ソニーのフルサイズ一眼、高感度モデルのSシリーズから新製品α7S Ⅲが登場する。今回のモデルではセンサー・エンジンともに刷新され、定評のある低照度撮影もさらに向上し、さらには4K/120p撮影、10bit 4:2:2、16bit RAW出力など映像制作には心強い機能が搭載された。
前モデルの登場からはや5年。α7Sシリーズの後継機が、10月9日に満を持して登場する。発売は10月9日。価格はオープンで市場想定価格は41万円前後となっている。
グレーディング耐性を持つ録画フォーマット
まず注目したいのは、10bit 4:2:2の内部記録と16bit RAWのHDMI出力を採用したことだ。この5年間でカラーグレーディングがディレクターやビデオグラファー、Vlogger、趣味のユーザーの間でも広まってきたことを考えると、グレーディングの幅を広げてくれるこれらの機能はユーザーに歓迎されそうだ。RAW出力の録画にはアトモスNINJA Vが対応する予定だ。外部レコーダーでの録画中に本体での内部録画も可能になっている。
また、今回のモデルからAll-Intraでの記録に対応する録画モード「XAVC S-I」も搭載する。前モデルのα7SⅡは最大100Mbpsのビットレートだったが、600Mbpsでの撮影も可能になり、画質面でも期待が持てそうだ。また、圧縮効率の高いH.265(HEVC)のコーデックを採用する「XAVC HS」も追加されている。
これに伴い、従来のSDカードに加えて、新たな記録メディアCF Express Type Aも採用される。SD相当のサイズ感ながら最大読み出し800MB/s、最大書き込み700MB/sを実現する。カメラはダブルスロットで、SDカードとCF Expressカードのコンボスロットになっている。
新開発のセンサーと エンジンの恩恵
α7S Ⅲは動画向けモデルだ。その理由の一つが画素数。有効画素1210万画素という数字を見ると、今どきのカメラとしては画素が少ないと感じる人もいるかもしれない。だが、4K撮影に必要なのは800万画素程であり、Sシリーズでは画素ひとつひとつを大きくして受光面積を広げることで高感度を実現してきた。今回のモデルでは裏面照射型CMOSを採用し、暗所性能がさらに向上しているという。
その他、エンジンも刷新され、ファンレス設計ながら全画素読み出し4K/60p映像を熱暴走なく連続1時間記録できるようになった他、4K/120pのハイスピード撮影にも対応できるようになった(4K/120p撮影時は1.1倍のクロップが発生する)。センサーの読み出し速度も早くなったことでローリングシャッター歪みも改善されているという。
ファストハイブリッドAFや瞳AFも搭載
この他、759点のフォーカスポイントを持つ像面位相差AFと425点のコントラストAFを組み合わせた「ファストハイブリッドAF」を搭載。好評の瞳AFにも対応する
バリアングル液晶の採用
3型144万ドット液晶を搭載。バリアングルの回転角は、横176度、上180度、下90度。今回のモデルからタッチパネルにも対応した。
以前までRECボタンはグリップ部に搭載されていたが、カメラ天面に配置された。ウエストポジションなどの撮影がしやすくなりそうだ。
従来機・ライバル機とのスペック比較
α7S Ⅲの発表で、各社フルサイズ一眼の本命が出揃った形だが、このカメラの実力は今後の実機テストを通じてレポートしていきたい。楽しみなカメラが登場したことを1ユーザーとして歓迎したい。
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