ソニー α7CRは、α7Cシリーズの第2世代モデル。高解像R(Resolution)シリーズを受け継ぐ新たなコンパクトフルサイズ一眼カメラだ。動画性能では、4:2:2 10bitで4K60pの動画記録に対応したことが注目ポイントのひとつ。今回は、映像クリエイターとして活躍する白木修太さんに、実際に現場で使用してもらった。
レポート●白木修太
白木修太Profile
愛知県豊川市生まれ。名古屋ビジュアルアーツ卒業。映像制作・タレントマネジメントを行う、株式会社CrazyBank 取締役。監督したMVは200本以上、総再生回数は1億回を超える。
WEB:https://crazybank.co.jp/
はじめまして。MVディレクターをしております、株式会社CrazyBankの白木です。今回、10月13日に発売となったソニー α7CRを早速、現場で使用しましたのでレポートします。
α7シリーズは長らく愛用しており、進化の過程を見てきました。最近ではα7Ⅳ、そしてFX3をよく使用しております。ただ、α7cシリーズは家電量販店で軽く触ったくらいで、あまり知りませんでした。正直、おもちゃみたいなカメラだなぁという印象で、スペックに魅力も感じることがなく、完全にスルーしていました。
α7CR
『α7CR』は、高解像R(Resolution)シリーズを受け継ぐ新たなコンパクトフルサイズ一眼カメラ。有効約6100万画素のフルサイズイメージセンサーによる高い解像性能や豊かな階調性能を小型・軽量ボディ(『α7C II』と同一サイズ・質量約515g)に凝縮。
α7CRの進化
では今回、なぜ興味を持ったかというと、4:2:2 10bitに対応したからです。今の時代、4:2:2 10bitは珍しくはありませんが、α7Cはα7シリーズの中でもライトユーザー向けのラインという印象でしたので、なかなか実装は難しいと思っていました。
時代が進み、技術的には搭載が容易になったかもしれませんが、a7Cもついに実現するのか…と、もともと軽いカメラこそ正義だという考えの私からしたら、勢力図がひっくり返るくらいの衝撃でした。
a7CRをMVの撮影で使用
今回レビューにあたり、irienchyというバンドのMV撮影にて使用しました。
▼α7CRで撮影したMV(一部iPhone 15 Pro Maxも使用)
ジンバルはRonin-RS3を使い、下記のレンズを組み合わせました。
・Carl Zeiss Batis 18mm F2.8
・Carl Zeiss Batis 25mm F2
・Carl Zeiss Batis 40mm F2
本体重量は、私がMVなどでよく使用するFX3と比べて、200gほど軽いです。200gがどのくらいかというと、大きめのじゃがいも一個分ほど。たかが200gとはいえ、ジンバルに載せた感覚、または手持ちでの撮影時、FX3と比べるとだいぶ軽いなという印象でした。
そして記録方式は、XAVC HS 4K 23.98p 100Mbpsです。FX3と比べると、ビットレートは低いのですが、PCの負荷が少ない点がむしろ有利にもはたらく場合があります。アウトプット先がYouTubeということを考えると、全体の動画サイズが小さい点で編集をスムーズに進行することができます。ビットレートの低さは、YouTube上ではさほど気にすることではないと思いました。
FX3との違いではないのですが、log撮影機能が搭載されたことは嬉しいです。HDMI時にLUT表示ができるので便利でした。これは同じ高解像度シリーズのα7Ⅳではできないので。
▼こちらのMVもα7CRで撮影
ほぼひとりで撮影をこなすことができたのも、α7CRが軽量・コンパクトだったことも大きい。
現場での使用感
「とにかく軽い!」
これに尽きます。シネマカメラのREDやソニー XDCAM PXW-FS7に比べたら、FX3も充分軽いですよ。ですが、丸一日Roninでオペレートしているとさすがに疲れます。α7CRが200g軽量のため、本体レンズ合わせても1kg以下という奇跡のような軽さです。重めのズームレンズも乗せれるので、レンズの選択肢も増えますね。
a7CRを、実際に現場で使用するのは、個人的にはありです。これまでビットレート以外に気になる点がなかったので、そこがアップグレードされたことが大きな魅力でした。私自身、カメラの重量は軽いほうが扱いやすいと思うタイプなので、同じような考えを持っている方、そしてFX3、α7Ⅳユーザーは、導入を考えてみても良いのではないでしょうか。
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