※この記事はアイ・オー・データ機器のWEBサイトに掲載されている導入事例を転載したものです。
取材日:2023年12月4日

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ディーピーストックは、音楽やエンタメ領域のライブ撮影を専門とし、その分野では国内トップクラスの映像制作プロダクション。長年にわたり培った撮影・映像収録の技術で著名アーティストたちの活動を映像で支えてきた。そんな同社が課題に感じていたのが大容量化するデータへの対応や転送速度の改善。これを解決するために導入したのが、「PRO-BLADE STATION」「PRO-BLADE SSD Mag」「PRO-DOCK 4」。これらを導入したことで実際にどんな効果があったのか、代表の森 俊樹さんにお話を伺った。

 

目次

今回導入した製品

収録機材の4K化やアーティストの大規模ツアーを控えて環境を一新

森さんは、デスクトップワークステーション「PRO-BLADE STATION」を4台、モジュラーSSD「PRO-BLADE SSD Mag」(以下SSD Mag)4TBを16枚、さらにドッキングステーション「PRO-DOCK 4」を導入したそうですが、ライブ映像の撮影・編集の現場で、これらの製品をどのように使われているのでしょうか。

具体的に、どのような構成で使われるのですか。

 ライブ撮影の際は、PRO-BLADE STATION2台をつないだPCをライブ会場の控室へ設置します。ライブが終わったらCFexpressなどのメディアからドッキングステーションPRO-DOCK 4もしくは各種カードリーダーを介して、PRO-BLADE STATIONに装着したSSD Magにデータをコピーします。その後、人の手でSSD Magを会社まで持ち帰り、その日のうちには会社に設置したPRO-BLADE STATIONを通じてアーカイブ用のHDDなどにもデータを保存するようにしています。

ディーピーストックのライブ収録時のSanDisk Professional製品の運用イメージ。

ずいぶん急いで作業されるんですね。

 ライブ撮影はツアーになると連日公演を行うことになり、当然データ量も比例して増えていきます。そのため、速く、確実にデータを保存していく必要があります。バックアップが完了したらSSD Magはすぐに次の会場に届けて使い回すなど、工夫して効率的に運用しています。


以前の環境では、どんな問題があったのでしょうか。

 PCに直接カードリーダーを接続し、さまざまな規格の記録メディアからHDDやSSDにコピーしていました。さらにリスク対策としてLTOへのコピーもしていたので、とにかく時間がかかりました。トータルでライブ1回のデータコピーに20時間以上かかることもありました。10TBのデータを取り込むためにPC3台をフル稼働させ、一晩中バックアップの作業を続けるなんてことも珍しくはありませんでした。

転送速度の速さが生産性に直接関わってきそうですね。

 映像規格の進化に合わせて、常にその時代の最高レベルの作業環境を整えてきましたが、今回PRO-BLADE STATIONやSSD Mag、PRO-DOCK 4を導入したきっかけは、担当アーティストのツアーで4K収録が始まったことでした。もともとHDでもバックアップに時間がかかることが課題だったのに、4Kになってさらにデータ容量が増えるとあって、なんとかしなければと慌てました。そんな折に販売代理店の方から紹介してもらったのが一連の製品だったのです。

ライブ会場ではTunderbolt 3でデイジーチェーン接続したPRO-BLADE STATION2台とそれぞれに専用SSD・SSD Mag(4TB)を合計8つ使用して32TBのストレージとして使用。
SSD Magを取り出し、会社に持ち帰り、社内にもPRO-BLADE STATIONを接続したPCを用意し、HDDにバックアップ。





