銀一と言えば、創業60年近くという歴史があるプロのカメラマン御用達ショップ。多くの海外製品の総代理店でもあり、写真業界で知らない人はいない存在である。しかし、最近ではその取り扱い製品にアトモスやロードなど、ビデオサロン読者にもおなじみの動画系ブランドが次々に加わっている。プロカメラマンも動画を始めているから、というニーズを超えて、大きく動画関係にシフトしているように見える。銀一の丹羽寿成社長にお話を伺った。(ビデオサロン2016年2月号より転載)
銀一の丹羽社長は、静止画から動画にシフトするわけではなく、自然の成り行きで写真も映像もということを時代が求めているからだという。
実は「2000年前後から、映像業界にも進出したいと思ってNABにも出掛けていたが、なかなか踏み出せなかった」のだそうだ。
ところが大きな転換点が訪れる。2008年末のキヤノンEOS 5D Mark IIの登場だ。
小誌も企画に絡んでいたアップルストアでのデジタル一眼ムービーのイベントに参加して
「あの映像に衝撃を受けて、これはやらないとまずい」と思ったという。
翌年のニューヨークの展示会で、フィルター関連でつながりのあったティッフェン社が扱うステディカムの日本での販売を任せてもらえることになった。
実は丹羽社長はスタンリー・キューブリックの大ファン。ステディカムを世界に知らしめたのはキューブリックの『シャイニング』だ。「あの映像を撮ったステディカムを我が社で扱えるなんて!」と俄然盛り上
がり、そしてステディカム・マーリン2はデジタル一眼との組み合わせで大ヒット。ブームを巻き起
こす。
その後、ステディカムを日本でサポートするために、本場のオペレーターを招いたり、本社で勉強してきたスタッフがワークショップを開催するなどど、それまでは自己流操作、自己修理・改造が多かった日本のステディカム事情を変えていく。
さらにティッフェンのフィルターを入れるマットボックスということで、クロジールがブランドとして加わる。
2014年にはいまやSHOGUNやNINJA ASSASSINでおなじみのアトモスが。
アトモス社としては、ラインナップが増え、そしてSHOGUNの発売を控えていた時期で、より強力な販売会社を求めていた。
そのアトモス社とはオーストラリアつながりのマイクメーカー、ロードからも声がかかった。2015年秋からは、ビデオカメラに搭載するガンマイクなど映像業界向け製品は、銀一が扱うことになった(音楽業界向けのコンデンサーマイクなどは従来どおりサウンドハウス)。
ステディカム、アトモス、ロードなど個性的な動画系ブランドが充実してきた銀一ドと個性的なブランドが揃った。
丹羽社長は、「創業者の思いが伝わってくる、ストーリーがあるブランドのものを扱いたいという思いが個人的にある」と言う。
たしかに3社とも強烈な(すぎる?)個性があり、業界を面白くしてくれている。
今、面白い製品は動画関係。月島のスタジオショップもそれを象徴するかのように、入って一番目立つところが動画コーナー。映像系の方ももぜひ足を運んでみると、楽しめるのではないだろうか。
月島のスタジオショップでは、自社で輸入しているものだけでなく、動画関係のアイテムが各種揃っている。東京都中央区月島1-14-9(☎03-5548-5131) 東京メトロ有楽町線「月島駅」下車7番出口より徒歩3分。
銀一スタジオショップ
http://www.studioshop.jp/
銀一オンラインショップ
http://www.ginichi.com/shop/