気持ちで撮影に臨んだ。

 

耶雲哉治 Saiji Yakumo
やくも・さいじ。1976年生まれ。映画監督、映像作家。ROBOT所属。映画『百瀬、こっちを向いて。』(14)、映画『暗黒女子』(17)等を監督。劇場マナーCM「NO MORE映画泥棒」の演出含め多くのCM、ドラマを手掛けている。

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Panasonic  Varicam LT

《STAFF》

監督:耶雲哉治
原案:「刀剣乱舞 -ONLINE-」より(DMM GAMES/Nitroplus)
脚本:小林靖子                                         音楽:遠藤浩二                                         製作:大田圭二、小坂崇氣、中山晴喜、東 條寛、二宮清隆
エグゼクティブプロデューサー:高橋亜希人
企画:古澤佳寛                                          企画・プロデュース:東 幸司
プロデューサー:伊達 毅
ラインプロデューサー:小橋秀之
撮影:辻 健司、向山英司
照明:古橋孝映
録音:池田雅樹
助監督:松浦健志
制作担当:尾形龍一
美術:畦原唱平、木岡菜津貴
装飾・小道具:岩間 洋
装飾:西村 徹
小道具:丸山 瞳
特殊スタイリスト:百武 朋
衣裳デザイン:加藤友美
衣裳:大森茂雄
ヘアメイク:清水美穂、唐澤知子
アクション監督:雲雀大輔
操演:小林正巳
記録:村松愛香
編集:武田 晃
VFXスーパーバイザー:荻島秀明
VFXプロデューサー:侭田日吉
整音:湯脇房雄
効果:柴崎憲治

《CAST》

出演:鈴木拡樹
荒牧慶彦、北村諒、和田雅成、岩永洋昭、定本楓馬、椎名鯛造
廣瀬智紀
八嶋智人/山本耕史

 

『映画刀剣乱舞』大博覧会も開催!

「映画刀剣乱舞」の衣裳や小道具の展示のほか、映画のセットの再現やオリジナルフォトスポットなど、制作の舞台裏を圧巻の量で存分に紹介。

https://eigatoukendaitenrankai.jp/

【東京】
・2019年1月19日(土)~1月27日(日)
・東京ドームシティ Gallery AaMo(東京都文京区後楽1-3-61)

【京都】
・2019年2月23日(土)~2月25日(月)
・京都パルスプラザ(京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町5)

【愛知】
・2019年3月20日(水)~3月24日(日)・中部国際空港セントレア セントレアホール(愛知県常滑市セントレア1丁目)

 

◉「映画刀剣乱舞」大展覧会公式サイト
http://eigatoukendaitenrankai.jp/

主催:「映画刀剣乱舞」大展覧会実行委員会
協力:「映画刀剣乱舞」製作委員会