2018年9月13日(木)14~17時、銀一(東京月島)スタジオショップイベントスペースにて、スチルカメラマンのための動画導入セミナーが開催された。講師はビデオサロン記事でもおなじみの栁下 隆之氏(LimeTec)。
長年、銀一に勤務しスチルカメラの世界で研鑽を積み、動画制作に軸足を移行してから、今では制作現場やセミナー講師でひっぱりだこの同氏による、基礎編ながら実践的な講座にカメラマンが集まった。

『スチルカメラマンのための初めての動画セミナー』

ビデオサロン記事の制作をきっかけに、GH5およびマイクロフォーサーズシステムの長所にあらためて気づき、早速導入。今ではGH5を持っていく現場がかなり多いという栁下さん。セミナーでは、まずGH5でどれだけの動画が撮れるのかのデモからスタートし、GH5の特徴やミラーレス一眼を扱う上で知っておくべき基礎知識の説明がなされた。

ビデオサロンの次の新刊(10月号/9月20日発売)第1特集でも「まさに」のテーマ、マイクロフォーサーズとフルサイズの描写や特徴の違いを解説。ボケるだけボカしたいならもちろんフルサイズが有利だが、「画」にまとめる場合、ことはそうシンプルなものでもない。(この辺りの詳細は10月号に深い話が載ってます)

描画のほかにもセンサーサイズからくる観点は様々ある。

栁下氏作成資料より

 

休憩を挟んで、後半は実機を実際に触りながら動画体験。ちなみに20人弱の講座受講者(業務を請け負っているスチルカメラマン)のうち、今まで動画を撮ったことがあるカメラマンは5人程度、編集・完パケまで仕上げたことがあるひとは1名のみ。だが「動画オンリー」のこのセミナー(有料)に参加することから、スチルカメラマンにはこれからの動画参入が余儀なくされていることが窺える。

動画ならではの撮影機能のひとつ、VFR(バリアブルフレームレート)についてひとり1台、実機で実際に試し撮りしながら理解を深める。初めてスロー映像を撮影する人も多いようで、あちこちで「おお~~」という声も。栁下さんも「編集でもスローには出来るけれど現場でクライアントの方などに実際に見せるとどういう画になるか理解してもらえるし盛り上がります」と、動画制作現場の話も含ませて、実践での活用の雰囲気を伝える。

吸収しておきたい内容がスクリーンに映し出されるとすかさずパチリ。

セミナーでは撮影だけでなく編集そして音声面のことなども解説。特に編集を鑑みた撮影のポイントは、それで困っている編集マン(もしくはカメラマン本人)にとって重要な問題=つなぎ(トランジションタイム)の助けになるだろう重要点で、これを早めに知った駆け出し動画カメラマンはラッキーかもしれない。
(そのうちのスクリーン1枚だけネタバレ。栁下さんすみません)

言われてみればそうだと思っても、ついやってしまいがちな「よし撮れた」撮影ストップ。カメラマンもテニスプレーヤーも『ガマン』が大切なようだ。

セミナー最後段、音声収録の問題。ビデオサロン誌で記事にした、内蔵マイクおよび外部マイク、音声レコーダーの活用事例。海辺で歌うシンガーの声が、1.内蔵マイクだけ から 外部マイクが工夫されつつ追加配置され、最後の4ch収録では最初の内蔵マイクのみとはまったく別物の歌声収録結果になっていく(2016年8月号「こだわりの音声収録術」→「ビデオグラファーのための音声収録&整音ハンドブック」に収録)。
「一眼で綺麗な画は撮れても、音が負けている場合が本当に多いんです。綺麗な一眼動画だからこそ、音も負けないものを録りたいですね」と栁下さん。

(パナソニックGH5/GH5S 主なバックナンバー)
・ビデオSALON2018年4月号 別冊付録「GH5&GH5S ムービースタイルBOOK」付き
・ビデオSALON2017年4月号 別冊付録「動画撮影機能をマスターする GH5 ムービー ファーストステップマニュアル」付き
・ビデオSALON2017年3月号 特集「モンスタームービー一眼GH5 大解明」

音声収録については「ビデオグラファーのための音声収録&整音ハンドブック」に掲載されています。