画にこだわるビデオグラファーの間では鉄板とも言えるシネマカメラ・ブラックマジックデザインBlackmagic Pocket Cinema Camera(以下BMPCC<通称ポケシネ>)シリーズ。BRAWの収録が可能でカラーグレーディングを施した際にも破綻が起こりづらく自由な色を作れるのが人気。このBMPCCシリーズではSDカードやCFastカードの他、汎用のポータブルSSDに直接録画することができる。今回は撮影にポータブルSSDを利用する利点についてビデオグラファー・YouTuberとして活躍するだいげんさんに解説してもらった。

写真・文◎だいげん

FHDから4K、4Kから8Kへと解像度も上がり、映像のルックにこだわる場合にはRAW収録が欠かせないものになりました。年々録画のデータ容量は大きくなり、それに伴い記録媒体も進化してきました。安定してデータを記録したり、素早く大量のデータを読み込み・書き込みできるSSDの存在は、いまや映像制作に欠かせないものになってきたと言えるでしょう。

SSDの特長とは?

すでにSSDを導入している人には言わずもがなですが、SSDはHDDに比べて読み込み・書き込み速度が非常に高速です。そのため、BRAWなどのデータ容量が大きな動画を記録したり、編集時の読み込み・書き込みがスムーズにできるので作業の効率が大幅に向上します。また、HDDと比較して落下や振動などの衝撃に強いため、ロケ先への持ち出しなど移動時のデータ保護にも役立ちます。

BMPCC 4KにはSSPA-USC、BMPCC 6KにはPRO-BLADE TRANSPORTを組み合わせてみた

今回紹介するのはブラックマジックデザインのBMPCC 4K/6Kと相性の良い、アイ・オー・データ機器のポータブルSSD・SSPA-USCと、SSDモジュールPRO-BLADE SSD Magを交換して記録できるウエスタンデジタル SanDisk ProfessionalのPRO-BLADE TRANSPORT。

BMPCC 4K+アイ・オー・データ機器SSPA-USC

マイクロフォーサーズ規格のBMPCC 4Kはコンパクトに運用したいので、今回はシンプルにSmallRigのSSDホルダー2343にSSPA-USCを取り付けてセッティングしてみました。

SSPA-USCは本体重量22g(10円玉5枚と同じ重さ)ととても軽量なので、機動力を生かしたいBMPCC 4Kとの組み合わせに向いています。この組み合わせであれば、手持ちで撮影してもそれほど負担になりません。SSPA-USCは500GB、1TB、2TBの容量をラインナップしています。

私自身もワンオペで撮影することが多いのですが、運べる機材量や撮影時間に限りがあったりするので取り回しがしやすく、それでも安定して撮影を続けることができるということをとても重要視しています。

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BMPCC 6K+SanDisk Professional PRO-BLADE SSD Mag+PRO-BLADE TRANSPORT

BMPCC 6KにはSmallRigのケージ2203Bを取り付け、ケージのホットシュー部分に同じくSmallRigのスマートフォンホルダー3559にPRO-BLADE TRANSPORTを取り付けています(上のSSDホルダーでは幅が広くて入らなかったためです)。

SanDisk Professional PRO-BLADE SSD MagとSanDisk Professional PRO-BLADE TRANSPORTはじっくり撮影をしたい時に使いたい組み合わせです。SSPA-USCと比べて重さも大きさもありますが、PRO-BLADE SSD Magを交換することができるので、PRO-BLADE TRANSPORTを2つ用意すれば、撮影したデータを確認中に別のPRO-BLADE SSD Magで撮影を続けることもできます。撮影と編集を同時に進めるようなシチュエーションでは交換可能なモジュラータイプのSSDが活躍します。また、ヒートシンクを備えたアルミ筐体、優れた耐衝撃性も備えているため、ドキュメンタリーやライブ撮影など長時間の録画が必要になるシチュエーションでは重宝しそうです。容量も1TB、2TB、4TBから選べるので用途に合ったものを揃えられるのも嬉しいですよね。

PRO-BLADE SSD Magは単体では使用できず、PRO-BLADE TRANSPORTと組み合わせて使用します。

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撮影時にSSDを使うメリット

BMPCCに対応している記録メディアはSDカード、CFastカード、外付けドライブ(SSD)と3種類あります。容量、データ書き込み速度、1GBあたりの価格を考えるとポータブルSSDが最もコスパのいい記録メディアと言えます。

