制作手順 ❶

ベースとなるキャラクター画像を生成する

使用ツール




ChatGPTに指示を出し、Midjourney用のプロンプトを生成する。「プロンプトは自分で書かず、ChatGPTにすべて書かせてとにかく数を打っていくことがポイントです」と高橋さん。



Midjourneyで生成した女性の画像。




生成された画像を確認しながらChatGPTと対話をし、プロンプトの精度を高めていく。




全身と顔のアップを分けて生成し、後ほど別々に3D化していく。




制作手順 ❷

生成画像から3Dモデルを作る

使用ツール




Charactor Creator 4からプラグイン「Headshot」を立ち上げ、先ほど生成した画像をドラッグ&ドロップする。




しばらく待つと、キャラクターモデルが生成される。納得のいくモデルができるまで制作手順❶に戻り、生成を繰り返す。




画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: t-23-1024x624.jpg
Facial Profile Editor機能を使い、鼻の位置など気になる部分のパラメータを変更し、顔の形を整えていく。




3DモデルをiAvatarという保存形式で書き出す。







制作手順 ❸

3Dモデルをモーションキャプチャーで動かす

使用ツール




iClone 8で書き出したモデルを読み込み、プラグイン「AccuFACE」を立ち上げる。




WEBカメラ経由で自身の顔をトラッキングする。その際の注意点として、AccuFACEの[Tracking FPS]の設定を必ず30FPS以上に設定しよう。24FPS以下の場合、トラッキング精度がかなり落ちてしまう。




[Motion LIVE]のタブの[Face]欄の右側を[AccuFACE]に変更し、左側のチェックを入れる。




下部にある[Preview]を選択すると、リアルタイムで顔の動きがモデルに反映されるようになる。







制作手順 ❹

表情のキャリブレーションをする

使用ツール




[AccuFACE]から[Calibrate Facial Capture]を選択することで、表情のキャリブレーションを行うことができる。




[Neutral Face]を選択し、ナチュラルな表情の状態で[Set Expression]を選択。




同様の手順で他の表情もセットすることで、より正確なトラッキングが行える。



顎の開き具合や笑顔の度合いなども調整が可能。動かす筋肉も細かく指定ができる。




[Record]を押し、[Space]キーで再生することでレコーディング開始となる。音源に合わせて口パクで歌うことで3Dモデルのリップシンプを作ることができる。FBXという保存形式で書き出す。




制作手順 ❺

全身のモデルを作る

使用ツール




Tripo AIを立ち上げ、画像アップロードアイコンをクリック。生成した画像をドラッグ&ドロップし、[生成]をクリックする。




image to 3Dサービスについて

Meshy AIKaedimLuma AI
Rodin (Hyper3D)Stable Point Aware 3DSloyd AI
他にも類似サービスが存在するため、無料期間がある場合は使用して比較・検討しよう。四角メッシュが使える「Rodin」もおすすめ。




しばらく待つと、全身の3Dモデルが生成される。




[ダウンロード]する(保存形式は何でもOK)。







制作手順 ❻

顔と体のモデルを統合する

使用ツール




Blenderを立ち上げて、iClone 8で作ったモデルを読み込む。その際、プラグイン「CC/iC Blender Tools」を使うことでリグ情報などが正確に読み込まれるため推奨。




CC/iC Blender Tools

CC3&4、iClone7&8のデータをBlenderにインポートしてセットアップするための アドオン。




読み込んだモデルの体部分や眼球など不要なマテリアルを削除し、顔だけの状態にする。




Tripo AIで作った全身のモデルを読み込む。体のサイズを顔のモデルに合わせる。




位置を調整し、顔部分のマテリアルを削除する。




ヘッドホンなどの小物を別途作成し、リップシンクさせた石像のキャラクターモデルが完成。ちなみに、首元の繋がりが不自然だったため、マフラーを巻くことで意図的に隠している。




Blenderでの光の変化による色の表現

「本作でもうひとつ自分の中で決めていたのが、ライティングですべての色を表現するということでした。本作に出てくるパーツは全て白い石なので、ライティングを変化させていくことで色味をつけています。最初は真っ白な電車の中から始まり、時間が経つにつれ水中のような青い風景になり、夕焼けになり、暗くなって、最終的にまた白い雪のような世界に戻ってくるといった流れになっています」と高橋さん。





