6月14日(木)から東京ビッグサイトで始まったケーブルテレビショー(16日まで)。15日に取材した編集部が注目した製品をいくつかピックアップする。展示は制作や送信機材などを扱うハードウェアゾーンと、番組を提供するサプライヤーゾーンに分かれている。今年は土曜日まで開催されるということで、サプライヤーゾーン目当てのケーブル視聴者の参加も期待されているようだが、まずは映像制作側の立場で、ハードウェアゾーンでの新製品、参考出品等をレポートしよう。
*ビデオサロン8月号(7月20日発売)に記事を掲載します。


ソニーはHDVではなく、XDCAM HD中心の展示
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 ソニーは4月のNABで参考出品したXDCAM HDの422バージョンのモックアップを展示。これは従来のXDCAM HDの上位バージョンで、圧縮がMPEG2 Long GOPであることはかわらないが、解像度は1920×1080のフルHD、色解像度も4:2:2と従来の4:2:0よりもグレードアップした仕様。転送レートは従来は最大で35Mbpsだったが、422バージョンは50Mbpsとなる。
 ビデオサロン読者が期待しているスタンダードカセットを使用したショルダータイプのHDVカメラについては、構想はあるようだが、映画テレビ技術展、今回のケーブルテレビショーともに展示はされていなかった。また、それ以上に注目度の高いS×Sメモリーカードを使用したXDCAM EXのカムコーダーだが、こちらも参考出品されていなかった。
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 新製品ではないが、もっとお手軽な価格になって欲しいのが、ソニーのオールインワンのライブスイッチャーANYCAST STATIONだ。スイッチャー、ミキサー、モニターの機能を一台に集約したもので、HDに対応したAWS-G500HD(2,436,000円)ならHDVカメラを何台か使ったハイビジョンライブ収録が可能になる。標準構成での入力はHD-SDIが2系統とHDアナログコンポーネントが2系統。オプションでSDの入力を加え、HDにアップコンしながらHD/SD混在のスイッチングができる。またフレームシンクロナイザー内蔵なので、カムコーダーからの非同期信号も受けられる。出力はHD-SDIとHDアナログコンポーネント。展示ではHD-SDIで出力したものを同社の変換ボックスでHDV信号に変換し、IEEE1394経由でHDVレコーダーで記録するという流れ。IEEE1394接続の外付けのHDDへの記録も可能だが、その場合は記録がDV AVになってしまうのが惜しいところ。本体にはテロップ入力用のキーボードがあり、搭載されたテロップ作成ソフトを使ってあらかじめ作成しておいたテロップを内蔵のHDDに保存、ライブ中に専用のDSKチャンネルを使って乗せるということもできる。
同じくHDVカメラを使ったマルチカメラ収録の提案
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 コスミックエンジニアリングが展示していたのが、マルチカメラ収録用のHDVカメラ・アダプター。背後に業務用バッテリーを装着することができ、カメラからのアナログコンポーネント信号をHD-SDIに変換し出力するというもの。これ以外にアナログコンポーネントのまま出力するタイプもある。小型のHDVカメラでもマルチカメラ用に使えてしまうというのがポイント。
 これ以外にも、Z1JやHVX200、キヤノンA1などをスタジオカメラ仕様にできるアダプターもあり、こちらはタリー、インカム、リターンビデオに対応する。また液晶モニター取り付け用のシューも装備。
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池上のメモリーカメラGFCAMは戦略価格で来春登場する
 池上と東芝が共同で進めているフラッシュメモリーを使ったメモリー収録システムだが、ケーブルテレビショーでは池上がブースを出していた。池上がこれまで進めてきたハードディスクカメラのEditcamはアビッドの編集システムと互換性のあるコーデックを採用していたが、より汎用性のあるMPEG2 Long GOP(つまりHDVやXDCAM HDと同じ)を採用することで、編集まで含めたトータルコストを下げられるのがメリット。カメラレコーダーのGFCAMは、250~290万円くらいを予定しているという。記録メディアであるGFPAKは32GBでなんと9万円程度になるのではないかとのこと。同じくメモリーを使うパナソニックのP2カードは価格が下がったとはいえ、現在16GBで依然として10万円以上している。P2カードも年末には32GBが登場し、来年の4月にははたしていくらになっているかは読めないが、池上が想定する価格になっているということだろうか? 
