DJIから登場した新感覚アクションカメラAction2。ネックストラップやハンドグリップ、カーマウントなど様々なアクセサリーへとマグネットで着脱できる。この製品の魅力や課題などについてビデオグラファーの宮本裕也さんが実際に使ってレポートしてくれた。
レポート●宮本裕也(GIV)
映像クリエイター、フォトグラファー。大学卒業後は10年間WEB関連業務(企画・制作・マーケティング)に従事。友人の結婚式で動画を作ったことをきっかけに映像制作に興味を持ち、徐々に仕事として映像制作を受けるように。2016 年1月、映像とWEBを手がける個人事務所GIVとして独立。
WEB/YouTube
こんにちは、広島でフリーランスとして映像制作をしているGIVの宮本です。
今回は2021年10月に発表されたDJIの新アクションカメラ「DJI Action2」を発売前にお借りいただけましたのでその紹介をさせていただきます!
宮本さんの動画レビュー
前モデルと大きく変わったスタイル
初めに前モデルである「Osmo Action」との違いを見ていきます。2019年5月に発売された前モデルである「osmo action」。自撮りにも使用できる前面スクリーンや、同社の3軸メカニカルジンバルの開発経験を活かした手振れ補正技術RockSteadyを搭載する等、発売当初はアクションカメラの代表格あるGo Proとの差別化を図っていました。私も発売日に購入し、様々なケースで利用していました。しかし、新モデルであるDJI Action2では、その見た目も使用感も大きくコンセプトが変わっています。
前モデルと違い今回のDJI Action2は正方形方となっていて、大きさもコンパクトになっています。重量も56gとかなりの軽量(卵1つと同じだそうです)。また、前面のモニターも廃止され、バッテリーも前モデルでは交換が可能でしたが、本モデルでは充電のみとなっています。物理ボタンも天部の1つのみです。
しかし底部には何やら接続端子のようなものが見えます。この底部に今回のDJI Action2の大きなコンセプトであり、最大のセールスポイントが詰め込まれていました。
アクセサリーへの着脱が容易なマグネット式デザイン
前モデルを含め、多くのアクションカメラではカメラをアクセサリー等に取り付ける際、しっかり固定をさせるためにネジ式の取り付け方法が使われていました。しかし、新モデルでは本体底部がマグネットとなっており、新しく用意されたアクセサリー類を使用することにより、瞬時に取り付け、取り外しが可能となりました。本体付属のネックレス型アクセサリーは、首にかけて服の中に入れておけば、必要な時にすぐに胸の位置にカメラを取り付けができます。
またマグネット対応のミニ雲台も同梱していますので、三脚等にも素早く取り付けが可能です。
Vlogをされる方や、何かスポーツをする時等、必要な時に瞬時にアクセサリーの取り替えができるのは良い仕様です。マグネットはしっかりと張り付くため、少々の動きや衝撃を与えても外れてしまう心配はありません。これまで発売されている各種サードパーティー製のアクセサリー類に関しても、磁気アダプターマウントを使用することで素早く取り付けできます。
液晶モニターや予備バッテリーはモジュラーで拡張できる
新モデルは前述のマグネットを利用した機能拡張型のモジュラー仕様となっています。例えば、冒頭にも記載しましたが、新モデルでは前面のモニターがないため、そのままでは自撮りをする際に確認ができません。このような時は同梱されている「フロントタッチ画面モジュール」と呼ばれる本体と同じ大きさのモニターを本体底部に取り付けることにより、自撮りをする際に画面を確認しながら撮影することができるようになります。
また、このフロントタッチ画面モジュールにもバッテリーが搭載されており、カメラ本体に取り付けることによって、より長時間の撮影が可能となります。自撮りをしない方向けに、フロントタッチ画面モジュールではなく、追加のバッテリーとしてのみ使用できる電源モジュールが同梱したパッケージも発売されます。
このように新モデルでは、本体そのものは必要最低限の機能としてコンパクトにし、必要に応じてモジュールを瞬時に取り付けて使用するといった使い方をするように設計されています。こういった設計、男性は好きな人が多いのではないでしょうか。
