2017年11月上旬、キヤノンから3台のビデオカメラが発売される。

◎XF405
オープン価格(キヤノンオンラインショップ参考価格400,000円)

◎XF400
オープン価格(キヤノンオンラインショップ参考価格355,800円)

◎iVIS GX10
248,000円(キヤノンオンラインショップ限定販売)

 

◎4K/60p記録ができる3モデル登場

▲ハンドルユニットやSDI端子の有無でタイプが分かれる。上は最上位モデルのXF405。マイクホルダーやハンドルユニットが付属し、3G-SDIが装備されている(XF400はSDIなし)。

▼ハンドル類や音声入力面で省力化し、求めやすい価格になっているiVIS GX10。

今回キヤノンは撮像素子やレンズ、回路等ほとんどの基幹デバイスは4K/60p対応として新開発。まずセンサーは1.0型を採用。キヤノンの従来機種、XA35では1/2.84型だったので約8倍のサイズアップと言える。画素ピッチの見直しなどで高感度と低ノイズ化を実現した。このセンサーで4K(3840×2160 4:2:0 150Mbps)を描き出し、もちろんHDも撮れる。HFRの対応力も高く、FHD 120pのスローモーション記録も可能。

レンズは25.5㎜(35㎜判換算)からの光学15倍ズーム。さらに4K対応としてこれも新開発した0.8倍ワイドアタッチメント・WA-U58、1.5倍テレコンバーター・TL-U58もあり、幅広い画角が得られる。またボケ味の美しさを追求できる9枚絞りや、4段階切り替え式のNDフィルターを内蔵したのは実に嬉しいポイント。従来はOFF~1/8のグラデーションNDで任意のF値に入れられなかったが、3つの濃度を自由に設定でき画作りの自由度が高まることは約束される。

◎XF405、XF400は業務機として一部販売店およびキヤノンオンラインショップにて販売、GX10はキヤノンオンラインショップの限定販売となる。

 

●記録はSDカードに

4K/60pの動画はSDカードに記録できる(UHS-I U3対応)。ダブルスロットでリレー記録、同時記録に対応(同じ記録形式のみ)。スロットの場所も、従来の液晶内側から右手グリップ部の上に変更。

 

●新1.0型センサー開発

4K対応のCMOSは従来より採用のあったキヤノンだが、今回の4K/60p対応にあたって、センサーもエンジンも大きく見直してきた。画素ピッチの3.2μm実現と新エンジンの相乗効果で感度の向上と低ノイズ化に成功。S/N比は1.6dBアップ(1/2.84型センサーの従来機比)。

 

●回転式の独立3濃度NDフィルター内蔵

レンズリングの横にNDフィルターのボタンを押すことで、OFF、1/4、1/16、1/64の4段階が手動で切り換えられるNDユニットが装備された。上部に見えるアクチュエーターで動かすのでダイレクト選択はできないが、+-の双方向に動かすことができる。

 

●デュアルピクセルCMOS AFを採用

新3モデルの魅力はまだまだある。キヤノンが独自開発して定評のあるデュアルピクセルCMOS AFを今シリーズに採用。迷いの少ない高精度なAFが可能で、通常撮影はもちろん120p等のハイフレームレート撮影でも効く。4K映像にとってAFはポイントになるところなので心強いアシスト面となるだろう。AF関連の機能も充実している。顔検出機能が強化され、顔検枠サイズの変更、AFスピードやAFレスポンスも設定できる(ハイ・ミドル・ロー)。
また、新センサーの恩恵でワイドDRでも進展がある。高輝度部の描写力を高めるワイドDRガンマは従来より評価の高い機能だったが、従来600%から今モデルでは800%に向上。白飛びなどをより抑えられ、全体に画の品質が上がる。

EOS機等で採用されていて定評のある像面位相差AF方式のデュアルピクセルCMOS AFを本機にも採用。CMOSの1画素1画素がAFのダイオードとなるので、高速かつ高精度のAFが期待できる。加えて、位相差AF技術の応用で合焦しているかどうか、また前ピン・後ピンまで画面表示してくれるGUIも。