 メモリーパックのGFPAKは従来のテープやハードディスクはカメラマンとは反対側から出し入れしていたが、GFCAMでは、アシスタントがいないということを想定して、カメラマン側にしたとのこと。
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HDVもP2もAVCイントラもさくさく編集できるシステム
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 昨年のインターBEEのパナソニックスイートルームでもAVCイントラが編集できるということで話題になったさくら光機開発のノンリニア編集システムが三友のブースで公開されていた。これは、さくら光機とNHK、三友が共同開発したもので、これまではNHKに納入されてきたが、今後はPrunus(プラナス)という名称で、民放局、CATV局、プロダクションをターゲットに三友が販売していくとのこと。HDVとP2、AVCイントラはそれぞれコーデックが異なるが、そのネイティブコーデックのままタイムラインに載せて快適に編集できるというのが売り。また、操作がリニア編集の感覚で行えるので、これまでのリニア編集システムの置き換えにも最適。ソフト単体での販売はなく、ワークステーションとフェーダーコントローラーなどが含まれる基本セットが300万円台、ディスプレイやスピーカー、エディティングコントローラーまで含んだ推奨パッケージが500万円くらいとのこと。
ケーブルチューナーは録画用の外付けハードディスクオプションがトレンド
 先日、松下電器は、ケーブルテレビ用のセットトップボックスとそれにi.LINKで接続してハイビジョン録画できる専用の外付けHDDレコーダーTZ-HDD250を発表したが、パイオニアも外付けHDDタイプを展示していた。松下と異なるのはカートリッジタイプになっており簡単に差し替えができる点。家族一人ひとりに専用のハードディスクといったことも可能だ。日立のプラズマで採用されたiVポケットとは形状が違うが、発想は似ている。
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パソコンなしでクロマキー合成できる
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 ボーゲンイメージングのブースでは、リフレクメディア社のクロマキーシステムを展示。ライトリングはブルーとグリーンの2種類があり、背後の布はブルーではなく、グレーに見える特殊な布。生地に織り込まれたガラスビーズの影響で、カメラを通すとキーイングに最適な色むらのないブルーバック、もしくはグリーンバックに映る。カメラはライトリングを取り付ければ自由に動くことができる。つまり、背景の布とライトリングのセットで、それほどきちんと照明しなくても、手軽に人物などのブルーバック映像が撮影できるというわけだ。これにアルチマットDVというリアルタイム変換ボックスを利用すれば、別に用意した背景画像とブルーバックの人物をその場で合成して最終画像をプレビューすることができる。
松下は隣接するパナソニックセンターにテクニカルスイートルームを開設
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 松下電器のブースはおもにチューナーや受信関係の展示だったが、東京ビッグサイトに近いパナソニックセンターにおいて、テクニカルスイートルームを開設。こちらで制作関係の機材を展示した。先日このブログでもご報告したP2ギアも展示され、注目を集めていた。HD-SDI出力が可能になったということを活かして、ノンリニア編集中にFireWireでP2ギアに出力、P2ギアでHD-SDIに変換して業務用モニターでプレビュー映像を確認することができる。コマ落ちする危険もあるので、記録はできないが、プレビューとしては充分なクォリティ。これはFinla Cut Proでも、EDIUSでも可能とのこと。
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 参考出品としては、ブルーレイディスクによるP2素材のアーカイブ装置。P2で収録されたものは今現在はほとんどはHDDで保存されているのが現実だろう。それを光ディスクであるブルーレイディスクに保存し、管理しようというシステムだ。最大30枚のディスクを収納でき、マックやウィンドウズPCから管理できる。現在ソフトウェア含めて開発中とのこと。
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 HDでのスイッチング収録が可能なスイッチャーとしてAV-HS300(ビデオサロン6月号でレポート)があるが、P2でのマルチカメラ撮影システムとしては、カメラはHD-SDI端子を装備したHPX555、レコーダーはHD-SDI入力端子を持つ、液晶モニター付きのP2レコーダーAJ-HPM100でシステムが完成する。
HPM100は現場での簡易編集用途としてのイメージが強いが、HD-SDI入力がついたレコーダーということでは、157万5000円とそれほど割高ではなく、液晶モニターが付いていることも考えると、お買い得かもしれない。モバイルレコーダーなので筐体は堅牢。P2カードスロットは6つある。
よりグラスバレーとの連係が強くなってきたカノープス 
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 グラスバレー傘下になったカノープスブースは、より放送局向けの提案。収録から編集、ストレージ、サーバーまで含めたK2 EDIUS Shareワークフローを展示。EDIUS Proを採用したREXCEEDやHDWSなどのターンキーシステムとモザイク処理システムMRL-5000でメディアストレージを共有すれば作業の効率がアップする。グラスバレーのオールインワンのAVミキサーINDIGOも展示されていたが、海外でもユーザーニーズに合わせて進化してきたモデルであり、ぜひ日本向けにEDIUSの編集システムと連係できるような新製品を投入してほしいと思った。
BSデジタル放送に新しいチャンネルが誕生する
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ケーブルTVで放送されている各チャンネルのブースが立ち並ぶサプライヤーゾーンも盛況だった。編集部が気になったブースはこの4つ。【写真左上】今年12月1日からBS放送で、新たに放送を開始する「BS11(イレブン)デジタル」(写真左上)。チャンネルは11ch(3桁の場合は211ch)。放送内容については、中国の大河ドラマやシニア向け番組、生放送のニュース番組などを予定しているという。【右上】テレビショッピングでお馴染みジャパネット高田のブース。長崎の本社スタジオと中継で生放送を行なった。【左下】J.comブース。お隣のアットネットホームブースとの同時中継の様子。【右下】ゴルフチャンネルブース。本職のプロゴルファーによる、スウィングフォームアドバイス。