ブラックマジックデザインは、新しいライブプロダクションスイッチャーである「ATEM SDIシリーズ」を発表した。ラインアップと価格(税込)は以下のとおり。

・ATEM SDI:52,980円
・ATEM SDI Pro ISO:121,800円
・ATEM SDI Extreme ISO:228,800円

 

ATEM SDIシリーズは、ポータブルな筐体にプロ仕様の3G-SDI接続を搭載。全入力がフォーマット変換に対応しており、内蔵のFairlightオーディオミキサーは各入力に6バンドのパラメトリックEQ、コンプレッサー、リミッターを搭載。内部DVE、クロマキーヤー、プロ仕様のトランジションにも対応している。

『ATEM SDI』は、コンパクトなオールインワン設計で、コントロールパネルとインターフェースの両方を搭載している。フォーマット変換機能に対応した4つのSDI入力、USBウェブカム出力、2つのSDI出力、EQとダイナミクスに対応したFairlightオーディオミキサー、PIP用のDVE、トランジションエフェクト、グリーンバッククロマキー、タイトル用に20個のスチルを保存できるメディアプール、無償のATEM Software Controlを搭載。

▲『ATEM SDI』

 

『ATEM SDI Pro ISO』は、『ATEM SDI』の機能に加えて、5系統のビデオストリームをリアルタイムで配信・収録できる機能を搭載。全入力のクリーンフィードが得られるので、マルチカム編集に適している。DaVinci Resolveプロジェクトが保存されるので、ライブプロダクション映像の編集、オーディオのリミックス、カラーコレクションなどが可能。

▲『ATEM SDI Pro ISO』

 

『ATEM SDI Extreme ISO』は、『ATEM SDI Pro ISO』モデルの全機能と、8つのSDI入力および4つのSDI出力を搭載。9系統のH.264ビデオストリームをリアルタイムで収録できるので、8系統のクリーンフィード入力とプログラムビデオが得られます。DaVinci Resolveプロジェクトファイルも保存される。

▲『ATEM SDI Extreme ISO』

 

『ATEM SDI』は、コンパクトなオールインワン設計で、コントロールパネルとインターフェースの両方を搭載。フロントパネルのボタンは使いやすく、ソース、ビデオエフェクト、トランジションを選択できる。ソースボタンはサイズが大きく、触るだけで識別できるため、出演者がスイッチング可能。また、オーディオミキシングのボタンも搭載されている。さらに、『ATEM SDI Pro』と『ATEM SDI Extreme ISO』は、収録および配信のコントロール用のボタンに加え、出力の選択ボタンも搭載しているため、プログラム、カメラフィード、マルチビュー間でビデオ出力を切り替え可能。リアパネルには、カメラ用のSDIコネクター、予備のマイク入力、ウェブカム用のUSB、プログラムビデオ用のSDIの複数のAUX出力を搭載。

モデルによってビデオ入力を4つまたは8つ搭載しているため、ATEM SDIに複数のカメラを接続して被写体の異なるアングルを得られる。それぞれのビデオフォーマットが異なる場合でも、全ビデオソースがスイッチャーに再同期される。

 

▲『ATEM SDI Extreme ISO』リアパネル

 

『ATEM SDI Pro』と『ATEM SDI Extreme ISO』は、ハードウェア配信エンジンを内蔵しており、イーサネット接続を介してライブ配信可能。YouTubeやFacebook、Twitchなどに高品質でライブ配信でき、コマ落ちも生じず設定もシンプルで、配信サービスを選択して、ストリーミングキーを入力するだけでだとしている。ATEM Software Controlには、配信のセットアップを表示するパレットがあり、マルチビューにも配信ステータスが表示される。配信ステータスは簡単に把握できるデザインで、データレートインジケーターは使用中のビデオフォーマットに必要なインターネット速度を表示する。

ロケ撮影でライブプロダクションを行なう場合、『ATEM SDI Pro』および『ATEM SDI Extreme ISO』はAppleやAndroidの携帯電話とUSBポートで接続可能なので、モバイルデータを使用でき、メインのイーサネット接続のバックアップにもなる。

『ATEM SDI Pro』および『ATEM SDI Extreme ISO』は、配信データをUSBフラッシュディスクに直接収録でき、配信と同じH.264ビデオファイル(AACオーディオ付き)を使用した長時間の収録が可能で、YouTubeやVimeoなど、あらゆるオンラインビデオサイトに直接アップロードできる。USBハブを使用して、複数のディスクへ収録することも可能。ひとつのディスクが一杯になると次のディスクに収録を継続するため、ノンストップで収録できる。収録設定およびディスクの選択はATEM Software Controlで実行でき、マルチビューに収録ステータスを表示することも可能。

また、全入力のクリーンフィードおよびプログラムフィードを含む、複数のビデオストリームを同時に収録できるため、ライブイベントを編集可能。ライブで使用されたメディアプールのイメージはビデオファイルと共に保存される。ビデオファイルには、同期タイムコードやカメラ番号などのメタデータタグも含まれる。カラーグレーディング、エフェクト、グラフィックを使用して、イベントを再び編集できる。オーディオソースもすべて収録されるため、オーディオをプロが再ミックスできる。

