REPORT◎一柳
IMAGICAエンタテインメントメディアサービスは、品川区東五反田にある映像技術サービスの事業拠点及び本社(東京映像センター)を港区竹芝へ移転。移転は2021年11月より順次開始し、2022年1月末頃までにほぼ完了。2月に業界メディアを対象に施設の内覧会を開催した。
五反田の東京映像センターは映画、CMなどのポストプロダクションとして、1951年より70年にわたり長らく利用されてきた。フィルムの現像から始まり、デジタルになってもポスプロ、カラーグレーディング、関係者試写などで利用されてきたが、このたび東五反田地域の再開発事業により、五反田から竹芝へ移転することになった。
場所は、ゆりかもめ竹芝駅のすぐ目の前の7F建ての新築のビル(左奥が竹芝駅)。
入り口を入ると、1Fの左右に試写室が2つある。1階から6階まで株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービスのポストプロダクションの施設が入り、最上階の7階には親会社である株式会社IMAGICA GROUPが入る。
2つの試写室
第1試写室は、席数100。五反田では最大の試写室が150だったので、席数は減っているが、スクリーンサイズは少し拡大しているという。
プロジェクターはデジタルだけでなく、35mmも可能。
(写真はすべて第1試写室)
第1試写室
席数 | 100+4 |
PROJECTION FORMAT | 4K/2K DCP、2K QT(ProRes HQ)、35mm |
AUDIO FORMAT(DIGITAL) | 7.1ch、5.1ch 24bit/48kHz |
AUDIO FORMAT(35mm) | Dolby A、Dolby SR、Dolby Digital EX(6.1ch)、DTS-ES(6.1ch) |
DIGITAL PROJECTOR | Barco SP4K-25C w/s HC Lens |
MEDIA BLOCK | Barco Alchemy |
STEREOSCOPIC SYSTEM | XPAND |
35mm PROJECTOR | Kinoton FP30EC II |
AUDIO SYSTEMS | Dolby CP850BASE、Dolby CP650、BLU-160×2、 CROWN DCi4|1250Nx5、DCi8|600Nx2、 JBL 5737×3、4642Ax2、9300×16、4645Cx2 |
SCREEN | Stewart Filmscreen SnoMatte 100(MP) |
SCREEN SIZE | SCOPE:8.4m x 3.5m、FLAT:6.5m x 3.5m |
第2試写室
席数 | 51+4 |
PROJECTION FORMAT | 2K/4K/Dolby EDR DCP、2K QT(ProRes HQ)、16mm |
AUDIO FORMAT(DIGITAL) | 7.1ch、5.1ch、Dolby Atomos、DTS:X |
AUDIO FORMAT(35mm) | Dolby A、Dolby SR、Dolby Digital EX(6.1ch)、DTS-ES(6.1ch) |
DIGITAL PROJECTOR | Christie CP2220、Dolby Cinema Projection System |
MEDIA BLOCK | Doremi DCP-2000、GDC SX-4000 |
STEREOSCOPIC SYSTEM | XPAND |
16mm PROJECTOR | HOKUSHIN X-1100 |
AUDIO SYSTEMS | Dolby CP850、Dolby CP650、QSC 510c、 BLU-160×3、CROWN DCi4|1250Nx5、DCi8|600Nx3、 JBL 5737×3、4642Ax2、AC2212x8、9300×16、4645Cx2 |
SCREEN | Stewart Filmscreen SnoMatte 100(MP) |
SCREEN SIZE | SCOPE:6.2m x 2.6m、FLAT:4.8m x 2.6m |
劇場予告編の音響を作るためのダビングルーム
3FがMA、ダビングルームになっており、301と302はダビングルーム。映画館で流す劇場予告をミキシングするための部屋。1Fの試写室と同じ環境で調整することができる。ミキサーひとりが集中して作業できるシンプルな機材システム。
映画館ほどの広さは確保できないので、それに近い音場になるように響きを調整している。スピーカーは壁の中に埋め込まれている。
302のナレーションブース。こちらはひとり用。机を畳んで立っての収録にも対応できる。がっちりとしたマイクスタンドは五反田時代から使っている高砂製作所製のもので、もう保守サービスは終わってしまっているヴィンテージ品。
POWER AMPLIFIERS | CROWN DCi4 1250Nx1、CROWN DCi2 1250Nx1、 CROWN DCi8 300Nx1 |
SPEAKERS | JBL AM5212x3、9300×8、4645Cx2、Genelec 8330Ax2 |
MONITOR CONTROLLER | Grace Design m908 |
CONTROL SURFACE | AVID S3 |
DAW | AVID ProTools HDX |
I/O | AVID MTRX |
PROJECTOR | NEC NP-P605ULJK |
SCREEN | EASTONE E8K-KP120HD-BM |
テレビや配信のドラマのMAにも対応できるMAルーム
