Company 3、DaVinci Resolve を使って
映画「プロメテウス」の複数バージョンをグレーディング


Blackmagic Design はこのほど、ポストプロダクションのCompany 3 が、20 世紀フォックスの「プロメテウス」をDaVinci Resolve を使用して、各上映システムに対応した4バージョンのカラーグレーディングしたことを発表した。「プロメテウス」は、「エイリアン」、「ブレードランナー」などで知られる巨匠リドリー・スコットが監督を務める今夏公開予定のSF スリラー大作。スコット監督は「プロメテウス」の制作にあたり、驚異的なビジュアルスタイルを実現するため、Company 3に協力を求めた。撮影は、全米撮影監督協会(ASC)の著名なカメラマンであるダリウス・ウォルスキー(Dariusz Wolski)氏が担当した。


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ノオミ・ラパス、マイケル・ファスベンダー、ガイ・ピアース、イドリス・エルバ、ローガン・マーシャル・グ
リーン、そしてシャーリーズ・セロンら、豪華キャストを揃えた3D 大作「プロメテウス」。
その舞台は、生命の存在を全く感じない未知の惑星であり、薄暗いシーンが画面に数多く登場する。ウォルスキー氏が撮影した画は、すでに色を最小限に抑えたものだったが、サンタモニカに拠点を置くCompany 3 のカラリスト、スティーブン・ナカムラ氏は、さらにその画像の彩度を下げることで、ウォルスキー氏の作り出す世界観を一層際立たせたのである。
スコット監督は、圧迫感のある薄暗い雰囲気を表現したいと望んでいた。
しかし、それによって、舞台となる未知の世界や、その世界の登場人物が使用するテクノロジーの見事なディテールを見づらくしてしまうことは、彼の望むところではなかった。
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ナカムラ氏は、Resolve のトラッキングとパワーウィンドウを駆使し、カメラのアパーチャー補正のような効果をだすため、併せてブラーやシャープニング機能を使用した。シャープさを追加することで、フレーム内の特定のオブジェクトを強調できるためだ。
「スコット監督の狙いは、“焼け焦げて灰になったような”ルックだったので、あらゆる物の色味を抑え、冷たいルックにする必要がありました」
以前にも、映画「ロビンフッド」でスコット監督とタッグを組んだ経験のあるナカムラ氏は、このように述べている。
しかし、当然、俳優達には人間味を残さなければならず、周りの闇をくすませることなく、俳優に温かみのある光を当てる必要があった。
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スコット監督は、彼の作品、ことに「プロメテウス」において、こういった課題を解決するのに、Resolve でのアパーチャー補正を推奨した。それにより、画像の被写界深度の浅さをわずかながら強調した。その結果、特殊効果のように見せずに、観客の目を特定の人物やオブジェクトに注目させることに成功したのである。
ナカムラ氏はさらに続けた。
「面白いことに、3D の視聴環境では上手く機能したアパーチャー補正が、2D では機能しませんでした。3D 眼鏡は、ある意味緩和フィルターとして機能するので、3D 眼鏡を通した状態で自然に見えているシャープネスは、2D 映像で見ると強過ぎるのです。しかし、Resolve はノードベースでカラーグレーディングするため、2D バージョンの調整はそれほど複雑ではありませんでした。フッテージを通してチェックして、シャープニング効果のノードだけ、効果を抑えるため調整したのです。この手法だと、画像の他の部分に影響が出てしまうことはありません」
ナカムラ氏はまた、Resolve のパワーウィンドウ機能を使用し、従来の手法では不可能であったシーン中の実際の「光」を形成した。
例えば、登場人物の宇宙服の中に「光」を形成し、生命感のない舞台で俳優の表情を浮き
彫りにしたのである。「私は、壁と洞窟の側面にパワーウィンドウを作りました。そして人物の周りに光の輪を描いたのです。従来、こういったことはあまりしませんが、『プロメテウス』の世界観にはぴったりとはまったのです」
Company 3 はまた、「プロメテウス」のステレオ3D チームと協力して、3D 映像用にショットからショット
へのコンバージョンを調整した。これは3D 効果を高めるための非常に重要な作業で、この処理を施さなければショット間のトランジションが不自然になりスムーズに仕上がらない。
Resolve は、様々な形態の3D 設備で上映するための準備にも幅広く使用された。異なるタイプの3D 上映システムでは、投影された画像の照明レベルやコントラストレベルも異なってくる。
そこでCompany 3 は、Resolve でルックアップテーブル(LUT)を作り、それを活用した。複数のマスターを作成するため、まず輝度の低い上映システム用にグレーディングし、その後、より輝度の高い上映システム用に、コントラストレンジの広いLUT をあて、そこからショットごとに微調整を行なった。
この点に関し、ナカムラ氏はこう語る。
「この作業は非常に上手く機能しました。しかし、全編を通して、輝度の高い3D ディスプレイ用に各ショットを調整し、その他にも、輝度の高い2D ディスプレイ用にも色を調整するなど、多くの作業が必要でした。Resolve では、そういった複数のマスターを作るにも、変更したい部分だけを特定して調整できたので、とても助かりました」