生成AIには「Text to Image(T2I)」「Image to Video(I2V)」「Text to Video(T2V)」など様々な手法がある。さらにAIツールごとに得手不得手やコツがある。本稿では、歴史上の人物の写真や絵画を素材に、生成AIでシネマティックな作品を創り出すNOSTALGIC AIさんが実践するフィルムルックの作り方を解説してもらおう。

講師 NOSTALGIC AI Cinematic AI Creator

2024年よりAI映像クリエイティブとして本格的に活動を開始。「Cinema × Art × Storytelling」というコンセプトの下、歴史上の人物の写真や肖像画などを素材として、さまざまなAIテクノロジーを駆使しながら映画的な情感と郷愁あふれる映像やビジュアル作品を創り出す。1年でフォロワー6.1万人を達成し、オーガニック流入のみで急速に成長を遂げ、独自のクオリティと映像表現で国内外から注目を集めている。



❖ 『A Day in the Life of Empress Elisabeth (Sisi)』








テクノロジーを通じて、“映像の可能性”を拡張する

はじめまして。NOSTALGIC AIと申します。私は現在、WEBデザインやプログラミングを本業としています。この業界は変化が速く、AIや機械学習といったテクノロジーは以前から身近な存在でした。2023年に初めてChatGPTに触れたとき、「これはゲームチェンジャーになる」と強く感じました。WEB制作の多くの工程はAIによって極限まで効率化され、従来のやり方のままでは立ち行かなくなるだろうと直感したのです。そこから”AIを使って何かを作る側に回る必要がある”と思い、さまざまなAIツールを学び、試していきました。

その過程で、数年以内に個人レベルで映画やドラマを作れる時代が来るという感覚を抱くようになりました。

実は、WEB業界に入る前は映像業界にいました。撮影や編集の現場にいた経験があり、映像表現にはずっと関心がありました。だからこそ、AIと映像の組み合わせが持つ可能性に自然と惹かれ、「これからはAI映像で勝負していこう」と決めました。

現在は、Cinematic AI Creatorという肩書きで「Cinema × Art × Storytelling」というコンセプトの下、オリジナルのショートフィルムを制作しています。映画的構成、映像美、アートとしての独自性、物語性を軸に、新しい映像表現の可能性を探求しています。歴史上の人物を現代的な視点で再構築する作品から、独自の世界観を持つアートフィルムまで、幅広いテーマに挑戦しています。代表的な3作品をここに紹介します。

テクノロジーを通じて”映像の可能性”を拡張することをテーマに、これまでの技術では実現できなかった表現や、個人クリエイターだからこそ追求できる自由な映像世界の創造に取り組んでいます。AIは単なる効率化のツールではなく、新たな芸術表現を切り拓くパートナーだと考えています。



『A Day in the Life of Empress Elisabeth』

冒頭に載せた縦構図のショートフィルムの横構図バージョンです。「Sisi(シシィ)」という愛称で今でも人気の高い19世紀のオーストリア皇妃エリザベート・アマリエ・オイゲニーエの1日を映像化。史料を基に、美貌維持への強い執着や乗馬・旅行をこよなく愛したというエピソードを織り交ぜていきました。





『Secret Soirée ─ 秘密の夜会』

美術館の作品たちがもし夜に動き出したなら…閉館したルーブル美術館を舞台に、レオナルド・ダ・ビンチ『モナ・リザ』が額縁から抜け出し館内を散策し始める。ジュゼッペ・アルチンボルド『四季』や『サモトラケのニケ』といった代表的な作品たちが動き出して「秘密の夜会」をくり広げるという、ひと晩の物語をショートフィルム化しました。





『Picasso │ Live Action Paint』

真っ白な虚空を舞台に、1907年に描かれたピカソの自画像を、空中に描き出す姿を描きました。タイトルは、ライブペイント(アートパフォーマンス)とライブアクション(実体化)を掛け合わせたものです。筆致が空中に浮かび上がり、やがて命を帯びていく。絵画がキャンバスを超え、目の前で生きた存在へと変わる瞬間をユニークに映し出しています。