制作手順 ❼

カラーグレーディング

使用ツール




最終的にDaVinci Resolveでカラーグレーディングを行なった。プラグイン「Dehancer Pro」を使うことでフィルムルックに仕上げている。




Dehancer Pro

デジタル映像や写真にアナログフィルムの質感を再現するための高機能なフィルムエミュレーションプラグイン。







AIを活用したモブキャラクター制作

モブやエキストラのキャラクターであればよりシンプルなフローで使えるものが作れる

本項では、モデリングをせずにモブやエキストラのキャラクターをAIで作る方法を応用事例として解説します。先ほど紹介したキャラクター制作は複雑なフローでしたが、顔の表情などを作らなくていいモブキャラクターであればもっとシンプルな作り方があります。もちろん、カメラが寄っていくようなシーンで使用するには厳しい部分がありますが、引きの画や建物に住んでいる人々のようにパッと人物を置きたいような状況のときには充分に使えるんじゃないかなと思いますね。



制作手順 ❶

キャラクター画像生成

使用ツール




ChatGPT、Midjourneyを使って元となるキャラクターデザインの画像を生成する。




制作手順 ❷

生成画像から3Dモデルを作る

使用ツール

Rodin (Hyper3D)

テキストや画像から3Dモデルを生成できるAIツール。



Rodinを立ち上げ、先ほど生成した画像をドラッグ&ドロップし、[生成]をクリックする。




[モデル確認]にカーソルを合わせ、[四辺形メッシュ]を選択。[モデル確認]をクリックする。




[マテリアル生成]にカーソルを合わせ、[PBRディテール][参照強度]の値を好みに調整。[テクスチャ生成]をクリックする。




しばらく待つと、キャラクターモデルが生成されるので、[ダウンロード]をクリックし保存する。




制作手順 ❸

3Dモデルに自動リグ付け+動作適用

使用ツール

Mixamo(アドビ)

3Dキャラクターにアニメーションを簡単に付けられる。



Mixamoを立ち上げ、[UPLOAD CHARACTER]を選択。先ほど生成した3Dモデルをドラッグ&ドロップする。




アップロードされたモデルに対して、顎や手首、足首など指定された箇所にリグ用の円アイコンを配置し、[NEXT]を選択する。しばらく待つと、リグの入ったモデルが生成される。




左のモーション一覧から適用したいモーションを選択。[DOWNLOAD]をクリックする。




[Frames per Second]からFPS値を指定する(ここでは24FPSを選択)。[DOWNLOAD]をクリックし、保存する。







Blenderでリグをつけ簡易的に動かす方法

制作手順❸はBlenderで簡易的に制作することもできる。立ちポーズや座りポーズなど、シンプルなポーズをリギングするパターンを紹介。




生成したモデルを読み込み、ざっくりとボーンを入れていく。





アーマチュアとモデルを選択した状態で[control+P]キーを押し、[ペアレント対象]>[自動のウェイトで]を選択。自動でリグが入り、モデルを動かすことができる状態に。「大きな動きでなければこの方法でも簡単にリグを組むことができます」と高橋さん。





任意のボーン(作例では腰)を選択し、[トランスフォーム]の[回転]欄にカーソルを合わせ、[I]キーで1フレーム目にキーフレームを打つ。





グラフエディター内の[モディファイアーを追加]のプルダウンから[ノイズ]を選択。[スケール]や[強さ]の値を変更し、任意の位置にキーフレームを打つことで簡易的な揺れの動きをつけることができる。



解説動画を見る




AIを制作に活用して感じたこと

モデリングをする行為自体を重視したいなら無理してAIを使う必要はまったくない

これは実際にAIを使ってみて感じたことなんですが、自分のスタイルを守るということを大事にしたほうがいいんじゃないかなと思いました。AIを使い始めると「自分のスタイルが失われていくんじゃないか?」「この作品は自分が作っていると本当に言えるのか?」といった疑問がどうしても湧いてきてしまうんですよね。ただ、それによって「自分は何を選んでいるのか」を強く意識するようになったので、スタイルがより明確になったとも感じています。つまり、自身の意図を反映させることを意識しながらプロンプトを設計していくことで、AIで手数を増やしながら自分の世界観を絞り込んでいくことができるのではないかと考えています。

ただ、自分で作るプロセスが楽しいという場合も必ずあるので、モデリングをする行為自体を重視したいのであれば無理してAIを使う必要はまったくありません。AIで作ること自体がつまらないと感じるのであれば、別のやり方をやればいいわけです。「今すぐこの部分だけをやらなければならない」「そこまで時間をかけられない」など、その状況によって使い分ければいいし、だからこそ出力に振り回されないようにしたいですね。AIは短時間で高クオリティのものを出力できますが、それに合わせて自分がやりたいことを変えていってしまうと他の人と同じようなものしか作れなくなってしまいます。なので、冒頭でお伝えしたようにAIを補助ツールとして駆使することが制作において重要なことなんじゃないかと思いますね。