10月13日(土)、東京赤坂にあるパナソニックのワークショップスタジオDUにおいて、オーディオセミナー中級編の第2回が開催された。講師はアプローズシステムの飯塚貞三氏。実際にガンマイクとミキサーを使って、会話の音声収録を各自が実践できるという貴重な体験ができる有意義なセミナーだった。
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◆ロケでもスタジオなみの音声収録を求められる
 現在のテレビのバラエティー番組は、外ロケでもスタジオと同等の仕掛けが日常化し、たとえばワイヤレスマイク13波というような収録もあるという。そんな場合でも、いかにすべての音をONで録るか、同時に使用しているマイクとのかぶりをいかに少なくするかが、腕の見せ所になってくる。
 機材の紹介では、実際にガンマイクとブームの実物を見せながら解説。ガンマイク本体とグリップ部分にはお金をかけるべきだが、ウィンドジャマーとブームはほどほどでも大丈夫。たとえばブームなどは、志賀昆虫(渋谷)で売っているタモ用のもので作ったという。
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◆実機を使って実習する
 実際にワイヤレスマイクやガンマイク、ミキサーを使って、会話を録る実習も行なった。一人がワイヤレスマイクを装着し、もう一人をガンマイクで狙う。二人の音をミキサーに入れてレベルを調整する。ヘッドアンプのレベルを先に合わせてから、入力レベルを調整する方法を解説。二人の声の大きさに差がある場合は、小さい声の人が話し始めたらレベルを上げ、大きい声の人はそのまま一定にする。逆にすると大きな声の人の声が、小さい声の人のマイクにかぶってくるからだ。またふたりのうち、アンカーマンのほうは一定にし、ゲストの声は上げ下げする。これがS/Nをよく録るコツだという。しゃべり始めたらレベルを上げるというのは、会話の流れや口元などを見て判断する。したがって、VUメーターや手元を見ているわけではないのだそうだ。
 次に一本のガンマイクで二人の会話を録る方法。これも会話の流れで、しゃべっているほうにマイクを振る。一本のマイクなので、音のまとまりはよくなるが、マイクを振るのが難しいところ。
 参加者は一人ずつ順番に、ヘッドホンでモニターしながら、マイクの振り方やレベル調整を実際にやってみて、飯塚氏から指導を受けた。収録した映像と音声は、後でスピーカーで流し、全員で確認。プロでもマイクをしっかり振れるようになるには、何年もかかるという。参加者はマイクを振るのとレベルを調整するのを同時に行なうのに一苦労で、気づかないうちに、画面にマイクが映りこんでしまうこともあったが、体験を通して一様に納得した様子だった。
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なお、アプローズシステムは、音の基礎から実践までを学べる少人数制セミナーを開催している。音声収録の初心者、ロケデビューを果たしたい現役助手の人を対象。平成20年1月からスタートで、初級クラスと中級クラスの部がある。内容は、「カメラマイクでの音声収録の限界」「マイクの種類と特性」「ミキシングの必要性」「音声と映像」「ENG取材の使用機材と実機録音」ほか。受講料は全6回で18900円。
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