PRO-DOCK 4で複数のメディアから同時にコピーしても転送速度が変わらない時短テクニック

今回の導入で業務はどのように変わりましたか。効果はいかがでしょうか。

 まずはコピーにかかる時間が短縮されて、これまでよりも圧倒的に速くなって感動しました。実は今日この取材を引き受けたのも、その感動があったからなんです。

ドッキングステーションPRO-DOCK 4を使えば、複数の記録メディアからの同時コピーにも対応できますしね。

 以前は記録メディアを1つひとつ順番にカードリーダーで読み込んでコピーしていたので、PRO-DOCK 4を導入することで併行して作業できるだけでもシンプルに時短になりますよね。1枚ずつコピーしていたときは、コピーを終えたらメモリーカードを手で差し替える必要がありました。このため、たとえば1枚あたりコピーに2時間必要だとして、10枚あれば2時間ごとに計10回の差し替え作業が発生し、この間作業者はPCから離れることができなかったんですよ。

スピードアップのために、ほかにも工夫していることがあるそうですね。

 データコピーのさらなる高速化を図るために、レスパスビジョン社の「Rapid Copy」というアプリを使っています。複数コピーを同時に実行する場合、MacのFinderから行うとコピーの速度はどうしても落ちてしまいます。ファイルを2つ同時に処理すれば、速度は1/2、3つになれば1/3となってしまうのが普通です。ところが、このアプリの同時実行機能を使えば、PRO-BLADE STATIONで一斉に複数ジョブを走らせても速度が落ちることはありません。これが作業効率の劇的アップに貢献してくれましたね。

ポストプロダクションのレスパスビジョンが提供しているデータコピーソフト「Rapid Copy」を使うことで複数記録メディアから同時にデータ転送しても速度が落ちないのが大きなメリット。


ほかにはどんな使い方をされていますか。

 PRO-BLADE STATIONは、一時的に大容量のSSDが必要な時などに便利に使えます。4TBのSSD Mag4枚をフル搭載したPRO-BLADE STATIONをThunderbolt 3のデイジーチェーンで4台接続することで、合計64TBのSSDが作れます。例えば編集の際に、アーティストサイドから3公演分、計50TBのライブデータを「通し」で見たいという要望があっても、従来は容量が大きすぎて対応できませんでした。分割して1/3ずつなどとまとめていました。しかし、この仕組みを使えば数十台のカメラのデータを統合して一気に再生することも可能です。

「PRO-DOCK 4」はどのようにお使いなのでしょうか。

 データを取り込む際にドッキングステーションが1つあるとやっぱり便利ですよね。現場ではさまざまな規格のメモリーカードを使いますので、担当者によってはずいぶん重宝しているようです。

PRO-DOCK 4には4つのスロットに別売のカードリーダーPRO-READERを装着して、まとめてデータの取り込みができる。

ウエスタンデジタル SanDisk Professional PRO-READER

●単体でも使用でき、PRO-DOCK 4にも装着できるカードリーダー。SDカード、CFexpress、RED Mini Mag、CFastなど各種記録メディア用の製品をラインナップ。





SSDの高速転送を体感してしまったら、もう以前の時代には戻れません

ライブプロダクションの現場で、ストレージに求められることはどんなことでしょうか。

 基本的なことですが、まずはデータが消失しないことです。今回の導入で、もちろんトラブルは皆無です。さまざまな製品がある中で、アイ・オー・データという、国内に拠点を持つ企業が提供しているという点は、サポート面でも大きな安心につながります。(※)PRO-BLADE STATIONは保証期間が5年と長期なのも非常に心強いです。もちろん転送速度も重要です。これは業務効率化、時短に直結するポイントですよね。

※アイ・オー・データ機器はウエスタンデジタルの国内総代理店。

コストの面ではいかがですか。

 今回はPRO-BLADE STATIONに加えて、SSD Magもまとまった枚数で揃えたので、ストレージにかけるコストとしては安価とは言いがたいのですが、まとめて刷新したことで、それだけの大きな効果が確実に出ています。アーティストのツアーに合わせた撮影機材の4K化というタイミングで、この製品に出会えて本当によかったと思っています。実は当初、どう考えてもデータ量に機材側の性能が追いつかなければ、4K化をあきらめるという選択肢も考えていたので…。もう以前の時代には戻れません。これから8Kの時代も視野に入ってきましたが、本シリーズには引き続き期待しています