『ATEM SDI』は、DaVinci Resolveプロジェクトファイルも収録するため、ワンクリックでライブプロダクションをビデオ編集として開くことが可能。すべてのカット、ディゾルブ、メディアプールのグラフィックもロードされる。このファイルを使用すれば、編集点の微調整や、ショットを完全に置き換えることも可能。DaVinci Resolveの同期ビンでは、マルチビューでショットの編集が可能で、素早く簡単に作業できる。すべての個別収録ファイルはタイムコードに基づいて自動的に揃えられるので、全カメラアングルが完璧に同期した状態でスクロールできる。

各3G-SDIビデオ入力は、それぞれ専用のフォーマット変換機能を搭載。『ATEM SDI』は、1080p、1080i、720pのソースを、スイッチャーのビデオフォーマットに自動的に変換する。SDI出力は真の”Aux”出力なので、各SDI出力にルーティングされたソースビデオを別々にカスタマイズできる。すべての出力に、カメラコントロールおよびタリーの情報が含まれており、カメラに接続可能。パワフルなATEM SDI ProおよびATEM SDI Extremeモデルでは、内蔵のマルチビューでSDI出力を表示することも可能。

ATEM Software Controlを使用すると、ATEM SDIのすべての機能を使用できるようになり、スイッチャーの各機能にアクセスできる。ATEM Software Controlのユーザーインターフェースはスイッチャーを視覚化したもので、パラメーターパレットで調整をすばやく実行できる。一般的にはUSBを介して接続するが、イーサネットを使用する場合、複数ユーザーが各自のコンピューターでATEM Software Controlを起動し、同時にATEM SDIに接続することも可能。スイッチャーの状態は、XMLファイルとして保存できる。クリップを再生する必要がある場合は、イーサネット経由でHyperDeckディスクレコーダーをコントロールすることもできる。

『ATEM SDI Extreme』は、4系統のアップストリームクロマキーヤーを搭載しており、バーチャルセットを構築できる。4つの独立したクロマキーヤーを使用できるため、4台までのカメラで1つずつキーヤーを使用し、バーチャルプロダクションを構築可能。ATEM SDI Extremeは8系統の入力を搭載しているので、そのうち4つをカメラに接続し、残りの4つをバーチャルセット用のコンピューターに接続してレンダリングしたバックグラウンドを使用できる。あるいは、予めレンダリングしたスチルイメージの背景をメディアプレーヤーとメディアプールからロードすれば、カメラを動かす必要もなく、固定カメラのバーチャルセットで撮影できる。マクロを設定して、カメラを変更したり、メディアプレーヤーに適切な背景をロードすることも可能。

2つの独立したDVEに加え、『ATEM SDI Extreme』はパワフルなSuperSourceマルチレイヤープロセッサーを搭載。4つのDVEレイヤーとバックグラウンドレイヤーを1つの追加の入力ソースとして認識する。ATEM SDI Extremeのすべてのビデオ入力は、SuperSource DVEとして使用でき、メディアプールのカスタムバックグラウンドにレイヤーされる。

 

▲『ATEM SDI Extreme ISO』

 

複数のカメラを用いた大規模なライブプロダクションでは、1台のモニターで全ビデオソースを同時に確認できる機能は非常に便利である。『ATEM SDI Pro』および『ATEM SDI Extreme』モデルはプロ仕様のマルチビューを搭載しており、すべてのビデオ入力に加え、プレビューとプログラムを1台のSDIモニターで確認可能。各カメラのビューには、オンエア状態が確認できるタリーインジケーターが表示される。また、各ビューのラベルはカスタマイズ可能で、それぞれのオーディオメーターも表示される。さらに、ATEM SDI Extremeモデルでは、16までのカスタムビューを選択可能。マルチビューには、収録、配信、オーディオミキサーのステータスも表示される。

 

 

ATEM SDIスイッチャーの機能

  • コントロールパネルをベースにした小型デザイン
  • 8台までのカメラ/コンピューターを接続可能
  • ATEM SDI ProおよびExtremeモデルでイーサネット経由のライブ配信
  • ATEM SDI ProおよびExtremeモデルで携帯電話をテザリングし、モバイルデータを使用したリモート配信が可能
  • ATEM SDI ProおよびExtremeモデルで、USBフラッシュディスクにH.264で収録可能
  • すべてのSDI入力でフォーマットを自動変換および同期
  • 無償のATEM Software Controlを同梱(Mac/Windows対応)
  • ATEM SDI Extremeモデルで、4つのアップストリームATEM Advanced Chroma Keyerを使用可能
  • ATEM SDI Extremeモデルは、6つまでの独立したDVEに対応
  • ATEM SDI Extremeモデルで、マルチビューを16通りにカスタマイズ可能

 

 

◉製品情報
https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/atemsdi

ブラックマジックデザイン
https://www.blackmagicdesign.com/jp