コスパ抜群のリファレンスモニター! BenQ SW321Cはプロの目にどう映る?


カラーグレーディングは映像制作者の間で当たり前のものになりつつある。グレーディングの際にリファレンスとなるモニターの重要性も高まっている。今回は映像作家の鈴木佑介さんにSW321Cを試してもらいそのインプレッションをレポートしてもらった。

テスト・文●鈴木佑介/構成●編集部/協力●ベンキュージャパン株式会社

 

BenQ SW321C  オープン価格(実売25万円前後)

 

私事だが、この夏に編集環境をアップグレードした。M1プロセッサへの移行で過渡期のMac界隈、噂されるPro機を待ちたい所もあったが、3年ほど使用したiMac Proから最後のIntelプロセッサモデルとなる? Mac Pro2019モデルに入れ替えた。モニタ一体型からタワーマシンへの変更に伴い、Mac Proの作業用モニタにBenQのSW321Cを採用した。

 

SW321Cはコスパ金メダル

SW321Cの実売価格は税込で20万円前後。大型で安価なモニターが増えた昨今、人によっては高く感じるかもしれないが、SW321Cのコスパはすごい。ハードウェアキャリブレーション対応のリファレンスモニターで、スペックとしては4K UHD(3840 ×2160)の解像度を持つIPSパネル。ノングレア(無反射パネル)なので周囲の映り込みを押さえ、モニタ内の情報の集中できる。眼前にあるモニタで作業ができる最大のサイズが32型だろう。

大画面であるが故に周辺部の色や明るさのムラなどが気になるところだが、本機にはユニフォーミティ補正という機能のおかげでそういったムラがなく、隅々まで均一に色を表示してくれる。特に立ち上げから安定するまで速い印象だ。

筆者は作業用モニタとしても使用しているが、編集アプリでの作業への没入感と、複数のアプリケーションを立ち上げての作業でのワークスペースの広さに感動している。もう小さなモニタには戻れない。正確な色再現を可能にする AQCOLOR技術にて表示可能な色域はAdobe RGB 99%、sRGB /Rec.709を100%、DCI-P3 /Display P3を95%までカバーという仕様。

映像編集はもちろん写真編集などにも申し分ない(Pantone/CALMAN 認証取得なのでPANTONE認証製品にもマッチする)。外部のキャリブレーターを使用してのハードウェアキャリブレーションに対応し、校正データを3つまで保存できる(ソフトウェア付属)。また、HDR(PQ/HLG)にも対応しているのでこれからの時代にも適応できるモニターだ。特にHLGに対応しているモニターでこの価格帯はありがたい。

 

鈴木さんが気になったSW321Cのポイント

▲色再現の正確性さることながら、32インチのサイズで作業時の没入感がすごい。個人的な印象として黒の表示が上品な印象を受ける。

▲USB-TypeC (60w給電可)を備えラップトップをメインとするユーザーにもケーブル1本で接続+給電ができるためマッチするだろう。

▲接続ポートはHDMI(v2.0)がふたつ、ディスプレイポート(v1.4)とUSB-Type Cが各ひとつ。またモニタ側面にはSDカードスロットとUSB(TypeA)が2口ある。地味にうれしいポイントだ。


▲組み立て式の遮光フードが付属。天井に開閉式の小窓がありフードを外さずにキャリブレーション用のプローブを使える。

▲ホットキーパック(フィジカルコントローラー)付属で、ちょっとしたディスプレイ設定が楽になる。ボタンやホイールの役割はカスタム可能。

 

 

ターゲットがWEB媒体といえども 「色の物差し」は必要

映像を流す媒体がテレビだけでなくなった今、「sRGBで合わせておけばいいのでは?」と思う人も多いのではないだろうか? 百歩譲って良しとしても、その作業しているsRGBのモニターがsRGBのカラースペースとずれていたらどうなるだろう? せっかく作り込んだ色も自分の環境以外では再現されない、ということだ。

「ソフトウェアキャリブレーションをしているから大丈夫」という人もいると思うが、ソフトウェアキャリブレーションはビデオカード自体の出力を減らして色を表示しているため階調の減少や色再現がずれてしまう。それに対し、ハードウェアキャリブレーションはモニター自体を校正、調整するためそうしたことはほとんど起こらない。

ちなみに色域が違うとどれくらい色が変わるのであろうか? SW321Cにはモニター内で同じ出力の画を異なるカラースペースで同時比較できる「Picture By Picture」という機能がある。カラーグレーディングを行なった画をRec.709と劇場映画の色域であるP3で比べてみた(写真はモニターを撮った)。伝わるか分からないが、P3のほうが少し青白く見えるであろう。また、同じ色域でもモニターの経年劣化で色がどんどんズレてくるため、映像制作を仕事にするのならばハードウェアキャリブレーションができるモニターは必須なのだ。BenQのSWシリーズはリファレンスモニターを導入しようと考えているクリエイターにおすすめの製品だ。

 

キャリブレーション中の様子

▲キャリブレーションには別売のプルーブ(計測器)が必要。今回はXliteのi1Display Proを使用。

 

同じ映像でも色域が違うと見え方が変わる

▲SW321Cの「Picture By Picture」 という機能で色域の違いを比べてみる。REC709とDCI-P3を表示させて写真を撮ったもの。DCI-P3が少し青白く見える。

 

LINE UP


BenQ SW271C オープン価格(実売20万円前後)

SW321C同様IPSパネルを採用する27インチの4Kモニター。Adobe RGB 99%、Display P3/DCI-P3 90%、sRGB / Rec.709 100%をカバーし、HDR10 / HLG にも対応。

 

 

【お知らせ】

8月16日に実施したウェビナー「ゼロから分かるS-Log3の扱い方とカラーグレーディングワークフローfeaturing.BenQ SW321C」のアーカイブ動画をVIDEO SALONのYouTubeチャンネルで公開中。