ビデオサロン6月号特集として「マニュアル撮影のススメ」をおおくりしましたが、今回解説をお願いした菅原安氏の作例を見て、やっぱりビデオ映像はオートばかりで撮るのはもったいないと心底痛感しました。
そこで、ここウェブ上でも「さらにオススメ」ダメ押し記事として、本誌の追加説明や、またご紹介しきれなかったものも含めて、いくつかお見せしたいと思います。
◎まずは、マニュアル撮影には欠かせない、と菅原さんが推しているのがカラーバー。
もちろんカラーバーなしでもマニュアルで撮れますが、自分のカメラの液晶モニターの見え方を知っておかないと、現地で露出を手動調整するのはちょっと怖いというのです。そこでカラーバーを利用して、キャリブレーションを図ろう、というわけです。
あくまでも現場での液晶確認の目安なので厳密なものではありませんが、各メーカーごとに用意しましたので、この静止画データをマイカメラのメモリーカードに1枚入れておくと便利でしょう。
(ただし、すべてのビデオカメラで利用できるとは限らないことをご了承願います)
(方法)
1) 下の中から自分のカメラのメーカーをクリックして開く → PCにデータを取り込む。
2) 自分のカメラにメモリーカードを入れ、スチル画を撮影。
3) メモリーカードをPCで読み、2で出来たフォルダの中にカラーバーのデータを入れる。
4) メモリーカードを再びカメラに戻す。あるいは撮影時に携行する。
5) 必要に応じてカラーバーを呼び出して、液晶モニターの確認に使う。
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◎マニュアル撮影は、やったもの勝ち!
記事にもあったように、今のビデオカメラはオートでもまずまず綺麗に撮れるけれど、画をもっと良くしたい、とか、こういう表現にしたい、と思うなら、マニュアル操作でその意図をカメラに伝えたいものです。
下は誌面にも掲載したワンショット。毛繕いする2頭のサルを印象的に捉えたシーン。
F2.8 1/2000秒 (キヤノンHF S21)
ところが、このシーンをオートで撮ったとしたら、こうなる。
F4 1/60秒 (キヤノンHF S21)
わかるでしょうか。このシーンは背景に水が流れていたのですが、上の画は1/2000秒の高速シャッターにすることで、水の飛沫のキラメキを出しています。静止画でも両者の違いは分かりますが、動画になった時のことを想像してみてください。
この背景のキラメキがあるのとないのでは、画の力がまるで違うのではないでしょうか。
◎明るさ補正だけでもオススメ
このように絞りやシャッタースピードを操って、思いのままにショットを作り込む楽しさがマニュアル撮影の醍醐味ですが、もっとシンプルに、明るさを少し調整するだけでも画は違ってきます。
上の3つの画はビクターHM1で撮影したもので、一番上から明るさ補正を +1、±0、-2 としたもの。
すこしいじるだけで、画の印象や、場合によっては撮影した時間までもが変わってくるように思えないでしょうか。
◎オート機能は優秀だが、万能ではない。
なぜなら、その画の決定権はカメラではなく撮影者が握っている(握るべき)ものだからです。それを意識して撮るか撮らないかで、結果が違ってくるのは明白。見る人に伝えられる内容も違ってきます。
同時に、筆者の菅原さんが言いたいことは、もっと根本的なところにありました。
「楽しいからやる」 「やるのが当たり前だからやる」
つまり、いたずらに操作することが楽しいという意味ではなく、自分の意思を画に反映させていく、言うなれば切り取ったフレームに命を吹き込んでいく作業が「撮影」だ、ということでしょう。
ちなみに、マニュアル撮影を語る時の菅原さんは本当に熱く、楽しそうでした。
そんな菅原さんが16ページにわたり渾身こめて解説する6月号特集「マニュアル撮影を始めよう」、ぜひじっくり読んでみてください。