NORI’s Case 1
地上波ミニ番組とInstagramリール、WEBサイトが連動した『Oasis』という取り組み
地上波ミニ番組
九州朝日放送(KBC)月曜日夜の約90秒のミニ番組。動画は福岡・九州ジモタイムズ『Wish』のYouTubeチャンネルでも見られる。テレビ版は16:9 でシネスコの時期もあった。ひとり旅とふたり旅のパターンがあり、ふたり旅ではGoProやOsmo Pocketを使ってラフな雰囲気も取り入れ、一眼のリッチな映像を交えつつという展開。
Instagramリール(リッチ)
こちらは左の番組映像の切り出しではなく、同時進行で別の一眼カメラを縦に使ってリッチな縦のリールを作る。
Instagramリール(スマホ)
SNSでしっかり数字を伸ばすために、同時進行でiPhoneでもコンテンツを作って発信する。船上にスタッフが乗って撮影。
WEBサイト
福岡・九州ジモタイムズ『Wish』のWEBサイト。ここに連動した写真とテキストの記事もアップする。


ミニ番組とInstagramリールを同時に作る
N 僕は福岡で『Oasis』という女子旅メディアの制作をしているので、そちらを紹介します。3年前ぐらいに九州朝日放送(KBC)さんとご縁があって、毎週月曜日の9時50分から約90秒の枠で、20、30代の女性をターゲットにしたミニ番組をやりたいので、若い感性で自由に表現してほしいと依頼がありました。『TripClip』という番組名で女性ふたりがGoPro を持って回るスタイルで作っていたんですが、九州の福岡・佐賀で年間100カ所くらいを巡り1回につき2 時間くらい撮影するのに結局90 秒のコンテンツにしかならないのがもったいなくて、そこでSNSも
やりませんかと提案しました。そこから『Oasis』に番組名をリブランディングして、テレビのミニ番組、Instagramリール、写真からWEB を一度の取材で作って発信するようになりました。
U 自分も福島でこういうYouTubeチャンネルを作ろうとしたときに気になったのは、こういうのを作る時に、訪れる女性ふたりが主役なのか、そこで働いている人が主役なのか? NORIくんの映像のイメージだとそこで働く人がメインというのが多いんだけど、これはわりと女性が主役でその場所に癒しにいくというのが一番でしょ? 結構企画するときにどっちにしようかと悩むところですよね。でもOasisの世界観はきちんと統一されている。
N 取材先によって変わるのと、あとは圧倒的に現場判断。不確定要素だらけだから。こういうのをやりたくて福岡に戻ったみたいなところがあります。
Ussiy’s Case 2
YouTuberであるUssiyと老舗旅館のコラボとして観光動画を自分たちも入れ込んで作る
Ussiy × KOYO 「旅が変わる。宿も変わる。新しい山形が今はじまる。」
古窯という老舗旅館とのタイアップ。東京から美術チームを呼び、旅館の中にスタジオセットを作った。ここの旅館は14の部屋があったので、これが15個目の扉で、15個目の扉を抜けると新しい山形が始まるという設定。


自分の名前を出してタイアップして作品を作る
U 『旅が変わる。宿も変わる。新しい山形が今はじまる。』は山形にある古窯という老舗旅館を運営している企業とタイアップして山形の観光映像を作りましょうということでできた映像です(P.80)。古窯さんの広報から創立70周年記念ムービーを作ってほしいという依頼があったんですが、僕とのタイアップで名前も出してくれるならやりたいとこちらから提案して。山形の観光映像を古窯が作ることで山形全体を盛り上げられればいいし、観光に来た人の選択肢として古窯があればいい。自分たちをブランディンするだけじゃなくて、エリアブランディングもすれば活性化するよねと。その提案に乗ってくださって旅館の映像を超えたものができました。
作り方としては友人のクリエイター7、8人を連れて1週間くらい山形を旅して撮影しました。
こういうのは自分がYouTubeで力を持っていないとできないこと。自分の名前を打ち出して、自分のYouTubeでも発信するから先方にも利益があります。こういうタイアップをするにはSNSの数字を守っていくのも大事だなと思っています。
NORI’s Case 2
防災や建設、工場など日本を支える現場を映像でドラマチックに見せる「カゲムシャ」
最初にNORIさんが注目を集めたのが建設現場のプロモーションムービー。迫力あるカッコいい映像は仕事を始めるきっかけになった。2024年には、東京湾を舞台に、世界最高峰と称される東京消防庁の舟艇部隊・水難救助隊のブランドムービーを企画・制作。陰影のあるルック、迫力のあるカメラワーク、リズム感ある編集といった特徴を生かして、製造業などの現場のプロモーションムービーを作るサービス「カゲムシャ」を事業化する。



