dji_matrice600_launch005.jpg
取材・文●松本 敦(Movie For Life
 DJI JAPANは4月25日、品川シーズンテラスにて新製品発表会を開催した。会場ではPhantom 4の発表会と同様に代表の呉 稲(ご とう)氏自らプレゼンテーションを行い、新型空撮ドローン「Matrice600」(520,000円)、同ドローンに搭載可能なブラシレスジンバル「RONIN-MX」(179,000円)そして「Matrice600」に搭載可能なオプション「A3フライトコンピューター」(99,800円)について説明が行われた。

dji_matrice600_launch006.jpg
▲DJI JAPAN代表の呉 稲氏

以前はカメラ毎にジンバルが必要だった

 呉氏のプレゼンテーションは過去の空撮機材での話から始まった。これまでの空撮ドローンにおいてはジンバルはカメラ毎に大きさなども異なり、搭載できる重量も限界があった。
 そこから技術が進化し、地上用ではあるものの、ブラシレスジンバルの「RONIN」シリーズが開発され、今回技術の結集して新製品の発売となった。

圧倒的なパワーとパフォーマンスを誇る「Matrice600」


dji_matrice600_launch007.jpg
▲新製品のMatrice600
dji_matrice600_launch004.jpg
▲Matrice600のバッテリー
 まず驚いたのはその大きさ。大人と比較した際にこの大きさが伝わるだろう。それもそのはず、搭載可能な重量は6kgとのこと。REDなどのシネマカメラを搭載することが可能となる。Matrice600は6つのローターを持つヘキサコプター。バッテリーはあえて小型したものを6本使用することで、航空機持ち込みなどにも対応できる運搬性と安全性の2つを向上させている。またランディングギアは飛行時には格納され、カメラを360度パンさせて撮影することが可能となっている。
 ちなみに飛行時間は大型の機材であれば約15分、同社のジンバル・カメラ一体型ユニットZenmuse Xシリーズの場合は約30分の飛行が可能。

空撮用に設計された「RONIN-MX」

dji_matrice600_launch008.jpg
▲ハンドルをつけて手持ちでも、Matrice600に装着しても使えるブラシレスジンバルRonin-M
 従来の「Ronin」、「Ronin-M」を継承しながら空撮用として随所に新機能が盛り込まれている。高額なシネマカメラを搭載するということもあり、2点の固定式のカメラケージで強固にロック。360度パンが可能になり、チルト角度は+45度、−135度まで傾くことで、ダイナミックな空撮が可能になっている。RED DRAGONやARRI ALEXA MINI等のシネマカメラを搭載できる。

究極の信頼性、無限の可能性をコンセプトに
設計された「A3フライトコンピューター」

dji_matrice600_launch009.jpg
 安全性と制御の面で圧倒的なパフォーマンスを発揮するまさに「人口頭脳」のようなシステム。「A3 Pro」にアップグレードすることでさらなるパフォーマンスを発揮する。例えば飛行中にプロペラが紛失してしまっても最低3枚のプロペラでも自律制御を行うことができる。IMUとGNSSを3つ搭載するD-RTK技術でホバリング時のGPSの精度は数センチ単位のズレで測位が可能になる。これはPhantom 4で使われているGPSの精度の100倍の精度になるという。
dji_matrice600_launch010.jpg
 さらに5台同時にドローンを制御することもできる。呉氏によればこのことで例えば撮影する際に「照明用ドローン」と「空撮用ドローン」それぞれのドローンの動きを緻密にプログラミングして動かすことが可能となるとのこと。

SDKを提供することにより、様々なプログラムが可能に

 計測や農業において活用するデベロッパーに向けてSDKも提供することで独自のプログラムを開発することが可能に。例えば「ある特定の匂いを追い続けるドローン」なども、そのうち開発されるかもしれない。

DJI Osmoの拡張パーツも同時に展示

dji_matrice600_launch011.jpg
 呉氏からのプレゼンテーションはなかったものの、バランス調整不要で使える手持ちジンバル・DJI Osmoの拡張パーツも展示があった。

縦軸の揺れを防止する「Z-axis」

dji_matrice600_launch012.jpg
 
歩行の際にどうしても発生してしまう「縦揺れ」を防止するアイテム。恐竜の首のように動くアームが縦揺れ振動を防止する。カメラ自体は上下にビヨンビヨンと動くのだが、映像を見てみるとかなりのブレが軽減されている。ただし、搭載できるカメラはZenmuse X3使用時に限られる。

バッテリー問題を解消する「バッテリーエクステンダー」

dji_matrice600_launch013.jpg
 DJI製の外部バッテリーと接続するアダプター。Osmoのバッテリー持続時間は約60分だが、まる1日の撮影に持ち歩くとなると、いささか心もとない。Phantom 3やRoninのバッテリーと接続する2PinタイプとPhantom4と接続する10Pinいずれかと接続することで、最大14時間のバッテリー持続時間を実現できる。Phantom 3のバッテリーを持っている筆者としては願ってもないアクセサリーの登場に心踊った。

X5シリーズが搭載可能な「X5アダプター」

dji_matrice600_launch001.jpg

 Inspire用に開発されているZenmuse X5シリーズがOsmoにも搭載可能になった。X5はマイクロフォーサーズ規格のレンズ交換式ユニット。専用のアダプターを介することでOsmoにも搭載可能になった。

「プロの映像制作に必要不可欠なアイテムとなる」

 今回のプレゼンテーテションの中での呉氏のコメントが印象に残った。数年前まではDJI社といえば「ドローンメーカー」としての印象が強かったが、今回の発表で本格的な映像制作プロダクションにおいても「強力なパートナーとなる」という強烈な印象を受けた(気づけば自分もPhantomシリーズ、RONIN、OSMOとDJIヘビーユーザーになっているわけで、、)。
 あいにく筆者個人としては、Matrice600を所有するというのは厳しいものの、数年後には同等の技術がさらに小型化していくことは間違いない。個人ユーザーとしてもこれからのDJI製品の進化が楽しみである。



●Matrice600製品情報
http://www.dji.com/jp/product/matrice600
●Ronin-MX製品情報
http://www.dji.com/jp/product/ronin-mx
●A3フライトコントローラー製品情報
http://www.dji.com/jp/product/a3
●DJI Osmo
http://www.dji.com/jp/product/osmo