3月26日(木)から29日(日)までの4日間、東京ビッグサイトにおいて、写真・カメラ関連の展示会「フォトイメージングエキスポ2009」が開催された。ここでは、ビデオサロン読者(動画派)の視点で、注目の製品、アクセサリーをピックアップしてレポートしたい。
(なお、誌面上で一覧できる同じ内容を、4月20日発売のビデオサロン5月号に掲載します。合わせてご覧ください)
◆最大ブースはキヤノン。特に注目は新製品のキヤノンEOS Kiss X3
今回のPIEの最大のポイントは、パナソニック、キヤノンの2社が普及価格帯のデジタル一眼カメラにハイビジョンムービー撮影機能を搭載してきたこと。パナソニックはムービー撮影機能をメインにしているし、EOS Kiss X3にしても、EOS 5D MarkⅡよりも一歩前面に打ち出している。またかなり台数が予想されるEOS kissのような普及価格帯モデルに、ムービー機能を搭載してきたことで、今後は、HDムービーが各社の必須機能になりそうな予感がする。個々の製品情報については、別項(もしくは、4月20日発売の5月号)を参照していただくとして、ここでは展示の様子をレポートすることにしたい。
▲キヤノンブースでは、発表されたばかりのEOS Kiss X3の実機を用意し、実際に触って撮影できるようになっていた。もちろん動画撮影・再生もその場で可能。液晶テレビも用意されており、撮った映像を確認することもできた。ごらんのようにかなりなまめかしい艶っぽいハイビジョンムービーを撮ることができる。ただし全体としては、静止画撮影がメイン、動画は従という関係は変わらず。ユーザーもやはりカメラとしての操作性を検証する人が多いようだった。
▲これまでキヤノンのビデオカメラは、PIEに出展したりしなかったりということを繰り返してきたが、今回は、一眼レフのデモ機の中に加わり、存在をアピールした。XL H1SやG1Sなどの業務用カメラからHF S10、HF20などの家庭用ムービーまで。担当者によると一眼レフ動画と画質について比較するような質問が多いという。デジタル一眼ユーザーがH1Sなどの操作を確かめるような光景も見受けられた。
▲先ごろ発表され、4月に発売されるHF20用のハウジングも展示。興味を示す人が多かった。
◆パナソニックはムービーを前面に押し出す
▲直前にムービーデジタル一眼、GH1を発表したパナソニックは、前面にGH1を打ち出していた。特にAV機器メーカーのパナソニックらしく、ディーガ、ビエラと連携させて、撮影したものをブルーレイに残し、大画面テレビで見るという提案をしていた。コンパクトデジカメにもムービー機能を採用。旅行に出かけたという設定で、スチルとムービーを連続させてテレビで見るというデモを行なっていた。
▲GH1は広告展開から女性向けというイメージがあるが、実はかなりマニアックな部分もある。ライカMレンズ、Rレンズ用のアダプターを純正で用意しているのだ。つまり膨大に存在するライカレンズをデジタルカメラで使えるというわけ。昔のライカレンズで動画を撮るなど、レンズの味を楽しむような撮影も可能になる。GH1がコンパクトなボディなので、こぶりなライカレンズを装着した際の全体のバランスも良い。
◆ソニーからもムービー一眼が欲しいのだが…
ビデオカメラにおいて実力、シェアともにナンバーワンといえば、ソニー。放送用から家庭用まで動画カメラを知り尽くしているソニーだからこそ、一眼ムービーにも挑戦してほしいのだが、今回はムービー機能を搭載した一眼レフはラインナップされなかった。ただし、レンズ一体型の小型機には搭載してきており、参入は時間の問題だと思われる。
▲参考出品のオートマチック・フォトグラファー。サイバーショットを上に載せると、顔認識と笑顔認識の機能を活用し、台座がパン&チルトして被写体を追いかけるというもの。現状ではコンパクトなサイバーショットのみの対応予定だが、ぜひ動画カメラでも実現してほしい製品だ。
▲おなじの有機ELテレビ、XEL-1。一眼レフの最上位も出るα900で撮影した静止画を、クォリティの高い有機ELテレビで見ようとう提案。
▲VAIOのフォトエディションのコーナー。撮った写真を整理、保存するのにブルーレイディスクを活用しようという提案。
◆ニコンのDムービーは事例を紹介
▲デジタル一眼ムービーのさきがけは、ニコンのD90だが、ニコンブースでは、そのD90で実際に制作されたショートムービー「あたしとあたし」のデモ映像と制作にあたった監督とカメラマンのコメントを流していた。一眼ムービー独特の被写界深度の浅い、やわらかい映像がよく生かされた作品。編集はトムソン・カノープスのEDIUS Pro 5で行なったという。
◆スケートリンクまで作ってしまったオリンパス
パナソニックと一緒にマイクロフォーサーズ規格を推進しているオリンパスだが、具体的な製品はなし。マイクロフォーサーズ自体が動画撮影をかなり強く意識した規格だけに、製品が出てきたときには、おそらくHD動画対応となるだろう。
▲左側は、昨年から展示されているマイクロフォーサーズのモックアップ。右側はベールに包まれているが、ともに今年の夏発売予定というから楽しみだ。この左側にはかつてのオリンパスペンシリーズの旧製品が展示されており、新しいマイクロフォーサーズのシリーズは、そのコンセプトを受け継いだコンパクトなレンズ交換式を目指しているという主張を汲み取ることができる。
▲新製品のデジタル一眼レフカメラE-620の発売にあわせて、ブース内にフィギュアアスケート用のリンクを設置。浅田舞選手などをモデルに撮影ができるイベントを開催した。
▲オリンパスはデジタルカメラ以外に、コンパクトなメモリー音声レコーダー分野に強く、同社ボイストレックシリーズはシェアナンバーワンだという。高性能マイクを搭載し、リニアPCM記録に対応した高音質タイプ、LS-10は、たとえばデジタルカメラで撮影したSLの写真に、SLの生録の音を加えて楽しむことができるという提案。現段階では、撮影データをリンクして同時再生するような機能はないが、ぜひ、ムービー機能が加わった段階で、連動収録、連動再生の機能を提案してほしい。
▲カメラ映像機器工業会で決められた3D写真の形式SSIに対応したビューアーソフト。一度撮影したら、わずかに横にずれて撮影し、その2枚の写真を元にデータを作成し、偏光メガネをかけて見るというもの。
その2に続く