海外では昨年10月に先行して発売されていたファーウェイの5G対応スマートフォンHUAWEI Mate30 Pro 5Gが日本でも3月下旬に発売開始。実際使ってみると動画機能もさることながら、写真機能も秀逸! カメラ機能を中心にレポートします。
レポート●井上卓郎(HappyDayz Productions)
HUAWEI Mate30 Pro 5Gのテスト動画
ファーウェイHUAWEI Mate30 Pro 5G
2020年3月下旬発売/128,800円
▲4つのレンズを備える。
▲有機ELで見やすいディスプレイ。
HUAWEI Mate30 Proはスマートフォンとしての基本性能をしっかりと押さえた上でカメラ性能をプッシュしている。今回はカメラ機能を中心にレビューしてみよう。HUAWEI Mate30 Proの背面には4つのレンズがある。4000万画素のSuperSensingカメラ(広角)とシネマカメラ(超広角)、800万画素の望遠カメラ、そして3D TOF※カメラだ。
※3D TOF(Time-of-Flight)とは3Dイメージセンサーのこと。スキャンした物体から反射される赤外線を捉えて距離を計測し、データを処理する。従来の3D測定技術と比べ演算能力が低いため、リアルタイムで写真はもちろん、動画でも被写界深度の浅いボケ味の美しい映像を撮ることができる。
実際に撮影する上でどのカメラを使うかは意識する必要はない。場面場面に合わせたカメラをシームレスに切り替えてくれる。
側面が湾曲したホライゾンディスプレイは6.53型の有機ELで、日中の屋外でも視認性が高い。物理的な音量ボタンはなく側面に触れることで調整することができる。
写真機能
VIDEO SALONは映像の雑誌なので、動画機能を中心にレビューをしようと思っていたのだが、本機は写真機能がすばらしく、色々と写真を撮ってみた。いくつかモードがあるが、基本的に「写真」モードで撮影すれば、その場に適した設定をしてくれる。簡単にいい写真が撮れるのがすばらしい。
▲なにげなくシャッターを押した1枚。空の青や雲の微妙な陰影、新緑の色々な色やディテールも美しい。パッと見て「キレイ」という画が撮れる。
▲ズームを限界の30倍にして月を撮影。暗所でデジタルズームで撮影したので画質は落ちるものの、月面のディティールが分かる。
▲驚くことに手持ちで撮影である。肉眼で見るよりも明るい。手持ち撮影にも関わらず、空に星が写っている。
▲アパチャーモードではf0.95からf16まで被写界深度を変えて印象的な写真を撮ることができる。3D TOFカメラを使ってソフトウェア的に背景をぼかしてくれる。光源の向きによってはフレア・ゴーストが出るが、スマートフォンのレンズらしからぬ美しいゴーストなので積極的に使ってみた。
▲詳細な設定ができる「プロ」モード。フォーカス、ISO、シャッター速度などマニュアルで詳細な設定ができる。設定を調整すれば星も撮れる(露出時間30秒 ISO1600)。
▲ライトペンモード。ライトペン等で光を動かしながら長時間露光することで、暗闇に不思議な絵や文字を描ける。
動画機能
HUAWEI Mate30 Proは動画にも色々面白い機能が搭載されている。通常の撮影では4K/60p、4K HDR+に対応し、ボケ味の美しい被写界深度の浅い映像も撮影できる。
最大7680fpsのスーパースロー。タイムラプスやスーパースローなど、目では見られない動きを表現するのはとても面白い。HUAWEI Mate30 Proはそんな目では見えない映像を最大7680fpsで撮影できる(解像度は720p。1080pでは最大960fps)。たんぽぽの綿毛が飛ぶ様子は肉眼でも見られるが、スーパースローで撮影すると、また違う感動がある。また普段は見ることのできない、わが家の猫の変顔も見られた。モーションセンサーで動きを感知し撮影もできる。ただし、猫など予想できない動きをする物はモーションセンサーを使わないで撮影するほうが確実だ。
また、手ブレ補正はかなり強く効く。今回は試さなかったが、歩きながら撮影しても安定した映像が撮れるとのこと。暗所性能最大ISO51200で撮影ができるので月明かりでも撮影が可能だ。薄暗い部屋の中でも撮影ができるのもうれしい。ただし、このスマホに限らず高いISOに設定すると、それなりにノイズは乗る。
ちなみに今回の撮影にはSmall Rigのスマートフォンホルダーを使った。底部プレートを開くとスタンドに、閉じるとグリップ的に使える。またアルカスイスの雲台に装着できスマートフォンでの安定した撮影ができる。
▲撮影時に使用したSmallrigのスマートフォンホルダー。
まとめ
HUAWEI Mate30 Proのカメラは実用性とユニークな機能を併せ持ち、あまり難しいことを考えずに直感的に撮影ができる。日々の撮影ライフを普段とはちょっと違う表現で楽しませてくれる一台だ。
●VIDEOSALON 2020年7月号より転載