ケーブルテレビ関連の制作、配信関係の技術が一堂に集う「ケーブル技術ショー」が今年は7月20、21日の2日間、東京国際フォーラムで開催された。
気になった制作関係の機材、展示を紹介する。
ソニーブース
ソニーブースではリモートコントローラーの新製品、RM-IP500を出展。これまでのIPタイプのカメラリモートに比べて、放送機器に近いイメージのブラック基調のデザインになった。RM-IP500で39万円。パネルに大型のシーソーレバーとジョイスティックを装備。新設計の操作系になっており、精度の高いパン、チルト、ズーム操作が可能。ズーム、フォーカス、パン、チルトそれぞれにスピード調整つまみがあり、最適なスピードで動かすことができる。コントロールできるカメラは現状では、同社のBRC-X1000(4Kタイプ)とBRC-H800(HDタイプ)などになる。
最近、海外のビデオグラファーの間では大流行りなのが、XLR端子に装着して音声を飛ばすことができるプラグオンタイプのトランスミッターで、ソニーのアナログB帯のラインナップで登場。UTX-P03は7月発売で5万円。このようにガンマイクをケーブルレスで使うことができる。(ビデオサロン9月号では、このUTX-P03も含めて、ワイヤレスマイクを一気に集めてテストする予定)
日本デジタル配信(JDS)ブース
日本デジタル配信(JDS)は、各地のケーブルテレビ事業者が制作したコンテンツを中心に、地域の文化、地域の魅力を全国に発信する番組を「ケーブル 4K」として配信しているが、ブースでは簡易的なステージを作り、そこから4K番組を配信することも行なっていた。使用しているカメラは、パナソニックGH5にB4マウントのズームレンズをつけ、背後に4Kモニターを搭載してスタジオ仕様にしたもの。これはプロ機材ドットコムでを通して購入することができる。(GH5をベースにしたENG、STUDIOスタイル仕様のシステムについては、7月29日発売の「ビデオグラファーのための映像制作機器ガイド2017-2018」で紹介しているので、気になる人はそちらをチェックしてほしい)
▲GH5にマウント変換アダプターを装着して、B4マウントレンズを使用。
▲レンズのエクステンダーを入れると、ズーム全域でケラレなく使える。ワイド端では周辺がやや甘いが、こういった用途では実用上、問題ないだろう。HD時代のB4マウントズームレンズでも充分活用できる。
パナソニックブース
パナソニックブースは制作関係の機材はなく、設備や配信関係、チューナーなど。パナソニックはケーブルテレビ用のセットボックスを製造販売しているが、既存のSTBと組みあわせて高度BS 4K放送受信が可能になるチューナーを商品化予定として参考出品。STBとはHDMI-CEC連携でリモコンひとつで操作が可能になるという。
メディアエッジブースにアトモス製品
先日、ATOMOSの輸入代理店がメディアエッジになったというニュースをお届けしたが、ケーブル技術ショーでは、メディアエッジブース内にアトモス製品が展示されていた。JVCのGY-LS300CHは最新のファームアップにより、HDMIからの4K/60p出力が可能になり、SHOGUN INFERNOと組み合わせることで、4K/60p収録が可能になった。
4K、8K放送は来年末から本放送スタート
これから2020年に向けて4K、8K放送はどうなっていくか、受信するにはどうしたらいいのか、などを解説するコーナーがあったので、その情報をまとめておく。
まず2018年の12月からBSと110度CSで4Kと8Kの本放送が始まる。同じ位置にある衛星ではあるが、現在の放送波が右旋なのに対して、新しい放送波は左旋。現在のBSのNHK、各民放のBSはそのまま4K放送を右旋で送り、左旋ではBSはNHKが8K放送を開始し、WOWOW、東北新社などが4K放送を、スカパーが110度CSで8番組の4K放送を始める。地上波がデジタル化したときとは異なり、HDの地上デジタル、BSデジタルはそのまま継続しながら、そこに4K、8Kの衛星放送が加わる形になる。
新しい放送波は従来の放送波と周波数は重なっているが、右旋と左旋に分けられているので、それぞれ区別してアンテナで受信することが可能。ただし、これまでのアンテナは左旋は受けられないので、右旋左旋共用アンテナと高い周波数に対応した機器が必要になるという。
現在のBS放送もケーブル伝送で配信されているが、もちろん4K、8K放送もケーブル伝送が考えられている。