前モデルからコンパクトになったものの中身はパワーアップ
コンパクトになり、マグネットによるアクセサリー類の装着、モジュール設計と大きくコンセプトを変えたDJI Action2ですが、もちろん中身もパワーアップしています。センサーサイズも前モデルが1/2.3インチでしたが、1/1.7インチと少し大きくなり、また4K/120pに対応。高画質高解像度のスローモーションを実現します。
カメラを傾けても水平を保つ新機能・HorizonSteady
さらに、前モデルに引き続き、手ブレ補正技術RockSteadyは今回も搭載されていて、歩きながら撮影をしていても全くと言って良いほどブレずに撮影が可能ですし、新しく搭載されたHorizonSteadyは、いつでも安定した水平を保った撮影を実現しています。
Action2は3種類の画角を選べる
レンズの種類も「標準」「広角」「超広角」の3種類から選ぶことができます。超広角はかなり広い範囲を映すことができます。個人的には標準でも充分だとは思っています。
専用スマートフォンアプリDJI mimoを使用すれば映像のモニタリングをしたり、撮った撮影素材を気軽に編集でき、すぐにSNSへシェアすることが可能です。
使ってみてわかったAction2の課題
コンパクトで使いやすい反面、コンパクトにしたからこそのデメリット、気になる点もあります。
●バッテリー面
モジュールを装着つけずカメラ本体だけで撮影した場合、4K/30pで撮り続けて30分程度でしょうか。長時間撮影したい場合はやはりモジュール使用は不可欠となりそうです。さらに、このモジュールがなければカメラ本体への充電もできず、PCと接続してデータを転送することもできません。
旅行にカメラ本体だけを持っていってしまうと、充電できません。またスピーカーもモジュール側にあるため、カメラ本体だけだと音の確認ができないのは不便かなと思いました。
●ストレージ面
SDカードもモジュールへの装着となるため、カメラ本体だけでは内蔵の32GBのストレージのみ(実質22GB程度が利用可能)なので、4K撮影をしているとすぐにいっぱいになります。4Kで長時間撮影をしたい方はフロント画面モジュールを使用し、モジュールにSDカードを挿入してSDカードに収録する必要があります。
●熱問題
「録画停止温度設定」という設定があり、初期では「標準」となっていますが、この状態で4Kを撮っていると短時間で熱停止してしまうこともありました。
「高」にすると長く撮影でき、室内(室温22,3度)にて4K30pで30分程度回すこともできましたが、外で日光に直接当たり続ける環境では5分程度で熱停止してしまう時もありました。10月の暑すぎないこの時期でこの状況だと、真夏の外での使用は大丈夫なのかと不安が残る印象です。私としては4Kではなく1080pで気軽に使っていく(たまに4Kみたいな)カメラとして使いたいと思っているのでそこまで気にする必要がないかもしれませんが、4Kをばりばり使っていきたい、それも60pや120pを多用したい方にとっては、長時間撮影をしない、こまめに電源を切る等、使い方を考えないといけないかもしれません。
課題はあるけど日々使いたくなるVLOGカメラ
上記記載の通り課題はいくつかあって購入を悩む方、人によってはそれが致命的なので買わないという方もいらっしゃるかと思います。私はどうかと言いますと……執筆中に購入しました(笑)。確かに課題もありますが、それ以上に私としてはこのDJI Action2のコンパクトさ、マグネットによるアクセサリー装着の気軽さが気に入ってしまい、これまでVlogはする方ではなかったのですが、このDJI Action2ならかなり気軽に撮影ができ、Vlogをやってみようかなという気にさせてくれました。音質も良いのも気に入っています。
そういう面では4Kも必要なときには使用しますが、普段は1080pでも良いと考えているので、課題にあげた点があまり気にならず使用できると思います。
今後新しいモジュールがどんどん出てくることも期待したいですね!
●DJI Action2の製品情報