「現場」はリアルな美術セット
N KAGEとしては幅広い業界のジャンルの映像制作をやってきたんですけど、事業プロジェクトとして、建設業、製造業含め、あまりスポットが当たらない領域にフォーカスした映像を社会に発信していこうとしています。こういった現場ってすべてが美術セットのようなもの。ただ当事者の方々にとっては当たり前の日常だから、すごいとも思ってないし、見られることもない。僕のわがままとして、そういう現場とそこの人達をもっとカッコよく切り取って見せていきたいというのが最初の動機です。
あとはこの業界が明確にリクルートに困っているということ。どの業界もそうですけど、特に人がいれば仕事はたくさんあるところなので、会社のビジネスとしても、こちらの業界に振り切っていき、「現場の映像=KAGE」というところまで持っていきたい。大手以外は動画広告を作る概念はないんですが、まずはリクルートの課題解決として動画を作っていこうと。それが採用に繋がったり、社員のやる気アップに繋がればいいなと思っています。
Ussiy’s Case 3
新型John Cooper Worksイベントの合間の短い時間でビデオグラファースタイルで撮影した30秒CM
MINI JAPANの仕事で、新型John Cooper WorksのRacing Nightイベントの1分のアフタームービー、さらにその場でCM『F66 シティモンスター 30秒』『J01 エレクトリックモンスター 15秒』の合計3本を制作。こちらもチームを組んで、最終的にはビデオグラファースタイルで撮影した。






ビデオグラファースタイルだから撮れた
U MINI JAPANの新型John Cooper Works広告映像です。昔の自分だったら自分のYouTubeに繋がらないものはやりたくなかったのですが、映像業界の上の人たちが作っている現場を知りたくなって、現場に入らせてもらうようになりました。これは自分が監督としてやらせてもらったので、好きなメンバーを集めて、メイキングまで撮らせてもらいました。企画型というよりもビデオグラファースタイル寄りの広告だと思うんですけど、イベントのアフタームービーも作りつつ、そこでMINIの電気バージョンとガゾリンバージョンのCM、合計3種類作るという。ザ・広告的な映像も少しずつできるようになってきました。
これもしっかりビデオコンテを作りました。実は撮影時間がイベントの後に1時間半しかなくて、しかも大雨が降って。そういう状況だから、僕らじゃないとできなかったなと思います。決められた構成じゃなくて、その中で撮れるカッコいいアングルをAFを使ってガンガン撮っていってできあがっています。これは自分で編集、カラコレまでやって、あとはプロの方々に見ていただいて仕上がって、いい学びになりました。
コンテというのは当日の自分たちがどういう風に撮ったらいいか示すものでもあるけど、どちらかというと「こういうものを作ります」とクライアント、代理店に安心感を与えるものだと思うんです。
大手代理店が入ったりすると、そこを安心させるための技術も必要ですけど、自分だけでは足りないので、プロデューサーの方にいろいろと資料などを相談しながらやりました。映像を作る以外の仕事も大事なんだということがよく分かりました。
N すごく分かります。納得させるための資料ね。
U FLAGとして仕事をしたいなということになってから、そこは大事にしています。というのは、相手の企業の広告となると、手順を踏まないといけないし、その手順を自分ができないと、後輩を育てるときにそれを教えられないから。だから最近は企画書を作るのが趣味(笑)。
N それでSNSは後回しと(笑)。
NORI’s Case 3
甲冑の魅力に取り憑かれ映像を利用しながら世界に向けて情報発信したい
鹿児島の甲冑メーカーを知り、その魅力に取り憑かれたNORIさんは、自分で甲冑を買って、どう撮ったらさらに魅力が伝わるのかを研究。自費でスタジオを借りて、モデルを用意して、実験を繰り返した。動画をはじめ、デジタルでどう見せていけば世界の人にアピールできるかの知見を得て、事業展開していきたいと考えている。