容量 速度 1GBあたりの単価
SDカードSanDisk Extreme Pro 最大256GB 読み込み/書き込み300MB/秒/ 260MB/秒 250円程度
CFastカードSanDisk Extreme Pro 最大512GB 読み込み/書き込み525MB/秒/450MB/秒 185円程度
SSDアイ・オー・データ機器SSPA-USC2K 最大2TB 読み込み/書き込み1,000MB/秒 20円程度(2TBモデル)
SSDSanDisk Professional PRO-BLADE TRANSPORT+SanDisk Professional PRO-BLADE SSD Mag 最大4TB 読み込み/書き込み2,000MB/秒 22円程度(4TBモデル)

さらにSSDに直接録画した最大のメリットは撮影データをパソコンなどに移してバックアップを取る時間を省略して編集作業に移行できるところです。

良い画が撮影できたら熱が冷めないうちに編集作業に移りたいですよね!

BMPCCで撮影したBRAWはデータ量が大きいので、SDカードやCFastカードからSSDなどのストレージにコピーする時間がそれなりにかかりますが、その時間を短縮できるのはうれしい限りです。

編集時の読み込み・書き込み速度を計測

さて、次に編集用のPCと接続したときのアイ・オー・データ機器SSPA-USCおよびSanDisk Professional PRO-BLADE SSD Mag+SanDisk Professional PRO-BLADE TRANSPORTの読み込み・書き込み速度を計測してみます。

ポータブルSSDを編集用PCに挿して、そのまま編集するという人も増えています。SSDは読み込み速度が速いので動画編集時に動画を再生してもカクつくことなく、サクサク編集できるのも利点です。時折HDDに入っている素材を編集することもあるのですが、再生時に動画がカクついてしまうこともあります。そんな時は効率を重視して、一度HDDからSSDにデータを移行して作業するようにしています。

速度の計測はBlackmagic Disk Speed TestパソコンはMacBook Pro M1 MAXを使用しました。

アイ・オー・データ機器SSPA-USCのスピードテスト

上のデータをみると、書き込み 898.6MB/秒、読み込み 772.0MB/秒という結果でした。編集時には読み込み速度が重要になりますが、各記録フォーマットのチェックリストを見ても4K/60pのBRAWが問題なく動作する速度になっています。

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SanDisk Professional PRO-BLADE SSD Mag+PRO-BLADE TRANSPORTをスピードテスト

こちらはスペック的には最大2,000MB/秒の速度が出るはずなのですが、M1 Maxでは書き込み 980.7MB/秒、読み込み896.3MB/秒という結果に。ウエスタンデジタルによると、MacBook ProはUSB 3.2 Gen 2×2(転送速度20Gbps)に非対応となるため、このような速度になるとのことでした。USB 3.2 Gen 2×2に対応したWindows PCであればカタログスペックに近い数値が出てくるのだそうです。

とはいえ、BMPCC 6Kで撮影した6Kはもちろん、それ以上の8K、12KのBRAWデータも問題なく編集で動く数値ではあります。

SanDiskProfessional PRO-BLADE-SSD Magの詳細を見る PRO-BLADE-TRANSPORTの詳細を見る

まとめ

私は2020年にBMPCC 6Kを購入しました。それから2年半、その手軽さからずっとポータブルSSDで運用してきました。撮影時はもちろん、編集時もパソコンのパフォーマンスを下げることなくサクサク編集が可能なSSDはもはや私のクリエイターライフに必須なアイテムになりました。今回紹介したアイ・オー・データ機器SSPA-USCやSanDisk Professional PRO-BLADE SSD Mag+SanDisk Professional PRO-BLADE TRANSPORTの組み合わせは、プロの撮影・編集現場でも活用しやすいSSDだと感じました。

SSDを活用すると快適で効率的な環境を実現することができるのでおすすめですよ!

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※型番に/Eが付いておりますが、SSPA-USCと同じ商品です。

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●著者プロフィール

だいげん

北海道生まれ。2018年に9年間勤めた製薬会社を退職し、動画制作会社BLUE BANANA WORKSを設立。企業PVやMVを手がける傍ら、ビデオグラファーを応援するYouTubeチャンネル「TV DAIGEN」を開始。編集ソフトのチュートリアルや撮影・編集のコツを中心に配信。2023年2月現在、登録者数は3.8万人に。自らのチャンネル運営のノウハウを活かし、企業のYouTubeチャンネルのプロデュースも手がける。