満を持してソニーから4K/60pの3CMOSカメラが登場する。今年の末からは4K放送が始まり、局からは4K/60p納品が求められ、業界としてはもう待ったなしの状況。これからを考えると、4K/60pカメラは標準となっていくはずで、取材カメラの新しいスタンダードを作ろうというソニーの意気込みが感じられる。ソニーにはすでに4KのショルダーカメラとしてPXW-Z450(2/3インチ)があるが、この2モデルはそのハンドヘルド版。1/2インチ3CMOSタイプが「PXW-Z280」で、X200の後継の位置付け、1/3インチ3CMOSタイプが「PXW-Z190」でX180/X160の後継に当たる。
PXW-Z280(右) 7月6日発売 770,000円
PXW-Z190(左) 9月上旬発売 495,000円
4Kセンサーは取材カメラ用途だとHDセンサー機よりも暗いというのが弱点だったが、新開発のExmor R 3CMOSは感度F12を実現(High Sensitivityモード)。これはHDのX200と同じだという。
Z190でも今のところF11を目指して開発中とのことで、センサーの性能向上で4KでもHD並みの高感度が得られる時代になってきた。
レンズはZ280はX200で好評のフルマニュアルレンズFUJINONの光学17倍(35㎜判換算30.3-515㎜)を採用。HD時は2倍デジタルエクステンダーが使え34倍という高倍率になる。Z190のほうは、X180用レンズをベースにレスポンスを向上させた25倍ズーム(35㎜判換算28.8-720㎜)。こちらも2倍デジタルエクステンダーでHD時には50倍もの超望遠撮影が可能になる。
記録フォーマットはZ280が、XAVC-Intra 4:2:2 10bit(4K/HD)、XAVC-Long 4:2:0 8bit(4K)/4:2:2 10bit(HD)、Z190のほうは、XAVC-Long 4:2:0 8bit(4K)/4:2:2 10bit(HD)。ともに4K/60pに対応。記録メディアはZ280がSxSカード、Z190がSDカードでともに2スロットで同時記録、リレー記録、バックアップ記録が可能。
PXW-Z280
▲レンズはX200で好評のフルマニュアルタイプの光学17倍。3連リングすべてエンドtoエンドで操作でき、ENGズームレンズと同等の操作ができる。
▲メディアスロットはSxSとSD(プロキシ用)。TC IN/OUTとGenlockもあり。
PXW-Z190
▲レンズはX180用レンズをベースにレスポンスを向上させた25倍ズーム。35㎜判換算で28.8-720㎜をカバーする。従来はズームでの反応の遅れを指摘されていたが、それを改善したと言う。
▲メディアはSDのみ。両モデルともバッテリーは14V系。
4K撮影時はフォーカスも問題になっていたが、顔にフォーカスを合わせる技術を進化させ、登録した顔の追跡に加え、顔以外にAFしないフェイス・オンリー、プッシュマニュアルフォーカスなど、より人物取材に向いた仕様になっている。ちなみに顔の登録は電源を切っても記憶されている。
電子式可変NDフィルターを搭載。また両モデルともHLG対応で、Z280はS-Log3にも対応する。
音声周りは4chオーディオ対応がポイントで、XLR入力とMIシューの同時運用でワイヤレスとショットガンをパラでカメラに入れられる。
▲両モデルともにデュアルMIシュー仕様になった。これによりLEDライトとMIシュー対応ワイヤレスレシーバーを同時装着することが可能になった(オーディオアクセサリーを2つ装着することはできない)。
▲肩にボディ後部を当てて撮影するスタイルを想定して液晶モニターの位置は前方に移動した。ボディバランスは前重だったのを改善。グリップ形状にも手を加えている。
ハンドヘルドの取材カメラとしては、「全部入り」とも言える2台。現場の定番カメラになりそうだ。