日本映画史上初、中学生映画監督・仲村颯悟監督作品「やぎの冒険」がロードショー公開


弱冠15歳、日本映画史上初の中学生監督・仲村颯悟(りゅうご)さんの監督作品「やぎの冒険 The Catcher on the Shore」が1月8日より、横浜ブリリア ショートショート シアター、池袋テアトルダイヤ、キネカ大森にてロードショー公開中。2月19日よりテアトル梅田でも公開される。暮れも押し迫った12月23日、試写会のため上京中の仲村監督にインタビューした。


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仲村颯悟監督は沖縄県在住、現在中学3年生。8歳の頃からビデオカメラを触り始め、早くから自主制作映画を撮るようになった。これまでに製作した自主作品は40本を超える。「やぎの冒険」は元々短編作品として2009年に制作したもので、この時点で仲村さんはまだ13歳だった。沖縄コンベンションビューロー主催「沖縄観光ドラマコンペティション」で自ら書いた脚本が選出され、それをもとに作品化した。これが「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2010」の「旅シヨーット! プロジェクト」でファイナリストとなり、中学生監督として注目を集めた。
劇場公開された「やぎの冒険 The Catcher on the Shore」は、短編をベースに新たにシナリオを起こし、84分の作品としてまとめたもの。仲村監督の出身地である沖縄では、昨年9月にひと足早く劇場公開されている。
沖縄には、おめでたい席でヤギ(現地ではヒージャーと呼ぶ)の料理を振舞う慣習がある。都市部ではかなりすたれてきたが、農村地域には今もその伝統が残っていて、ヤギを飼う家が多い。オリジナルは食肉用に飼われていたヤギが逃げ出してひと騒動になる内容だが、劇場版では「食べること」をテーマに、主人公の少年の成長物語と重ねてストーリが展開される。
nakamura02.jpg「8歳の頃、家にあった家庭用のビデオカメラで映像を撮り始めました」という仲村監督。当初からストーリーのある「作品」を作って人に見てもらうことを意識していたそうで、自主制作作品は13歳までに30本に達し、現在は40本にまで増えている。小さなものを含めればもっとあるという。作品は尺は短いもので5分、長いもので36分。「ドラマが多いですね。ほとんどが短編ですが、短くて(話が収まらず)困ったということはないです。長いと脚本が書ききれないので」
自主制作では今でもホームビデオの機材を使っているそうで、ソニーのSR12というカメラが愛機だ。制作スタッフはもっぱら友人に依頼して、出演するのも同世代の人たちだ。「自主作品では大人はほとんど出て来ないですね。子供が大人の役を演じるとどうしてもコメディになってしまうのが悩みで、(大人が出てくる作品では)大人にどう声をかけて集めるかが今後の課題です」と話す一方で、「でも、同世代でなければ物語に入り込めないところもあります」と多感な中学生ならではの世界があることもうかがわせる。
劇場版「やぎの冒険」は大人のスタッフとともに作っている。初の長編ということもあり、当初は勝手の違いに戸惑いもあったようだ。「いつもは友人にあれやって、これやってと頼んでいるから、こちらの考えがすぐ伝わるじゃないですか。プロの人たち、年上の人たちにはどう伝えたらいいか、難しくて結構悩みました。でも話してみたらすぐに理解してくれました」。そこからはスムーズにコミュニケーションがとれて、監督の意思を尊重してくれたそうだ。
ストーリーは、脚本の人と相談して膨らませていった。那覇で都会暮らしをしている小学6年生の少年を主人公に据え、母の実家で冬休みを過ごすという設定にした。その家で飼っていたヤギがつぶされる光景を目の当たりにしてショックを受ける少年。「食べる」という営みの現実を知ることを通じて命の尊さを学び、少年が成長していく過程を描く一方で、「ヤギを食べる沖縄の食文化を伝えたい」という監督の郷土への想いが反映されている。
撮影は2009年の冬休みを使って行われ、3月に完成した。「学校を休まないという前提だったので、2週間、元旦を除いて全て撮影でした」。プロ用の機材を使った撮影は、仲村監督にとって大いに刺激的だった。「自主制作でも手作りでドリー(移動台車)を作ったりしていたのですが、本物を見てビックリ、うわーすごいなって」。今欲しいのは「ミニジブ」と呼ばれる小型のクレーン。「プロ用の大きな機材はカッコいい、いつかそういう機材を使ってみたい」と熱く語る。
編集Final Cut Proを使って行われ、自らも作業に関わっている。その前はWindowsマシンでプレミア・プロを使っていたそうだ。「安いソフトはすぐに固まったりデータが飛んだりする」ので、編集ソフトは高くてもいいものを使うようにしている。
映画作りは「何をテーマにするか」からいつもスタートする。「今は“沖縄の○○”という形で、(出身地である)沖縄をテーマに考えるようになっています」。次回作の構想を聞くと、「ホラー」という答えが返ってきた。「最近ハマっていて、いろいろ観ているんです。撮りたいときに撮りたいものを撮るというスタンスですが、今はホラーですね。沖縄には怖い昔話がいっぱいあるんですよ。そういうものをモチーフにして撮りたい」

「やぎの冒険」
監督:仲村颯悟 プロデューサー:井手裕一 協力プロデューサー・監督補:月夜見倭建 脚本:山田優樹/岸本司/月夜見倭建 撮影:新田昭仁 音楽監督:ASIAN GHOST MOVIES 主題歌:Cocco「やぎの散歩」
キャスト:上原宗司/儀間盛真/平良進/吉田妙子/城間やよい/津波信一/山城智二/仲座健太/金城博之 他
「やぎの冒険」製作委員会:株式会社シュガートレイン/株式会社沖縄タイムス社/琉球放送株式会社/株式会社インデックス沖縄
上映館情報
ブリリア ショートショート シアター(横浜) 1月8日~22日→好評につき31日まで延長 http://www.brillia-sst.jp/
池袋テアトルダイヤ(東京) 1月8日~ http://www.ttcg.jp/cineka_omori/
キネカ大森(東京) 1月8日~ http://www.ttcg.jp/cineka_omori/
テアトル梅田(大阪) 2月19日~ http://www.ttcg.jp/theatre_umeda/
※上映時間等は各映画館のサイトを確認のこと
オフィシャルサイト : http://yaginobouken.jp/