ビデオサロン2008年12月号、2009年1月号と2号にわたってテストしてきたキヤノンEOS 5D MarkⅡのHD動画機能。動画撮影時にはプログラムAEと露出補正しか方法はないが、絞りリングがレンズ本体にあるレンズを使用すれば、その絞りで撮ることができる。マウントアダプターを利用して昔のオリンパスOMレンズで試してみた。
(この内容は現在制作中のビデオサロン1月号特集の追加テストであり、本誌上には掲載されません)


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EOS 5D MarkⅡは、HD動画撮影時はプログラムAEしか使えない。つまり絞りをコントロールして被写界深度を決めるということができないわけだ。動画撮影時には絞りの値、シャッタースピードなどは表示されないが、撮影前、もしくは撮影後にライブビューで静止画側のシャッターを半押ししてみると、その撮影時の絞り値、シャッタースピード、ISOが表示されるので目安になる。それによると、日中の屋外では、かなり絞り込まれているようだ。これは動画ではある程度被写界深度がないと、フォーカスの合う範囲が狭すぎてピントが外れてしまうこと。また、あまりに高速シャッターになると動きが不自然に見えることなどを考慮したセッティングがなされていると思われる。
 しかし、絵作りにおいて、絞りを決められないというのは、厳しい。そこで、絞りリングがレンズ側にあるマニュアル操作のレンズを使用してみた。といっても、EOS用のEFレンズは絞りはすべてボディ側からの操作であり、絞りリングがついたレンズは存在しない。そこで、マウント変換アダプターを利用することにした。EOS-OM変換アダプター(スキヤカメラで1万円ほどで購入)を利用して、オリンパスのOM50㎜F1.8を装着。この組み合わせで、いわゆる絞り優先AE的な動作は可能だった。キヤノンEOS用のマウントアダプターは、ニコン用、ヤシカコンタックス用など各種発売されているので、もし手持ちのレンズがあれば、試してみる価値はあるだろう。なお、マウントアダプターを使用する場合は、カメラメーカー、レンズメーカー、および編集部では動作は保証はできないし、これによっておきた不具合については補償されないので、自己責任で試してほしい。
以下、キヤノン純正の24-105㎜F4 L IS USMでの50㎜付近の描写と比較してみた。12月の午後3時の曇り空で、このズームレンズはF22まで絞り込まれてしまう。シャッターは1/50、ISOは100であった。オリンパスのズイコーOM 50㎜F1.8の場合は、もちろんマニュアルで絞りを決められるが、シャッターは日中屋外では1/6000秒くらいに上がってしまうこともあった。できるだけ開放近くで撮りたい場合は、NDフィルターを用意するしかないだろう。
(画像をクリックすると、実際の動画から抜き出した実サイズのデータが開きます)
◆EF24-105㎜F4 L IS USMの50㎜付近
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▲プログラムAE(F22)
◆オリンパス ズイコーOM 50㎜ F1.8
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▲開放F1.8。かなり周辺減光があり、かつ全体に甘くなる。しかし雰囲気はあるので、あえてこういう絵作りをしてみてもおもしろい。手前は大きくぼけている。
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▲F8。ここまで絞りと周辺減光もなくなり、全体にシャープになる。
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▲F16。手前もあまりボケなくなる。F1.8で行くのか、それともF16まで絞り込むのか、これだけ絵が違うと、表現者の意図が求められる。また前後のカットもある程度、絞りを統一しないと、編集で絵がつながらなくなってしまうだろう。