GoProの新モデルHERO7 Black。ここでは10月に開催されたGoPro好きのためのアウトドアイベント「GoPro Camp 2018」で使ってみた感想をレポートする。

レポート●松本 敦(Groovoost)

▲筆者が参加したアウトドアイベント「GoPro Camp」の模様をHERO 7 Blackの新機能をフル活用して記録。

 

前モデルHERO6からの主なアップデート

基本スペックは前身のHERO6を継承しつつ、大きな進化点は2つ。1つは「HyperSmooth」と言われる手ブレ補正。そして、もう1つはその「HyperSmooth」を活用した移動しながらのタイムラプス(ハイパーラプス)撮影が可能となった「TimeWarp」の2つとなる。外観はHERO6に比べ、ボディカラーがよりブラックに近くなりサイドには「7」の文字が刻印され識別しやすくなった。またタッチパネルのインターフェイスも変更されており、撮影モードの切り替えもより直感的に行えるようになっている。

 

目玉は手ブレ補正の強化


▲GoPro HERO7 Black 49,800円

最大4K/60p撮影に加え、FHD時240pのハイフレームレート撮影に対応。カメラ単体で10mの防水性能を持つ。今回のモデルの主な進化点は手ブレ補正。

 

前モデルと外観を比較してみる


▲見た目の形状は前モデルのHERO6と大きな変化はない。色はHERO6はグレーだったが、HERO7では名前の通りブラックに。撮影中の液晶画面のUIは微妙に変化している。バッテリー持続時間は約1時間45分。記録メディアはmicroSD。

 

驚異の手ブレ補正「HyperSmooth」の効果とは?!

新モデルのメインに打ち出されている手ブレ補正機能「HyperSmooth」の効果を一番実感できたのが「マウンテンバイク」アクティビティだった。特に驚いたのがハンドルに直接付けた状態での動画。コースは砂利道やバンクなどが多くあり、通常だったら動画素材としてほとんど使えないものが多くなってしまう。しかし、実際の動画を見てみると、その振動をほとんど感じさせることはなかった。

ちょっとしたジャンプの着地でも直接の衝撃を感じさせないほど。またコーナーを曲がる瞬間などもカメラが傾いて動きに追従するような感じで、ひじょうに自然な動きになっている。この手ブレ補正ははまさにGoProらしいアクションの撮影には強力な武器となることが実感できた。

 

強力な手ブレ補正Hyper Smoothをマウンテンバイクで

マウンテンバイクのシチュエーションで新開発の手ブレ補正Hyper Smoothを試す。過酷な条件にもかかわらず、自然な補正を実現。HERO6と一緒にチェストハーネスに取り付けて比較した。

▲HERO6と手ぶれ補正を比較した検証動画。

▲チェストハーネスに取り付けて撮影した。

 

GoPro用ジンバル「カルマグリップ」は不要なのか?

そこで気になるのが、GoPro純正アイテムとして発売されているカルマグリップの存在。個人的には「補正する種類」が違うと考えている。HERO7のHyperSmoothはカメラ内で物理的な「衝撃」を吸収するのに対し、カルマグリップは3軸で「水平をキープする」という機能になるので、最終的な映像は大きく変わってくる。

例えばレールの上を滑るように直進するような映像はカルマグリップのほうが得意だ。またHERO7の設定でHyperSmoothが有効になるのはFHD、4Kの60fpsまでとなるので、たとえばFHDの240fps、2.7Kの120fpsで滑らかな映像を撮りたい場合はカルマグリップを使うのがおすすめ。

移動シーンをクリエイティブに変える「TimeWarp」

上記のHyperSmoothの機能をタイムラプスに応用し、簡単にハイパーラプスを作成できる機能が「TimeWarp」。いまでこそ表現技法としては知れている「ハイパーラプス」だが、いざゼロから作るとそれは労力のかかる作業だ。基本的な制作のプロセスはタイムラプスと同じように、数百枚に渡る写真をつなげて映像にすることに、「移動」を組み合わせるのだが、等間隔で写真を数百枚撮るのももちろん、後処理も大変。どれだけ位置を合わせて移動させたとしても細かいズレが生じてしまうため、調整は骨を折る作業だ。

この「撮影」と「編集」2つの点でハードルの高かった映像技法がこの小さなカメラでさらに手持ち撮影で可能になったというのは画期的なことと言えるだろう。設定はシンプルで4KかFHDの2種類で広角の動画を撮影。あとは完成した動画の速度を選ぶのみ。速度は2、5、10、15、30倍の設定があるが筆者の主観としては10倍以上の数値に設定すると、それっぽい雰囲気が出て好みだった。

手ブレ補正が効いているとはいえ、極力高さの位置が変わらないように移動するのがコツと言える。また「手持ち」という自由度の高さを活用して水平に移動しながら最後は高い建物を見上げるなどのアングルを自由に変えることもできるのも魅力の一つ。旅行中の移動なども普段だったら撮らないシーンもこのTimeWarpを使ったらもしかしたらクリエイティブなつなぎになるかもしれない。

 

TimeWarpの設定手順


▲モードからタイムラプスを選択。


▲TimeWarpビデオを選択。


▲設定画面。


▲解像度設定。4Kまたは1080が選択できる。


▲速度選択。速度は2、5、10、15、30倍から選択できる。

 

SNSユーザーにうれしい新機能も追加

 

1.縦撮影に対応

▲カメラを縦に置くと縦位置撮影モードになる。

 

スマホ用動画としても定着してきた「縦型動画」に対応。インターフェイスも縦になり、撮影した素材はそのまま「縦動画」として読み込みされるので編集で回転をする必要なく編集に入ることができる。

 

▲編集ソフトでもそのまま縦位置動画として読み込まれる。

 

2.スーパーフォト
こちらもInstagramユーザーにとってはうれしい機能で、シャッターを押すだけで暗部や白飛びの部分を自動的に補正して写真を撮ってくれる機能。

3.ライブストリーミング機能
スマホアプリで簡単に設定するだけでFacebookライブで配信が可能。配信画像サイズは480pと720pが選択できる。

 

「楽しむ」と「撮る」を両立させた進化形アクションカメラ

GoProの基本的な理念は「体験をシェアする」ということ。もちろん映像を残すことは前提としながらも、「その瞬間を楽しむことも大切にしたい」という理念。HERO7は今までの理念を踏襲しながらも撮ることにストレスを感じずに純粋にアクティビティを楽しむことにおいても進化したアクションカメラと言えるだろう。

本誌読者のみなさんはおそらくプライベートの旅行に行く時でも多くのカメラ機材を持ってお出かけすることが多いと思う(笑)。だが、たまにはHERO7だけを持って遊びながら撮ることを楽しんでみては? もしかしたら新しい発見があるかもしれない。

 

ビデオSALON2018年12月号より転載