放送技術全般を専門の研究所であるNHK技研。
毎年5月下旬にその研究成果を発表している。
今年は「テレビの進化は止まらない」と題して、
夢のような未来の展示から実現間近な近未来の展示まで
最新の研究成果37項目を公開。
ここでは、その展示の一部を紹介。


◆スーパーハイビジョン(SHV)
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7680×4320というハイビジョンの16倍の画素数を持つスーパーハイビジョン(8Kとも言われる)。ビクターと共同開発したフル解像度の1.75インチ/7,680×4,320ドットパネルを用いたプロジェクタを採用し、画質を向上。昨年までは1.7インチ、4,096×2,160ドットのパネルを4枚(R、G1、G2、B)使い、画素ずらしでSHVの表示を実現していたが、今年のモデルはRGBそれぞれのパネルが7,680×4,320ドットの画素を持たせたという。
◆インテグラル立体テレビ
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特殊なメガネを使用せずに立体映像を見ることができる装置。レンズアレーという微小レンズを多数配置したレンズ板にスーパーハイビジョン用のプロジェクターで映写すると立体像が見えるようになる。撮影時もレンズアレーを通して、新開発のスーパーハイビジョンカメラで撮影を行う。

◆4K単板カメラ

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ビクターと共同開発した4K単板ビデオカメラも展示。1.25型、3840×2160ドットのCMOSを搭載するカメラヘッド(写真左上)と信号処理部(左下)で構成されている。4K2K/60pのリアルタイムビデオ出力が可能。カメラヘッドと信号処理部を分離したことで、カメラヘッドを約3kgまで軽量化している。CMOSは米アプティナ社製。ビクターでは製品化に向けて準備を進めているという。 展示場所には同じCMOSを搭載し、実際の番組で使用されているハイビジョン単板カメラも展示されていた。
◆3300万画素3板式カラーカメラ
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フル解像度のスーパーハイビジョンを撮影するためのカメラ。72Gbpsという広帯映像信号を処理するためのカメラコントロールユニットも展示。撮影時の映像確認用途として、走査線2000本のディスプレイにダウンコンバーターを解して映像を出力していた。
◆スーパーハイビジョン用広ダイナミックレンジプロジェクター
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110万:1というハイダイナミックレンジ表現が可能となったスーパーハイビジョンプロジェクターのデモも実施。黒がより黒く、階調豊かな映像が見られる。今回、初めて動画での表示が可能になった。

◆小型高感度カメラ

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暗闇でも撮影が可能な超高感度カメラ。以前から展示されてきたが、画素を小さくすることで冷陰極HARP撮像板がより小型化された。
◆Curio View(キュリオ・ビュー)
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リモコンでの簡単な操作で視聴中の番組に付加されたメタデータを解析し、それに関連する番組を自動で見つけ出し、おすすめしてくれるシステム。パナソニックとともに共同で開発を行なっている。
◆4Kプラズマディスプレイ
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スーパーハイビジョンの家庭用ディスプレイの実現を目指して研究を進めている。現在までに中間目標としてハイビジョンの4倍の画素数(水平:3840、垂直:2160)を持つ対角103インチのディスプレイの開発に成功している。
◆ホログラム記録技術
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転送レート72Gbpsというスーパーハイビジョンのデータ信号を記録するためのホログラムディスクに使用される素材(ガラスにはさまれたもの)。会場では、レコーダーの試作機も展示されていた。
◆狭指向性ガンマイク
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三研との共同開発している狭指向性マイクロホン。後方からの雑音を抑えて、前方にいる被写体の音だけを収録できる。今後は、その志向特性を生かしてスーパーハイビジョン用22.2ch音響への応用を検討しているとのこと。
◆WEBを通じた視聴者参加の映像コンテンツ制作システム
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視聴者の誰もがCGを使ったコンテンツを制作して、インターネット上に公開できるシステムTV4U(TV for you)ライブ映像やライブ素材を扱うことができ、PC場でCGキャラクターを操作できる。
明日21日から24日までの4日間、
東京都世田谷区・NHK技術研究所にて
この展示の一般公開が行われる。
ぜひ足を運んでみてはいかがだろう。
◆NHK技術研究所のホームページhttp://www.nhk.or.jp/strl/