Blackmagic Designの発表によると、焼津市主催の地域応援サイト向けの企業動画が、全編 URSA Mini 4.6K EF で撮影、DaVinci Resolve でグレーディングされた。同プロジェクトは、フリーランスカメラマンの田村雄介氏が監督から編集・グレーディングまですべての制作を行った。
In the case of Y’z life
http://www.apexl-d.com/y’zlife/index.html
「このプロジェクトは、焼津市にUターン・Iターンする人を増やすべく、地元企業の魅力を伝えるために企画された。もともと求人用動画を作ってほしいという依頼だったが、いわゆる求人ビデオではありきたりになると思い、凝った映像をつくることを提案した」と田村氏は説明する。
田村氏は、20社の企業インタビューとBロールのほぼすべてを URSA Mini 4.6Kで撮影。しかし各社との事前のロケハン調整が難しかったため、撮影当日に1時間ほどロケハンし、その後数時間で撮影して次の現場に直行するというスケジュールだった。
「午前中に一社、午後に一社という感じで、約11日かけて撮影したが、現場に行ってはじめてわかることが非常に多かったため、スケジュールは本当にタイトだった。そんなときに、セッティングに時間をかけずにすぐに撮影できる URSA Mini 4.6K は重宝した。リグもつける必要がなく、ほぼ本体とレンズだけで撮影できてしまう。」(田村氏)
田村氏は続ける。
「レンズはSIGMAのスチル用レンズの18-35mmと50-100mmを状況に合わせて付け替えて運用した。明るいところにはSTC OpticsのVariableNDフィルターを付けて撮影した。この組み合わせは URSA Mini 4.6K とベストマッチだと思っている。また内蔵の5インチモニターが見やすいため、被写界深度が浅くてもフォーカスが合わせやすかった。」
撮影はすべて ProRes で行われ、編集後に DaVinci Resolve でグレーディングされた。20社分のフッテージは3.5TBにのぼり、それらをデコードして別ファイルを書き出すことなくそのまま編集できる点が、ストレージスペースと作業時間の削減につながったという。
「今回カツオやマグロの加工企業や冷凍事業の企業でも撮影したが、そういった場所はかなり低温度下での撮影にならざるをえない。マイナス60度以下の低温度下でも撮影したが、URSA Mini が問題なく動いたことには驚いた。以前、真夏に撮影したときも暑さでカメラが止まることは一度もなく、かなりタフなカメラだと感じる。」(田村氏)
撮影で苦労したのは、いかにすべての企業動画のクオリティを保つかという点だったという。
「たくさんの企業の動画を撮るなか、クオリティに差がでてはいけない。ただ、撮影したすべての場所がカメラ映えするとも限らない。そんなときにできるだけ映像のクオリティを上げて会社のイメージを良くするような撮り方を心がけた。DaVinci Resolve でグレーディングした際も、見せたくない部分はコントラストをつけ、暗部があまり見えないようにしている。」(田村氏)
また撮影時に重宝したのが、フレームレートを変えての撮影やタイムラプス撮影だった。
「シンプルなインタビューやBロールで構成すると退屈になることもある。企業のイメージに合わせスローモーションやファストモーションの映像にしたり、タイムラプス撮影をして映像に変化をつけている。タイムラプス動画は、カメラによってはスチルで撮ってあとでムービーにする手間がかかったり画質が著しく落ちるものもあるが、Blackmagicのカメラは手軽にRAWやProResで高画質なタイムラプス動画が撮れる。」(田村氏)
今回のプロジェクトでは時間的な制約が多いなか URSA Mini の取り回しの良さがメリットとなった。しかし田村氏が一番のメリットと考えるのはやはり画質だ。
「URSA Mini 4.6Kは個人で持てるカメラとして最高だと思う。この価格で、手頃な価格帯のスチルレンズと組み合わせて得られるルックは素晴らしい。URSA Mini 4.6K の素材は、グレーディングに凝らなくてもちょっと色をいじれば綺麗な映像を作れる。カメラの取り回しもよく、ワンマンオペレーションにも最適だった。」(田村氏)