甲冑・侍を世界に向けて情報発信する
N 自分の出発点として、世界基準で何かプロジェクトとか表現活動をやっていきたいということがありました。23歳くらいのときに鹿児島にある甲冑屋に行くことになって、300〜400万円するような甲冑が50〜60領ずらっと並んでいるのに感動しまして、これだ! と思ったんです。世界中の人がサムライを知ってるし。
ところがWEBサイトを見るとメルカリみたいな商品ページでまったく魅力が伝わっていない。ご一緒したいと思ったのですが、どうやって繋がろうかと思って、1年後に甲冑を実際に買って、阿蘇に持っていって大自然のなかで作品撮りをしたり、東京に持ってきて、いろんな形で自分たちならこういう風に表現ができるというサンプルを作りました。要するにデジタルで見せるってことができてなかったので、デジタルで見せることをやっている僕たちならこういう風に見せられますというものを作ったんです。2年前にご縁があって社長さんと繋がれて、一緒にやりたいと申し出ました。
まず50〜60領あるこの甲冑を費用をいただかずにリニューアル撮影をしました。東京の大きめのスタジオを借りて、モデルを7、8人キャスティングしてビジュアル撮影をしました。これはこう見せたらカッコいいのか悪いのかを探るためです。まだ世には出していないのですが、このように実験を兼ねた取り組みを着々とやっています。やっていくうちに、自分の中で伝統を守るべきところと、何か創意工夫してアート的に見せるところが、いろいろと分かってきました。例えば刀は半端に扱うとすごくダサく見えてしまうとか。
今後は、侍のビジュアルを使って発信していくことを会社の事業としてやっていきます。映像制作会社がやる取り組みとしては珍しいと思います。
地方と東京の二拠点について
N 僕たちの共通点として、東京と地方の二拠点で活動しているということがあると思うんですけど、改めて話を聞いてみたいなあと。
U 福島を出たのは2020年。福島だとライバルがいないし、同じような動きをしている人がいなかったから。東京に行くと自分と同じような志を持つ人がいるなと思って触発されました。一緒に活動することで現場で学べます。YouTubeをやっていたおかげで、いろんな人脈ができて、ちょっとずつ自分がレベルアップしていく感覚があり、それが福島にいるだけだと、多分なくなる気がしています。たとえば福島で撮影があったときに、東京の技術ややり方を福島に持って帰れるのが僕の強みだなと思っていて。そうやって福島の映像、ブランディングみたいなところを上げていく役割ができると思って、今は二拠点で活動しています。
FALGという会社は2020年からあるのですが、発表したのは2024年です。YouTubeだけやっていたほうが気楽ですが、いろいろな人と仕事をするにつれて、後輩を育てたいと思うようになりました。自分もプロデューサーのおかげでいい仕事につけるようになったから、自分もそれを真似して後輩の実績になる仕事を作って、後輩も映像を作れるようになったら最終的にFLAGとしていい映像を作れるようになるわけですから。ただ後輩がオリジナルティを出すには、僕が教えるだけでなく、いろいろな人と出会う経験も必要だとは思っています。
正直、僕はアーティスト性みたいなのはYouTube以外では消してるほうで、その企業のプロモーションをより良くすることに集中しています。今はYouTubeでの発信が減っているのですが、YouTubeをやめたわけではなくて、どちらもやりたいと思っています。
N 僕は東京での仕事が増えていくなかで、業界に足を踏み入れてみて、良くも悪くも映像の仕事というのは確立されていることを知りました。知るということは同時に何かできなくなることもあるという感覚が当時はすごくあって、例えばピントを正確に当てる技術を知ってしまうと、AFでピントが迷っているみたいなものは使えなくなりそうだなとか。見過ぎないほうがいいかもと思いました。
あと、ゲームとして確立していて、そこは第一人者がたくさんいて大きい広告や映画、ドラマを手がけています。すでにそういうすごい人たちがいるから、自分は違うゲームを作っていきたいと漠然と思いました。
今はもう少し言語化できていて、それがさっき言った「現場」の映像を、俳優ではなく、リアルキャストでやりたいということなんです。現場の人を撮るのは、企画して作り込んでいくのとはまったく違うゲームで、瞬発力が必要なんです。その人が現場でどういうモチベーションでいるかも分からない、どんな現場かも分からない、天候も分からない不確定要素だらけの中で、瞬発的に意思決定して、ミニマムな体制で切り取って表現していくゲームというのは、まだ確立されていなくて、そこでの戦い方をしていこうというのが、KAGEのひとつの方向性です。そのために東京でしっかり勉強して、刺激をもらいながら、それを別の世界線で発揮していくということをやっていくために、二拠点でやっています。
最近、自分の中でそれは整理がついて、自分はその不確定要素が楽しかったんだなと。再現性もない不確定だからこそ切り取ってデジタルで保存して再現する意味がある、というのが自分のルーツだと思っています。逆に大きな広告の現場は不確定要素をいかに企画で排除していくかということで、そもそもまったく違うゲームなんです。だからビデオグラファースタイルで、まだ誰も戦っていないフィールドでやっていきたいですね。
