さる6月2日、東京赤坂にあるワークショップスタジオDUにおいて、長田勇市撮影監督によるPDシネマ上映&トークショーが開催された。長田さんが提唱する「PDシネマ」のPとは、Private,Personal,Panasonicの意味で、Dは、Digitalのこと。つまり、パナソニックのDVX100やHVX200などの小型カメラで撮影する、自分のための、個人的な映画というコンセプトである。
仕事の劇映画では撮影監督としてライティングやカメラワークを指示する立場の長田さんだが、このPDシネマでは、自分で企画し、撮影し、編集まで行なっている。「自分のやりたいよ~にやっている」とのこと。まさにプロの技術とプロの役者を使って作る贅沢なアマチュア作品と言えるかもしれない。
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DVX100なら個人的な映画が作れる
DVX100というDVカメラと出会ってから企画していたというPDシネマ。これまでに3作品が完成しているが、今回上映された作品は2年半前からDVX100Aで撮影し、編集もFinal Cut Proの操作を覚えて自分で行なったという。
完成したDVDは公開するつもりはなく、出演した役者と原作者に喜んでもらえればいいので、自分の分とあわせて3人分焼いただけ。それ以外の人に見せるのは今回が初めて。
「パダム・パダム」
内容は、俳優の下元史朗さんが、ゲイバーのオーナーでありシャンソン歌手という設定で、自分の過去を語るというもの。語っている場所(背景)が変わり、ライティングは変わるが、一人称で語るというスタイルが最後まで続く(全体で74分)。
ライトはおもにデドライトを使用し、撮影は下元さんのご自宅で行なったとのこと。最初は背景が居間やバーだったのが、後半に話が佳境にさしかかってくるに従って、抽象的でシンプルな背景になっていく。見ているほうは、役者の話の中身のほうにイメージが飛んでいく。
ライティングの妙を味わうのも楽しい
このあとに制作したPDシネマは、女優の仁木てるみさんが、一人称で語るという「いつか王子様が」という作品で、後半にいくにしたがって、仁木さんがどんどん魅力的に見えるようなライティングをしたという。ライティングを教えるための実践的な教材にするためという目的もあったそうなので、DUでライティングのワークショップがあるときはぜひ参加してみはいかがだろうか?
本格的なドラマを撮ろうとすると、お金がかかる。しかしこのスタイルであれば、
原作と役者の演技力に負うところは大きいが、1時間以上、じっくりと見せられる映像ができあが
る。しかも役者以外に自分ひとりでできる。自主映画を撮っている人なら、低予算を逆手にとって、
こんなスタイルで映画を作ってみるのもおもしろいと思った。