ソニーは4月8日(アメリカ現地時間)、ラスベガスで開催中の世界最大級の放送機器展NAB Show2018で、9日からの展示会に先駆けて、事前のプレスカンファレンスを開催した。ここではその展示の一部をレポートする。今年のソニーの展示のキーワードは「4K HDR」「IP伝送」。そのワークフローの効率化をテーマとした展示が目立った。
Z190/Z280はいずれも4K HDR収録に対応
今回のカンファレンスで発表された新製品として、放送やイベント撮影等業務撮影の現場で愛されるXDCAMから3板CMOS搭載で4K/60p撮影に対応したPXW-Z280とZ190を発表した。現地の説明員によると、Z280はEX1の後継にあたり、Z190はNX5の後継にあたるという。3板を採用したことで、センサーサイズを抑え、カメラ筐体をコンパクトに設計できること、それでいながら高感度と色再現性に優れている点だという。
両機の主な共通点は3板CMOS・4K/60p撮影対応・HLG(Hybrid Log-Gamma)対応・電子式可変NDを搭載していること。また、異なる点はセンサーサイズ(Z280は1/2インチ、Z190は1/3インチ)、記録メディア(Z280はSxSカード、Z190はSDカード)。記録フォーマット(Z280はXAVC Intra 4:2:2 10bit、Z190はXAVC Long 4:2:0 8bit)、また、Z280は一本の同軸ケーブルで4K出力ができる12G-SDIに対応する。
両機種ともにソニーが提唱する効率的にHDR映像が制作できる「Instant HDR」に対応しているが、Z280ではS-Log3を搭載し、カラーグレーディングを前提としたワークフローでも使用できる。
また、対応アクセサリーをMIシューをハンドル前方と後方の2ヵ所に備え、例えばLEDライトとワイヤレスマイクを同時に使用することもできる。
コンパクトシネマカメラFS5もFS5 Ⅱにバージョンアップ
FS5のコンパクト性をそのままに、ハイエンドシネマカメラVENICEのノウハウを注入し、人肌の描写を見直した。中間色の表現力を向上し、色あいはよりソフトに、ハイライトの描写は被写体を美しく際立たせるトーンにチューニングしているという。また、写真のように別売の外部レコーダーとSDIで接続することで、RAW出力による4K/120fpsのハイフレームレート撮影にも対応した。
4K HDRブラビアの展示も
ソニーのテレビ・BRAVIAシリーズの4K HDRモデルを展示。左から3台が有機EL、右2台が液晶テレビ。HDR映像の表示には輝度差をしっかりと描写できる性能が大切だが、自発光で黒を黒らしく映し出せる有機ELに対し、液晶はバックライトを明滅させることで映像を映し出すため、黒を黒らしく映し出すのが難しいとされていた。バックライトに直下型LEDを採用し、高密度に敷き詰め、部分駆動させることでコントラスト比を向上させている。
ハイエンドシネマカメラVENICEをはじめENGまでタッチ&トライ
実機に触れるタッチ&トライのコーナーが賑わっていた。VENICEをはじめとするシネマカメラから、放送用のENGまで幅広く展示されていた。
RADIANT IMAGESとコラボしたRX0バレットタイム撮影装置
1型センサーを搭載するアクションカメラRX0。50台程がズラッと並ぶ。これはバレットタイム撮影用にクマれたRADIUSというリグ。RADIANT IMAGESというアメリカの機材レンタル会社が販売を行なっている。物々しい機材セッティングに来場者の注目を集めていた。
ステディカム用のベストに取り付けられていた。
ソニーのカンファレンス公式映像
●NAB Show公式サイト