Core Ultra 7 155Hを搭載したサードウェーブのGALLERIA DL7C-IG-C6は動画編集でどこまで実用的に使えるのか? SONYのシネマカメラBURANOで撮影した6K/23.98fps、X-OCN LTコーデックの6K素材をPremiere Proでどこまで快適に編集できるのか? マリモレコーズの江夏由洋さんにテストしてもらった。

REPORT●株式会社マリモレコーズ 江夏由洋


GALLERIAノートパソコンで快適なクリエイティブ

今話題のインテル Core Ultra 7 155Hを搭載したサードウェーブのGALLERIA DL7C-IG-C6という16インチ液晶のノートパソコンを今回試用することになった。16インチといっても、重さ1.7kgで、電源は90W。さらにサイズは約 358(幅) x 258(奥行) x22(高さ)mmというコンパクトな大きさだ。公式のWEBサイトいわく、“高い信頼性と安定性を実現し、レタッチ、DTP、WEB、動画編集、イラストレーションなど、幅広い制作作業を快適にこなせます。”という一台だ。

パソコンで動画を編集する際に、大切になるスペックは主に3つ考えられる。それが①GPUの性能、②オンボードメモリの容量、③ディスクスピードだ。

その中でもGPUの存在は大きい。どれだけ映像の描画能力を外部GPUで伸ばすかが、ハイエンドの映像制作には必須とされている。私の仕事用の編集マシンもNVIDIAのGeForce RTX 3090を積んでいる。

しかし、やはりGPUの性能を追求すると、コストがかかるだけでなく、GPUを動かすための電源も必要になるし、もちろんノートパソコンとなれば熱の問題もあって筐体はどうしても大きくなってしまう。イラストレーションはまだしも、マシンのスペックを必要とされる動画編集がどこまでできるか? 外部のGPUを持たないGALLERIA DL7C-IG-C6。まさにCore Ultra 7 155Hの実力がこのノートパソコンの魅力に直結することになる。

インテル Core Ultra 7 155H搭載のGALLERIA DL7C-IG-C6

インテル Core Ultra 7Arcグラフィックス

実は最近、CPUの内蔵グラフィクスの性能がかなり向上している。Core Ultra 7 もそんなCPUのひとつだ。Core Ultraのシリーズでは新しいグラフィックスのアーキテクチャ「インテルArcグラフィックス」が採用されており、かなりの性能が期待できるらしい。内蔵のGPUであれば電力も相当抑えられるため、ノートパソコンを使う際にはいろいろとメリットがありそうに感じる。GALLERIA DL7C-IG-C6がコンパクトな筐体でありながらも、クリエイティブの作業ができるというスペックを謳う理由は正にそこにある。

実際にAdobe Premiere Proを使って、動画編集を試してみた。今回使用した素材はSONYのシネマカメラBURANOで撮影した6K/23.98fps、X-OCN LTコーデックのデータだ。いわゆるハイエンドのシネマカメラの6K素材ということになる。実際に仕事用のデスクトップPCで作業した編集データをそのまま移植して、挙動を試してみた。

GALLERIA DL7C-IG-C6は内蔵のSSDにNVMeを採用しており、ディスクスピードも相当だ。ただ、折角なので多くの映像クリエイターが実際の編集作業でそうしているように、TypeCの外付けSSDにデータを入れて編集作業をしてみるという、より実践的な環境でテストしてみることにした。TypeC接続で使用したSSDはUSB-C USB 3.2 Gen 2 対応のExascend Explorer Portable SSD 2TBだ。

SONYのシネマカメラBURANOで撮影
外付けのSSDに動画のデータをいれてAdobe Premiere Proで編集


6KX-OCN素材が快適に動く

まず驚いたのは、編集作業の快適さである。X-OCNの素材がストレスなく編集できる。調整レイヤーにLUTをいれても、Premiere Proの再生解像度を1/2にすれば、コマ落ちもなく、Arcグラフィックスの使用率も70%程度であった。コンパクトでありながらもなかなか頼もしいし、再生を始めるとファンが回り始めるので、GPUが動いているという実感が湧く。16インチの液晶画面も2560×1600あり、Premiere Proの操作もしやすく、何よりも色の表現がとてもいいと感じた。公式スペックとしてDCI-P3のカバー率が95%を超える色表現らしい。

また、レイヤーをふたつ重ねてディゾルブさせてもコマ落ちしないのはなかなかだろう。もちろんGPUを別に搭載するデスクトップマシンなどには、その実力は及ばないが、ミラーレスや汎用の動画コーデックであれば、結構なタスクもこなせるのではないかと予想された。いろいろとクリエイティブの現場で活用できるだろうし、長く使えるノートパソコンだと感じた。

X-OCNの6K素材が1/2解像度の再生でコマ落ちせずに再生する
6K素材再生時のArcグラフィックスのパフォーマンス


欲しい機能が満載でリーズナブル

Core Ultra 7 155HというCPUと内蔵のArcグラフィックスストラクチャのGPUも素晴らしいのだが、このGALLERIA DL7C-IG-C6の守備範囲もかなり欲張っているなと感じた。BTOでMVNeのCドライブも1TBと2TBが選べ、オンボードのメモリも32GBと64GBが選択できる。最小構成でも充分な仕様であるにもかかわらず、価格は18万円を切るという。16インチで2560×1600もの解像度があって、表現する色もいい。Thunderbolt 4もついていて、インターフェースも豊富だ。なんと背面にHDMIと有線LANまでついている。テンキー付きのキーボード配列にもこだわりを感じた。クリエイティブのノートパソコンといえばどうしてもMacBookという印象が強いが、コストパフォーマンスも高く、制作の可能性を広げてくれるWindowsマシンだ。

クリエイティブは自由であるべきだと思う。つまりは、自分の思いを形にする際に、技術的なハードルをなるべく排除したいということだ。作業に集中できる環境が整えることが、まずはスタートになる。このノートパソコンをメインで使用してもいいし、サブ機として並走するのもいい。あらゆるクリエイターのニーズに応えてくれる一台だと感じた。

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