7月にサムスンから発売された折りたたみスマートフォンのフラグシップモデルGalaxy Z Fold 7が発売された。カメラ性能としては先立って発売されたGalaxy S25 Ultraと同等の性能を備えるという。8.9mmという薄さを実現しながらも、折りたたまれたスマホを開くとディスプレイサイズは8インチとなる。この記事では日頃からスマホでの映像制作に取り組むtakumifoneさんにiPhone 16 Pro MAXのLogとの比較に加え、Galaxy Z Fold7の動画撮影アプリ、8インチディスプレイの使用感を中心にレポートしてもらった。

2025年もスマートフォンの進化は止まりません。Samsungの最新折りたたみフラッグシップスマートフォン、Galaxy Z Fold 7 と、アップルのハイエンドモデル iPhone 16 Pro Max。どちらも映像制作に使用できる性能を備えていますが、実際に使ってみると「性格の違い」がはっきりと見えてきます。今回は、日頃iPhoneで映像制作を行っている筆者の視点から、この2台を比較してみようと思います。

もう「分厚い」とは言わせない
Galaxy Z Fold 7は、折りたたみ時は6.5インチのカバーディスプレイを使用できますが、開くと8インチの大画面タブレットに変化します。


重量は215gと、折りたたみスマートフォンとしてのみならず、スマートフォンとしても軽量です。ちなみにiPhone 16 Pro Maxは227gと、Galaxy Z Fold 7よりも重いです。
2台持ちせずにスマートフォンとタブレットの役割をこの重量のデバイスでこなせるため、運びやすく、非常に便利です。なぜこんなにも軽いのか、それはその薄さにあります。

Galaxy Z Fold 7とiPhone 16 Pro Maxの厚さを比較すると、ほぼ変わらないことが分かります。折りたたみスマートフォンと言うと、その分厚さから敬遠する人もいるイメージですが、このGalaxy Z Fold 7はまさに分厚さとは無縁です。
なので、Beastgrip Proなどのユニバーサルリグを装着することが可能なんです。

これは、今までの折りたたみスマートフォンではなかなか出来なかったことです。ついに折りたたみスマートフォンに外付けのNDフィルターやアクセサリーを装着できる時代が来たんですね。これによりGalaxy Z Fold 7で撮影できる映像の表現の幅が広がることは間違いありません。ただ、この薄型化の「代償」として、Galaxy Z Fold3 5Gから引き継がれてきた「Sペン」が省略されているのはメモしておくべきでしょう。
カメラ性能
Galaxy Z Fold 7は同社のGalaxy S25 Ultraと同じ2億画素の広角カメラ、そして1200万画素の超広角カメラ、1000万画素の望遠カメラの3眼構成です。

折りたたみの形状を活かして、開いた状態でも閉じた状態でも撮影できるため、タブレット持ちでの撮影なども柔軟に対応できます。さらに、大画面での素材のプレビューにより、細部まで構図や画質を確認できます。これらの大画面を活かした使用方法は、折りたたみ式のスマートフォンの強みと言えるでしょう。

一方のiPhone 16 Pro Maxはメインの広角カメラと超広角カメラが4800万画素、望遠カメラが1200万画素となっています。



試しに、Galaxy Z Fold 7とiPhone 16 Pro Maxで、それぞれGalaxy LogとApple Logで撮影し、それぞれのメーカーが配布しているRec.709の色域に戻すための標準LUTを適用してみました。両機の設定を統一するため、Galaxy Z Fold 7では標準搭載のカメラアプリの「プロ動画」で、一方のiPhone 16 Pro MaxではおなじみのBlackmagic Cameraにて撮影を行いました。なお、NDフィルターなどの外部アクセサリーは使用していません。
各カメラの画角と画質を比較






Galaxy Z Fold 7で収録したLogに標準LUTを当てた映像では、色が少しビビッドな印象です。それに対して、iPhone 16 Pro MaxのApple Logに標準LUTを当てた映像はどちらかと言うと自然な色に見えます。同じLogデータを標準LUTでRec.709の色域に戻した映像でも、メーカーによって画作りの方向性が全く違うことが伺えますね。

ちなみにGalaxyにはスマホのカメラロールから撮影したLogデータに標準LUTを当てることができます。
映像制作者にとってのメリット
Galaxy Z Fold 7
前述の大画面での撮影や素材のプレビュー、カメラ性能に加えて、8インチの画面による映像編集のしやすさは特筆すべきでしょう。特に、最近の縦型ショート動画を作っているクリエイターの中で、スマートフォンのアプリ上で映像編集を行ってしまうという人は多いはず。そんな人たちにとって、このオールインワンなGalaxy Z Fold 7は非常に便利な端末となるのではないでしょうか。また、標準搭載のカメラアプリの「プロ動画」モードはBlackmagic Camera顔負けの細かい設定ができる優れた撮影アプリとなっています。ゼブラパターンやフォルスカラーすら確認できるのですから驚きです。


iPhone 16 Pro Max
ProRes収録やLog撮影に対応している点、中でもApple Logの存在は映像制作を本格的に行いたい人にとって貴重な存在でしょう。最近公開されたハリウッドの大作映画『28年後…』にて、ほぼ全編にわたってiPhone 15 Proシリーズがメインカメラとして使用されたのは記憶に新しいです。
まとめると…。
Galaxy Z Fold 7とiPhone 16 Pro Max、どちらも映像制作において充分に戦力になるスマートフォンです。

Galaxy Z Fold 7は「カメラ兼モバイル編集機」として、iPhone 16 Pro Maxは「撮影のクオリティを最大化するスマートフォン」としての性格が際立っています。
Galaxy Z Fold 7では簡単な縦型動画コンテンツを、iPhone 16 Pro Maxでは少し規模が大きくなった、ポストプロダクションに時間をかけたい映像を。などと案件の内容や現場環境に合わせて選べば、この2台はいずれも確かな武器になります。
🔻Samsung Galaxy Z Fold7の製品情報