303から305はMAルームで写真は303。こちらは多くのジャンルの仕事に対応できるもので、最近はテレビや配信のドラマが6割と増えており、そういった用途では、音楽、効果、セリフの担当の3人でミックスを進めていくことが多いという。この部屋では、ProTools HDXを3式入れており、同時に作業できるようになっている。以前はデジタルのコンソールがあったが、それがなくなってすっきりした卓上は従来のMAルームのイメージを覆すもの。右手奥に見えるのがナレーションブース。
スピーカーは壁に埋め込まれている。音響的に左右対称にするために左手側にもダミーのナレーションブース用窓が設けられている。
303のナレーションブース。最近は複数人で入り、立ってアフレコ収録することも増えているので、広めになっている。
POWER AMPLIFIERS | LAB.GRUPPEN C68:4×1、C48:4×4、C28:4×1 |
SPEAKERS | Procella Audio P815x3、P815x4、P8x4、P15SIx2、 P18x2、Neumann KH80 DSPx2 |
MONITOR CONTROLLER | Grace Design m908 |
CONTROL SURFACE | AVID S6-M40-5Knob-32Fader+Joystick Module |
DAW | AVID ProTools HDXx3 |
I/O | AVID MTRX |
VIDEO MONITOR | SONY KJ-65X9500H |
スクリーンカラーグレーディング
劇場公開映画のグレーディング用の部屋がある。写真は402。内装は反射を極力抑えた暗めのもの。スクリーンに対してのスイートスポットはグレーダーが座る位置になっており、その手前に監督、カメラマンが座るソファがある。ソフトウェアはDaVinci ResovleとFilmlight Baselightの2種類が用意され、切り替えて使うことができる。写真はDaVinci用のパネルが用意されている状態。
要望に応えて、グレーダーの左後ろにディレクター用の席を設けた。その後ろにクライアント用のソファがある。
VIDEO FORMAT | Up to 4K DCI &UHD |
AUDIO FORMAT | 2ch |
WORKSTATION | Mac Pro/Baselight TWO |
SOFTWARES | BMD DaVinci Resolve/Filmlight Baselight |
CC CONTROL SURFACE | BMD Advanced Panel |
PROJECTOR | NEC NC3240S-A |
SCREEN | Stewart Filmscreen SnoMatte 100SL |
SCREEN SIZE | SCOPE:4.8mx2.0m、FLAT:3.7mx2.0m |
カラーグレーディング&編集ルーム
カラーグレーディングと編集はオンラインにより別の部屋で同じ素材を使って行うことができる。また、部屋とワークステーションは結び付けず、組み合わせ自由なので、フレキシブルに運用できるようになっている。こちらの409はモニターはリビングを想定したもの。右奥にテレビディスプレイとソファがある。
VIDEO FORMAT | Up to 4K DCI &UHD |
AUDIO FORMAT | 2ch |
WORKSTATION | Mac Pro |
SOFTWARES | BMD DaVinci Resolve/Filmlight Baselight AutoDesk Flame Assist、Adobe Premiere Pro |
CC CONTROL SURFACE | Tangent Element |
VIDEO MONITOR | SONY BVM-HX310、SONY KY-55X9500H |
クオリティコントロール
IMAGICAらしいのがクオリティコントロール、QCルームの存在。4KHDR対応のQC専門の部屋が5つもあり、劇場公開前やDVD/BDのマスター素材確認をここで行う。画や音のノイズやマイクバレなどの技術的なチェックだけでなく、ニーズに応じてアニメーションでいえばキャラクターデザインなど内容に関わるものも行う。社内に専任のスタッフがいる。写真は604。
VIDEO FORMAT | Up to 4K DCI &UHD、HDR、HFR |
AUDIO FORMAT | Up to Dolby Atomos 7.1.4 |
WORKSTATION | Mac Pro |
SOFTWARES | BMD DaVinci Resolve Studio、ProTools Ultimate、 Dolby Atomos Production Suite、Adobe Premiere Pro |
VIDEO I/O | Blackmagic Design UltraStudio 4K Extreme 3 |
AUDIO I/O | RME Digiface Dante |
AUDIO SYSTEMS | Dolby CP850BASE、YAMAHA MMP1、 Gnelec 8350Ax3、8340Ax4、7360Ax1、8330Ax4 |
AUTOMATIC FILE-BASED QC | Interra Systems’ BATON |
VIDEO MONITORS | SONY BVM-HX310、SONY KY-65A9G |
ネットワーク&セキュリティ
セキュリティについても海外のクライアントのチェック基準にも対応している。入退室管理システムはもちろん、監視カメラは死角がないように設置。24時間365日の有人警備を行なっている。
サーバールーム。
関連情報
株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービスのWEBサイト