DJIから登場した手のひらサイズながら4K/30p撮影に対応したDJI Neo。価格もドローン単体で33,000円(税込)とお手頃価格で導入できる。荷物を少しでも減らしたい旅やアウトドアのシーンで重宝しそうだ。そんな超コンパクトドローンをドローン空撮のスペシャリストはどう評価する?

レポート●稲田悠樹(コマンドディー)

タイトルとサムネふざけてすみません。ただふざけた気持ちもありましたが…結構本気と書いてマジです。

DJIの新ドローンDJI Neo…飛んで、カメラもついてて、映像が飛ぶ機能が入ってて、この小ささ、ぜひ手にとってみて欲しいです。なぜこのサイズにできているのか、驚きを通り越して、超古代文明のオーパーツを手に入れたような感覚に陥りました。

DJI Neoの特徴としては、DJI史上最小・最軽量の空撮ドローン、自撮りに最適化したライトな機能が満載、ドローン玄人のためにFPV関連も対応。という、小ささとは裏腹に機能的にも盛りだくさんのドローンです。ただし、注意点としては、カメラとしてのクオリティは、抑え目です。


基本的な仕様について

先に、使用感をお伝えすると、このDJI Neoをお勧めする人としては、旅お供に、気軽にドローンで自撮りやVlogなどをしたい方、FPV的な動きのドローンの練習をしたい人の、このふたつがまず最初に思いつきました。

前者と後者で違うニーズかと思ってしまいがちですが、共通点は入門機としての位置です。(ドローン空撮の入門、FPVの入門)ただし、映像の仕事として利用する場合には、カメラ性能・絵の質としては物足りなさを感じますので、そこは注意が必要です。

持ち運ぶこと、飛ばすことの労力を最小限にして、いつでも気軽にドローンで映像が撮れる楽しみを最小限にした製品。それがDJI Neoの真髄だと感じました。

サンプル映像を作成しましたので、ご覧ください(約1分半)。
とにかく今までのドローン撮影に比べて、準備から飛行、撮影完了までの時間が全然かからず、簡単に撮影できることを感じていただけると思います。

自動飛行について

ドローンの操作のハードルを下げて、フライングカメラとして気軽に撮るための進化を、ハードとソフト両面で行っている印象を受けました。DJI Neoの一番のポイントは、ドローンを使ったことない人が気軽に、ドローンにお任せで自撮りができるということです。そのために、本体の正面上部に手から離陸させるためのボタンが付属したり、コントローラーを利用せずに、スマートフォン単体で、自動飛行と操作ができる新機能を搭載しています。


小型軽量

とにかくDJI Neoの最も魅力的な特徴は、「This is 手のひらサイズ」。下の写真でそのコンパクトさが伝わりますでしょうか?

また、重さはバッテリー込みで135g。GoPro HERO 12がバッテリー込みで154gだということを考えると、それよりも軽くて、最長6km飛ばせる性能が詰まってるとは思えません。4カ月前にレビューした DJI AVATA2のレビュー記事で小さいと書いていましたが、それよりもさらに小さいです。

以下の画像の右のドローンは、2018年に発売されたトイドローンTelloです。ただ性能的には外で飛べる馬力もないですし、飛距離も数10mで操作の電波が途切れてしまいます。それよりも見た目のサイズが小さいDJI Neoだと普通に外で飛ばせることを考えると、DJIの開発力は恐ろしいです。


操作方法が多彩

DJI Neoは、ニーズに合わせて操作方法も多彩に用意されています。DJI Neoで新たに搭載されたのが「送信機なしで、本体のみで飛行」と「スマートフォンで飛行」です。。

以下5種類の飛行方法を解説します。

①スマートフォン(専用アプリDJI FLY)+送信機(DJI RC-N3)

こちらはいつものドローンのスタイルで、スマートフォンの画面に、カメラ映像や各種設定が表示されて、スティックで操作します。

アプリの画面についても通常のDJIのドローンと変わりなく各種パラメータを確認することができます。


②スマートフォン(専用アプリDJI FLY)のみ

Wi-Fi経由でドローンとスマートフォンと接続し、飛行させます。初期状態だと人をトラッキングするモードになっているので、ドローンのカメラを人に向けて認識させてから、離陸させると、そのまま追尾して、操作なく自撮りが可能です。

スマートフォンの画面上で、自動飛行の動きを様々切り替え可能です。また、Vloggerにとっては嬉しい機能として、スマートフォンのマイクを利用して音声を録音することもできます(音声データは、別ファイルとして保存されます)。

また操作スティックを画面上に表示させて操作することも可能です。



③なし(DJI NEO本体のみ)

コントローラーなしで、ドローンのみで自動飛行によって飛行、撮影します。本体を手に持って、人にカメラを向けた(認識させた)状態で、本体上部のスイッチを長押しすると、離陸して撮影が開始されます。ただし、この状態は自動飛行に該当し、航空法では、特定飛行時、緊急時などに操作介入ができるように、ドローンは送信機やスマホと接続されている必要がありますので、特定飛行にならない場合か室内で利用する必要があります。

本体の上部正面のボタンを押すたびに、フォロー、サークル、ロケットなど自動飛行の選択が切り替わっていき、アイコンの点灯も切り替わります。これによってモニターがなくてもどのように飛ぶのかが一目瞭然でわかります。


④DJI Googles3+FPV Controller 3

別売り(DJI Avata 2と一緒に発売されたもの)のゴーグルと送信機にも対応しています。以下のゴーグルと送信機2種類の詳細については、Avata 2のレビュー記事をご参照ください。

スマホではなくゴーグルで映像を確認できるのでFPVの練習に最適です(なお、レビュー段階だとMモードに対応したファームウェアでは無いのでテストてきていませんがMモードも対応します)。

DJI Googles 3を野外で利用する場合は、航空法の目視外飛行に該当するので、各種手続きをお忘れなく。

接続はゴーグルのステータスからDJI Neoを選択して、DJI Neo\本体の電源ボタンの長押しでペアリングが可能です。

⑤DJI Googles3+RC Motion Controller 3

こちらのMotion Controller3は、スティック操作ではなく直感的にドローンを飛ばしたことがない方でも飛ばせるように設計されているコントローラーです。


カメラ性能について

1/2インチのCMOSセンサーを搭載し、レンズは焦点距離(35mm判換算)13 mm、絞り:f/2.8固定の性能です。撮影をしてみると、野外で自撮りをして楽しんで、スマホやSNSで映像をみるという用途で考えると非常に気軽で満足できる性能ですが、画質で言うと、予想通り昨今のスマホより少し落ちている印象です。また暗い環境ではノイズがそれなりに出てきます。仕事で使うとなると少し厳しいかなと感じました。

野外での撮影の切り出し(16:9)。写真をクリックすると原寸大画像が開きます。
暗い場合は、暗部にノイズが乗っている。室内での動画からの切り出し(4:3)。写真をクリックすると原寸大画像が開きます。


データのフォーマットも最大4K/30pで、カラーモードもLogには対応せず、ノーマルのみ。シンプルに撮って出しで利用する想定で設計されています。

手ブレ補正に関しては、ジンバルは1軸でカメラ向きを、送信機から変えることにのみ対応しており、他の空撮ドローンとは違い、電子手ブレ補正で処理されます。

ブレの補正に関して余談ですが、DJI Googles3を利用している場合、4:3のアスペクト比で撮影できます。その際は手ブレ補正はかからない状態となりますが、外部のGyroFlowというソフトによって、ジャイロセンサーを利用したブレ補正を後からかけることも可能です(執筆時点では、ベータバージョンなのか仕様なのか不明ですが、通常の送信機とDJI FLYからでは、アスペクト比の変更がありませんでした)。


室内での飛行性能について

以前のレビューでAvata 2ではガードが付いているため、室内飛行が可能であることを述べましたが、DJI Neoはさらに小型であるため、室内飛行の可能性がより広がると期待していました。理由としては、小型であることで、衝突時のダメージが軽減され、狭い場所でも飛行がしやすくなると考えていましたが、実際に飛行させてみると、GPSがない環境では、Avata 2に比べて意図しないふらつきが発生することがありました。これは、機体下部のセンサーの認識精度がAvata 2よりも劣っているためだと考えられます。

これは前述したスマホでの自動追尾飛行の場合でも同様に発生し、壁にぶつかって落ちたりもしました。とはいえガードもついていて、本体自体も軽いので、壁もドローンも無傷でした。とはいえ、室内での飛行には注意が必要です。GPSのない環境での飛行は、サイズをとるか、制御の正確性をとるかで、Avata 2とNeoで、一概にどちらがいいと言えるものではないと感じました。


MicroSDカード非対応

内蔵のメディアへの記録となるので、アプリを経由してダウンロードするか、本体からUSB-Cケーブル経由でデータを抜き出す必要があります。


スペック表

機体機体機体
機体サイズ130×157×48.5 mm(長さ×幅×高さ)
機体最大水平速度(海抜付近、無風)6 m/s(ノーマルモード) 8 m/s(スポーツモード) 16 m/s(マニュアル モード)
機体最大飛行時間約18分(プロペラガード装着時は約17分) 各バッテリーごとに、ドローンは手のひらから少なくとも20回の離着陸を連続して実行し、撮影できます。
機体最大風圧抵抗8 m/s(スケール 4)
機体全球測位衛星システム (GNSS)GLONASS + GPS + Galileo + BeiDou
機体内部ストレージ22 GB
機体推奨microSDカード外部SDカードによるストレージの拡張には対応していません。
機体検知タイプ下方ビジュアルポジショニング
機体下方 高精度ホバリング範囲:0.5〜10 m
機体検知動作環境下方:20%を超える拡散反射率を持ち、非反射性の識別可能な表面(壁、木、人など) 十分な明るさのある環境(照度 > 15ルクス、通常の室内照明条件)
カメライメージセンサー1/2インチ イメージセンサー
カメラレンズFOV:117.6° 焦点距離(35mm判換算):13 mm 絞り:f/2.8 フォーカス調整:0.6 m〜∞
カメラISO感度100~6400(オート)(マニュアル)
カメラシャッター速度動画:1/8000〜1/30秒 写真:1/8000〜1/10秒
カメラ最大静止画サイズ12 MP写真 4000×3000 (4∶3) 4000×2256 (16∶9)
カメラ静止画モードシングル/タイマー撮影
カメラ写真フォーマットJPEG
カメラ動画解像度EISオフ: 4K (4:3):3840×2880@30fps 1080p (4:3):1440×1080@60/50/30fps
EISオン: 4K (16:9):3840×2160@30fps 1080p (16:9):1920×1080@60/50/30fps
カメラEIS(電子式映像ブレ補正)RockSteady安定化機能、HorizonBalancing、安定化機能オフに対応しています。 16:9のアスペクト比を使用する場合は、RockSteadyまたはHorizonBalancingのみを有効にできます。 4:3のアスペクト比では安定化機能は使用できません。安定化機能がオフの場合、撮影された映像はGyroflowによるオフライン安定化機能に対応しています。
カメラ動画フォーマットMP4
カメラ最大動画ビットレート75Mbps
カメラカラーモードノーマル
ジンバル安定化機能1軸メカニカルジンバル(チルト)
ジンバル操作可能範囲チルト軸:-90°~60°
映像伝送映像伝送システムO4
映像伝送ライブビュー品質DJI RC-N3送信機を使用した場合:最大1080p/30fps DJI Goggles 3およびDJI RC Motion 3/DJI FPV送信機3を使用した場合:最大1080p/60fps
映像伝送動作周波数2.400~2.4835 GHz 日本国内は2.4 GHz帯のみ利用可能
映像伝送最大伝送距離(障害物、電波干渉のない場合)MIC(日本):6 km データは、干渉と障害物のない屋外環境で測定した値で、各基準下での復路のない片道飛行で最も遠い通信範囲を示しています。
映像伝送最大動画ビットレート50Mbps
映像伝送アンテナアンテナ×2、1T2R
Wi-Fi:動作周波数2.400~2.4835 GHz (日本国内は2.4 GHz帯のみ利用可能)
バッテリー容量1435 mAh
バッテリー重量約45 g
DJI RC-N3 送信機最大動作時間モバイル端末を1台も充電していない場合:3.5時間 モバイル端末充電時:1.5時間
DJI RC-N3 送信機充電時間2時間
DJI RC-N3 送信機重量約320 g
DJI RC-N3 送信機サイズ104.2×150×45.2 mm(長さ×幅×高さ)
充電関連推奨充電器DJI 65W ポータブル充電器<br>  USB PD規格対応 充電器
充電関連充電タイプ3つのバッテリーを同時に充電 同時に充電できるバッテリーの数は、使用する充電器の電力によって異なります。45Wを超える充電器を使用すると、3つのバッテリーを同時に充電することができますが、 45W未満の充電器を使用すると、2つのバッテリーしか同時に充電することができません。充電器がサポートしている充電プロトコルを参照してください。



まとめ

DJI Neoは信じがたいサイズに、これでもかと機能を盛り込んだドローンとなっていました。プロペラも全面覆われているので、安心して子供に操作体験や、キャンプでの記念撮影などなど、操作に不安な方でも、気軽に思い出作りに一役買ってくれる1台になりそうです。

◉製品情報
https://www.dji.com/neo