プロ用ビデオ編集ソフトの中にあって、MacとWindowsの両方のプラットフォームで使用できるのが「Adobe Premiere Pro CC」の強みであったが、Windows版ではProResコーデックを利用したMOVファイルの読み込み(デコード)はできても、出力(エンコード)ができない点で、Windows環境での使用を敬遠していた人も多かったようだ。
それが最新のAdobe Premiere Pro CC 2019(v13.0.2)では、ProResコーデックを使った出力に対応。Adobe Media Encoder 2019でのファイル出力だけでなく、ファイル取り込み時のインジェスト設定(トランスコード/プロキシを作成)でもProResコーデックを利用できるようになった。これでWindows板でのマイナス要素はなくなったとも言え、拡張性の高いWindowsパソコンを利用した編集環境の導入を検討していた人にとっては、迷う要素がなくなりそうだ。
これまでWindows環境では、新しいコーデックがインストールされると他のアプリでも利用できることが一般的だったが、QuickTimeの機能に関しては各ソフトが固有に所有しているようで、同じPremiereでも「CC 2018」ではProRes出力は利用できず、当然、DaVinci Resolve 15やEDIUS Pro 9でもProRes出力は不可。ただこれまで、何となく「Windows版では無理」と思われていたことが(アップルが許可しないせい? とか…根拠はないもの)「Windows版でも可能」となった点は大きく、今後、他の編集ソフトでも対応が望まれる。
◎「書き出し設定」の「形式」で「QuickTime」を選ぶと、見慣れた「Apple ProRes」設定がプルダウンメニューに顔を出す。アルファチャンネル付きの出力も可能だ。
◎ 「プロジェクト設定」にある「インジェスト設定」でインジェクトを有効にして「トランスコード」を選択したところ。「422」と「422 LT」のプリセットが登録されていた。
◎同様にインジェクト設定で「プロキシを作成」を選んだところ。ここでもCineFormに加えてProResも選べるようになっている。
グラフィックのドライバーのアップデートが必要になる場合も
「CC 2019」ではGPUの高速処理を利用する環境が少し変更されたようだ。これは使用しているグラフィックカードにもよるが、編集部で使用しているパソコンではグラフィックカード(NVIDIA GeForce GTX970)のドライバーをアップデートしないと「レンダラー」で「Mercury Playback Engine – GPU 高速処理(CUDA)」が選択できなかった。(CC 2018では利用できていた)
◎アップデート後の初回起動時にビデオカードのドライバーのアップデートが必要になる旨のメッセージが表示された。
◎そのまま起動すると、「CC 2018」では選択できていた「Mercury Playback Engine – GPU 高速処理(CUDA)」が選択できなくなっていた。
◎ドライバーをアップデートして再起動すると無事に「Mercury Playback Engine – GPU 高速処理(CUDA)」を選ぶことができた。
聞いた話では、アップデートしても対応できなくなるグラフィックカードもあるようなので、「CC 2019」にアップデートする際は、前のバージョンも残す設定でインストールするのが良さそうだ。