▲5月22日にブラックマジックデザイン株式会社ショールームで行われたセミナーの様子(東京都新宿区)
ブラックマジックデザインでは5月23日〜25日、6月1日〜6月3日の間、海外で活躍するカラリストのGiles Livesey氏によるDaVinci Resolve有償トレーニングを開催している。Giles氏はCM、PV、映画、TV番組のカラーグレーディングに17年以上活躍してきた経験をもつカラリスト。ロンドンのMoving Picture CompanyやDigital Film Labなどのポストプロダクションに在籍し、デジタルによる映画作品のグレーディングを先駆けて手がけてきた。5月22日に、そのセミナーのプレイベントとして日頃DaVinci Resolveを活用する映像クリエイターを招いたプレイベントが開催され、Giles氏が注目するDaVinci Resolve14の新機能紹介、クリエイターとのQ&Aコーナーが実施された。同イベントの模様をVookに参加する映像クリエイターであり、大学生の飯田雄平さんにレポートしてもらった。
レポート●飯田雄平(Vook)
こんにちは、Vookの飯田です。今回は5月22日にブラックマジックデザイン社にて行われた、海外カラリストGiles Livesey氏によるカラーグレーディングセミナーに参加してきました。このイベントは5月23日から開催されるGiles氏の有償トレーニングのプレイベントとして開催されたもので、普段ブラックマジックデザイン製品を利用している映像クリエイターを招待して行われました。主な内容は2017年4月に発表されたDaVinci Resolve 14の新機能の紹介、Giles Livesey氏による参加者持ち込みの撮影素材のグレーディングや解説、Q&Aでした。
プロカラリストがおすすめするResolve 14の新機能
▲講師のGiles Livesey氏
DaVinci Resolve 14では数百もの新機能が追加されています。昨年買収したFairlightによって音声機能が大幅に強化され、編集からミキシング、グレーディングまで一つのソフトで完結してしまいます。しかもほとんどの機能が無料で使えるのは大判を振る舞いすぎです。有償のStudioも値下げされて33,980円となっています。数百もの新機能のなかから、Giles氏のオススメする機能を幾つか紹介していきます。
●タイムラインの色分け
公式HPより
カラーページでも引き継いで表示されるため便利です。
●Face Refinement
公式HPより
顔を認識して、パーツごとに修正が可能です。目のクマを取り除いたり肌を綺麗にできます。
●Dead pixel fixer
レンズに写り込んだゴミを消すことができます。Photoshopのスタンプツールのような仕組みで、任意のピクセルを選んでかぶせることも可能です。
●camera shake
手ブレをキーフレームを打たずに再現することができます。
●contrast pop
簡単にHDR的な映像にできます。
●Dehaze
Lightroomのカスミ除去のような機能です。
●Gamut Mapping
彩度の高い部分を自動的に色域内に収める機能です
●ソフトアンドシャープフィルター
Photoshopのハイパス・ローパスフィルターと同じような機能です。
●Color Compressor
全体を指定した色に持っていくことができます。映像のイメージカラーなどに合わせて全体のトーンを調整できます。
●コラボレーション機能
公式HPより
複数のマシンから1つのプロジェクトにアクセスが可能になりました。
DaVinci Resolve用のパネルについて
新しいDaVinci Resolve用コントロールパネルについても話していただきました。 このコントロールパネルの利点は、ミニパネルやマイクロパネルでも操作性が変わらないこと。さらに、他のサードパーティー製コントロールパネルと異なり、頑丈にしっかりと作られています。家ではミニパネル、外出先ではマイクロパネルといったような使い分けもできます。 また、DaVinci Resolve 14では、パネルの操作性やレスポンスも向上しています。
自分オリジナルのLUTを作る
セミナーの中で盛り上がったのが、DaVinci Resolveを使って自分オリジナルのLUT(Look Up Table)を作るというトピックでした。現在、メーカー公式のLUT以外にも多数のLUTが公開・販売されていますが、どうしても使うLUTが同じだと他の作品と色が似通ってきてしまいます。ですが、LUTなしでイチからグレーディングをしていくにはかなりの腕と時間が必要です。その中でおすすめするのが、 お気に入りのLUTを自分で再現していく方法です。
例えば、海外の映像でよく見るシャドウに青が入った映像。そのまま暗部に青を入れてもなかなか綺麗にいかないですよね。そこで、グレースケールにそのようなLUTを入れ、どこに青が入っているかわかるようにします。それを参考に自分でLUTを作ると似たようなトーンカーブが作れます。
▲グレースケールにオリジナルのLUTを当てた状態
LUTにもビット数が関係する
市販のLUTではビット数が足りないことがあります。LUTが8ビットで作られていた場合、10ビットの素材に当ててしまうとバウンディングが起きて解像度が落ちてしまいます。そういった意味でも自分でLUTを作ってみることは意味があります。LUTからアイデアを得るような使い方もできるかなと思います。
まとめ
最初に紹介した機能以外にも、DaVinci Resolve 14にはたくさんの機能が追加されています。(新機能の一覧はこちら)編集・グレーディング・音編集がひとつのソフトでこなせる、今までにないカタチに進化していると感じました。まずは是非、今回ご紹介した機能を試してみてください!
Giles氏のDaVinci Resolve有償トレーニングは今からでも参加可能
5-31(水)開催
6-01(木)開催
5-30(火)、6-02(金)開催
- 時間:10:30-18:00 (昼食休憩を含む)
- 会場:
- ブラックマジックデザイン株式会社
ショールーム
東京都新宿区新宿1-9-1
第2タケビル4F
- 費用:
- 各回60,000円(税抜)
- 定員:
- 各回 15名
最小開催人数: 3名