キヤノンは、有効約1,610万画素の新開発APS-HサイズCMOSセンサーを採用し、フルHDの動画撮影機能も搭載したプロ向けの上位モデル、EOS-1D MarkⅣを発表した。発売は12月上旬を予定している。報道カメラマンが主なターゲットだが、動画機能がどう受け入れられるかも注目されるところだ。
EOS-1D MarkⅣは従来機1D MarkⅢの約1.6倍にも相当する有効約1,610万画素を達成しながら、秒間最大10コマの高速連写と約121コマの連続撮影を実現するなど、報道プロ向けのハイエンドモデルとしてさらなる性能向上を果たしている。撮像センサーにはフル35mmに次ぐ大きさのAPS-Hサイズ(27.9×18.6mm)CMOSセンサーを採用。映像処理エンジンにはDIGIC 4を二つ搭載するデュアルDIGIC 4を採用し、高画質化と処理速度のアップを図っている。
常用ISO感度は従来比で2段アップとなるISO100~12,800を実現、低照度でもより高速なシャッターが切れるようになり、素早く動く被写体の撮影や、これまで困難だった暗所での撮影にも強くなった。さらに機動性を高める目的でEOS-1シリーズとして初めてISOオート機能を搭載、通常はISO100~12,800の範囲で被写体に合わせて自動的に適切なISO設定を行うが、制御設定の下限値と上限値を任意で設定することも可能になっている。また感度拡張機能を持ち、ISO50(L)から最大102,400(H3)までの撮影が可能で、夜間の自然撮影などほとんど視界が利かない暗所での撮影も可能にした。
AD変換は一般的な12bit(4096階調)より細やかな14bit(16,384階調)とし、トーンジャンプの少ないより滑らかで美しい階調表現を行う。ハイライト付近の白とびを抑え、明るい部分の階調を豊かに表現する高輝度側・階調優先機能も搭載。映像処理エンジンの高速化により、高感度撮影時のノイズ低減や見た目に近い色味に自動補正してくれるオートラインティングオプティマイザ、レンズ周辺光量自動補正機能はデフォルト状態で有効となった。
感度拡張での動画撮影に注目
EOS 5D MarkⅡ、EOS 7Dに続き、1,920×1,080フルHD対応の動画撮影機能「EOSムービー」を搭載。フレームレートはHDとSDで60p/50p、フルHDでは30p/25pでさらに24pにも対応する。7Dと同様、60pと30pは厳密にはそれぞれ放送規格の59.94fps、29.97fpsとなり、フルHDの24pは23.976fpsとなっている。動画圧縮方式はMPEG-4 AVC/H.264で、記録形式はMOV。
音声収録には内蔵モノラルマイクを備えるが、外部マイク端子がついており、こちらはステレオマイクにも対応している。音声記録はリニアPCM(非圧縮)で、サンプリング周波数は48kHz、ビット数はL/Rとも16bit。
静止画で設定されているAFモード(ライブモード、顔優先ライブモード、クイックモード)はライブビュー撮影時のピント合わせの効率化に威力を発揮するが、動画撮影でも有効で、特に手持ち撮影では効果的。もちろんマニュアルフォーカスも可能。露出についても、カメラ側で標準露出を確保する自動露出のほかに、絞り・シャッター・ISO感度を任意に設定したマニュアル露出が可能で、露出優先や絞り優先、さらに感度拡張機能でISOをH1~H3に上げた動画撮影も可能にしている(L側の拡張は動画では不可)。また、標準露出を常に確保するISOオート機能も動画に使用できる。感度拡張による暗所での動画撮影は、EOSムービーのまた新たな表現領域の広がりを予感させる。
キヤノン EOS-1D MarkⅣ オープン価格(推定57万円前後/ボディのみ)
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メーカーサイト
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製品情報
http://cweb.canon.jp/camera/eosd/1dmk4/index.html
EOS MOVIEオフィシャルサイト
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