 

●LPCM設定で4チャンネル入力が可能に

リニアPCMの4ch入力にも対応(MP4時)。LPCMでは例えば内蔵マイク2chに加え、ピンマイク、ハンドマイクの各1chで4ch分を一気に収録できる。4ch時でも音声インジケーターを確認でき、音声独立設定機能もあるのでINPUT1/2やMIC端子の録音レベルをチャンネルごとに設定することも可能(設定不可の項目もある)。

 

●HDMIやSDIからの4K UHD 60p出力に対応

↓外部記録専用モードでの出力内容


HDMIはHDMI 2.0に対応。4K/60p出力(4:2:0、8ビット)で外部レコーダー収録ができ(外部記録専用モード時のみ内部記録は不可※)ProResやNDx変換可能。またFHD/60p出力(4:2:2、10ビット)にも対応。3G-SDIのあるXF405では、SDIで同じくFHD/60p出力(4:2:2、10ビット)に対応。4K/60p出力時は顔検出やパワードISなどいくつかの機能が使えない制約事項がある(詳細未定)。

※外部記録専用モードに設定しなければ、内蔵記録併用可。その場合、上記の全設定で4:2:0 8bit出力となる。

 

このほか、Wi-Fi機能や有線LAN(業務2機のみ)、赤外カメラ対応(業務2機のみ) などもあり、広範囲での活用が期待される。

XF305(薄青)、XF205(薄緑)と比べてひじょうにコンパクトなXF405/400。機動力が高く、さまざまな現場で活躍しそうだ。

◎キヤノン 製品サイト

XF405/XF400

http://cweb.canon.jp/prodv/lineup/xf405-xf400/index.html

(追加情報)
■4K業務用モデル2機種の2018年上期ファームアップ予定

XF405・XF400の2機種は、2018年上期にファームウエアアップデートにてXF-AVC(ファイル形式はMXF)に対応し、フルHD時はインターレース方式(59.94i)での記録および外部出力が可能となる予定。

 

<他の新製品追加情報>
また、同じくキヤノンより、HDモデルのラインナップ拡充として新たに3モデルも登場。9月22日より発売予定。
◎XA15
オープン価格(キヤノンオンラインショップ参考価格210,800円)
◎XA11
オープン価格(キヤノンオンラインショップ参考価格166,800円)
◎iVIS HF G21
9,9800円(キヤノンオンラインショップ限定販売)

▲ハンドルユニット付きXA15/XA11  ▼家庭用iVIS HF G21

同社フルHD機のXA35/XA30の性能を基本的に踏襲しつつ、いくつかの変更点を加えることでハイコストパフォーマンスモデルを目した3機。
XA35/XA30からの変更点は以下の通り。
●液晶モニター:3.5インチ123万ドット→ 3.0インチ46万ドット
●EVF/液晶モニター排他点灯
●Wi-Fi非対応
●リモコンWL-D89非同梱(本体非対応)
●ワイヤレスマイクロホンWM-V1非対応
●HDMIケーブル/AV&USBケーブル非同梱
●詳細版取説PDF化(クイックガイド同梱)
●DataImportUtility CD非同梱(ダウンロード対応)

◎XA15/XA11:ハンドルユニットHDU-1同梱
◎XA15:SDI端子装備 (XA11は非装備)

変更点のポイントとしては、液晶モニターのスペックダウンと、XA35/30ではEVFと液晶モニターを同時に使用することができたのが、XA15/11ではどちらか片方ずつしか使用できなくなった点。ほかは必要性の点で合理的な判断によってコストカットすることで価格を抑え、より求めやすいモデルの提供を目指している。

◎キヤノン 製品サイト
XA15/XA11
http://cweb.canon.jp/prodv/lineup/xa15-xa11/index.html

iVIS HF G21
http://cweb.canon.jp/ivis/lineup/hfg21/index.html