映像制作をはじめ、クリエイティブな現場を支え続ける「HP Workstation」シリーズ。今回、第12世代 インテル Core iプロセッサーを搭載した「HP Z2 Tower G9 Workstation」に、グラフィックカード NVIDIA RTX A5000を入れた機体を用意。Unreal Engine4で、XRライブなどのバーチャルライブステージ制作を手掛けるカゾエノブアキ(REZ&)さんに、試用してもらった。

取材●編集部 片柳 構成・文●笠井里香 協力●株式会社 日本HP

 

Unreal Engineを使用して多数のバーチャルライブ制作を行うカゾエさん。こちらはカゾエさんがライブディレクターとして演出および照明デザインを担当した『Kizuna AI Virtual Fireworks Concert』のダイジェスト動画。ライブステージはUnreal  Engine上で制作している。

 

『HP Z2 Tower G9 Workstation』

最小構成価格¥207,900(税込)〜

スマートかつコンパクトな筐体でありながらも、プロフェッショナルの仕事に応える本格的なスペックが魅力。第12世代インテル Core i プロセッサーを搭載したエントリーモデル。

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今回使用したPCスペック

※別途グラフィックスカード単体の後付けは、オプションでの対応


▲筐体の前面に、USB3 .1 Gen2(Type A)転送を4つ装備。カゾエさん曰く、自作PCの場合、マザーボードにあるUSBポートを使用するため、どうしても背面になってしまいがち。USBメモリを挿して作業することの多いカゾエさんにとって、前面に複数あることはとても利便性が高いという。

 

 

リアルタイムレンダリングでも圧倒的な性能を発揮したNVIDIA A5000

僕は、Unreal Engineを活用したライブ制作をしており、仮想空間上にバーチャルステージを作り、音楽ライブの演出などを行なっています。そのため、PCの選び方として、CPUはもちろん、リアルタイムレンダリングの処理性能を左右するGPUの選定が重要となります。普段は自分で組んだPCを使っていて、GPUにGeForce RTX3080を入れています。ゲーミングに特化したGeForceは、リアルタイムレンダリングにおいて充分な性能を発揮してくれています。

一方で、HP Z2 Tower G9 Workstationに搭載されているNVIDIA RTX A5000は、プリレンダーの処理が得意で、CADや3DCG向きと言われています。正直、リアルタイム処理においてはGeForceのほうに分があると考えていたので、僕自身の作業に対してどのように応えてくれるのか楽しみでした。

今回の検証では、Unreal Engine4上にテスト用のバーチャルワールドのプロジェクトを開き、仮想カメラを動かしてFPSの数値を比較。さらに、よりGPUへ負荷を掛けるため、照明ソフトのgrand MA3を立ち上げ、照明も流し込みました。その結果は「HP Z2 Tower G9 Workstation」に軍配が上がり、ほかの負荷スコアも概ね高い結果がでました。これには驚きました。僕自身のイメージも覆りましたね。Unreal Engineでリアルタイムレンダリングもしたいし、Blenderでレイトレーシング処理もしたいという方には、とても良いポイントになるのではないでしょうか。

●Unreal Engineのレンダリング処理でも快適なパフォーマンスを実現


▲Unreal Engine 4上に、テスト用のバーチャルステージを開いて検証。通常、照明ソフトは別のPCで走らせているカゾエさんだが、今回は1台のPCで展開。NVIDIA RTX A5000を搭載したHP Z2 Tower G9 Workstationの場合、パフォーマンスがほとんど落ちず、快適な作業ができたそう。VRAMも、 GeForce RTX 3080の10GBに対し、 RTX A5000が24GBと高い。そのため、「再生時に読み込めるオブジェクトやテクスチャの数も圧倒的に違います。大規模なオブジェクトを使ったステージを動かす際も有利です」という。

▲HP Z2 Tower G9 Workstation(NVIDIA RTX A5000)のリアルタイム GPU プロファイラのアベレージ。テスト用のワールドで検証。

 

▲カゾエさんの自作PC(GeForce RTX 3080)のリアルタイム GPU プロファイラのアベレージ。テスト用のワールドで検証。

 

テスト用のワールドで検証した、リアルタイム GPU プロファイラのアベレージをまとめた表。いくつかのレンダリングカテゴリに対して、1フレームあたりのリアルタイムのレンダリング時間を観測。数字が小さいほど処理負荷が掛かっていない。カゾエさんの自作PCはAMD Ryzen 9 5900、GeForce RTX 3080を搭載。

 

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高負荷な処理を行なっても気にならない高い静音性

また、ファンの音がとても静かなことにも驚きました。僕自身が組んでいるPCでもファンにはこだわっていて、Noctuaという静音性の高い空冷ファンを入れています。HP Z2 Tower G9 Workstationでは、重い処理の際にもファンの駆動が人間に優しいというか、静かなだけでなく耳なじみの良い音が、少しするという印象でした。

それに気化熱を利用したべーパーチャンバーを採用しているそうで、冷却性が非常に高く、また一般的な冷却の仕組みに必要とされるラジエターが不要なのでとても静かです。僕たちのような仕事は、作業をする部屋でレンダリングをしながらその場で睡眠をとるということもあるので、作業をマシンに任せて同じ部屋で静かに眠れちゃいます。


▲独自のアルゴリズムで、システムが加熱しそうな際にはそれを検知してファンが稼働するようになっている。

 

 

ツールレス筐体で自身のニーズに合わせたカスタマイズができる

それからリアルタイムレンダリングでは経験上、PCのハード側で問題が起きることもあります。例えば電源ユニットのヒューズが飛んだりして処理性能がうまく出ない場合、PCカバーを開けてパーツ単位で問題を確認することもあります。その時、自分でPCを組んで構成を把握していれば、どの部分に問題が起きているかをすぐに特定することができますよね。そこが自作のいちばん大きいメリットだと思っています。

HP Z2 Tower G9 Workstationは工具を使うことなくPC内にアクセスできるため、上記のような問題が起きた際はもちろん、メンテナンスや拡張性の面でもとても便利に設計されています。PC内へのアクセスがしやすいことは、僕たちのようなハード面にも目を凝らす必要があるユーザーにとって、とても喜ばしいことだと思います。


▲工具を使うことなく内部にアクセスできる。ユーザーのニーズに合わせ、手早くカスタマイズすることができるのも魅力のひとつだ。

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●VIDEO SALON2022年11月号より転載